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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第1部】【第2章】「Zリーヌンス篇」
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【第2章】宇宙艦隊オッパリオン034話「フレイア=マーパイオン」

今回は、第2章の累計話数34話目。

オッパリオン人のフレイアと出会う翔平と奈菜。

フレイアは翔平と奈菜を乗せ一路、母艦へと向かう。

新キャラのフレイア、そして僚機を操る母艦クァードのパイロット、シュレンとリアリィ。

オッパリオンは新たなる境地へと旅立つ!!

第2章は始まったばかり。

皆様、応援の方どうぞ宜しくお願い致します。

【〇三四 フレイア=マーパイオン】



『とにかく中に入って。さすがに手の上に乗せたままじゃ無理があるから』

「わ、わかった。奈菜、先に」

『う、うん』

『それにしてもすごい格好ね。あなたたちって宇宙に出るのにそんな装備が必要なの?』


 パイロットは奈菜の手を引いてコクピットへと招き入れてくれた。

 奈菜がシートの後ろへと体を移動させたので、続いて翔平もコクピットへと入る。


『あなたがショウヘイね。話は聞いてるよ。パイロットもやったんだってね』

「まねごとみたいなものだけど」

『よくできたって聞いてる』


 パイロットはどこか楽しそうにそんなことを言ってきた。

 翔平が中に入ると、パイロットはすぐにコクピットのハッチを閉めた。それを確認すると、翔平は宇宙服のヘルメットを脱ぐ。


「ありがとう、助かったよ」

「遅かったかも。あなたたちの星の艦隊はほぼ全滅しちゃってるし。この技術差じゃまともに戦うのなんて不可能だけどね。わたしはフレイア=マーパイオン。オッパリオンのパイロットね、ってそれは見ればわかるか」

「丹澤翔平です」

「桃ノ瀬奈菜です」

「うん、知ってる――さて、ここから無事に帰れるかどうかってところね。ちょっと後ろで大人しくしててよ」

「わかった」

「う、うん」


 フレイアと名乗ったパイロットはコンソールを操作しつつ、メインモニターの表示に目を走らせていた。

 機体はステーションを離れている。


「こちらフレイア、目標の回収に成功。退路は確保できてる?」

『シュレン了解。退路は今のところ大丈夫ね。急いだ方がいいわ』

『リアリィ了解。敵の艦のすぐそばなんだ、とにかく急いで。ふたりも載せたみたいだけど狭くない?』

「ちょっと狭いけど操縦に支障はないよ。シュレン、リアリィ、援護をお願い。こっちは思うように戦闘機動を取れないからさ」

『はーい、わかりました』

『了解。援護させてもらいますよ、隊長』

「リアリィ、こういう時だけ隊長?」

「隊長らしい仕事じゃない?」

『はいはい、ふたりともそこまでよ。いつ増援がくるかわからないのよ。とにかく急いで帰りましょう』


 コクピットの中ではパイロット同士の会話が行われていた。

 スタティアにいた時のパイロットたちと違い、どことなくラフな雰囲気を翔平は感じた。

 それに、聞いたことのある名前が出てこない。


「フレイアさん、スタティアは近くに来てるんです?」

「フレイアでいいよ。気楽に話して」

「わかったよフレイア」

「そうね、スタティアは近くには来てないわ。ここから一回ジャンプして何日か行ったところで潜伏中」

「潜伏?」

「ちょっとわけありでね。万全じゃないわけ。それであたしたちが来たんだけどね」

「フレイアたち……?」

「不満そうね? 提督じゃないと安心できない?」

「そういうわけじゃないけど……」

「大丈夫よ。自分で言うのもあれだけど、あたしたちは優秀よ。オッパリオンの中でもかなりね」


 後ろから身を乗り出していた翔平を見て、フレイアはウインクして見せた。


「さ、だからいい子にして下がっててね。ちょっと急ぐわよ」

「いい子って……」


 そんなフレイアにどこか軽さを覚えつつも、翔平は体を下げた。


「その大げさなスーツは耐G性はあるの?」


 フレイアが聞いてくる。


「いや、これは非常用だからそういう機能はないんだ」

「わかった。じゃあそれなりに気を付けて動くわ」


 側面のモニターを見ると大きいランチャーを担いだ紫色の機体が併走しているのが見えた。


『フレイア、追っ手がついたわ。さすがに早い反応ね』

「そっちは任せたよシュレン」

『はーい、わかりました』


 すると紫色の機体は反転し、ランチャーを連続で発砲する。


「ひゃっ」


 その光に奈菜が驚く。


「シュレンの機体よ。海賊の機動兵器なら二機三機まとめて相手にしてくれるわ」

「敵は海賊なのか?」

「一応そうなってるわ。正体不明の部隊ってことで。でも実際は帝国の特殊部隊でしょうね。いろいろ事情があってそうなってるのよ」

「また海賊か……」


 どうやら自分は海賊に狙われる運命にあるのだと翔平は思った。

 宝を狙う海賊からしたら自分は宝なんだろうと。だが、その手に落ちるつもりはない。


『こちらクァード。敵艦より新たな熱源の射出を確認。先行する部隊より機動性の高いやつです』

『聞いたフレイア? たぶんスタティアをやったやつだね』

「たぶんそうね。こっちに来てたなんて、ついてるんだかついてないんだか」

『あら、弱腰ね。ここで墜としちゃえばいいじゃない』

「焦らないでリアリィ、あのスタティアをやったやつよ。正面切って戦うならひとりじゃない時にして」


 フレイアはリアリィと呼ばれるパイロットと会話していたが、翔平にはその中で気になることがあった。


「スタティアをやったって? スタティアはやられたのか!?」

「ちょっとだけね。その時の凄腕が追っ手に追加されたってだけよ」

「だけって……それってかなり強いってことじゃ……」


 翔平に一抹の不安がよぎった。

 スタティアに被害を与えたということはアーリア提督たちを出し抜いたということだ。それを考えるとその相手は相当に強いのではないかと思えた。


『フレイアは先にクァードへ。足止めくらいならわたしがやるから』

「無理しないでねリアリィ」

『ギリギリまでは無理させてもらおうかな』


 その言葉の直後、フレイア機の真横を水色の機体が飛び去って行った。その機体はそれぞれの手に長剣を持っていた。


「シュレン、余力があったらリアリィをカバーしてあげて」

『こっちは三機相手よ? そこまでの余裕はないわ』

『大丈夫だよフレイア、シュレン、ひとりでもやられるような戦いはしないって』

「あなたは危なっかしいのよ」

『わたしから見たらフレイアの方が危なっかしいけどね』

「すぐに行くからね」


 そう残し、フレイアは機動兵器を加速させる。

 翔平たちの体にも負荷がかかるが、奈菜は翔平に掴まり、その負荷に耐えていた。


「母艦は近いのか?」

「すぐそこよ。少し慎重に距離を取ってるからね。もう少し」

『クァードより各機、新たな敵影の照合完了。黒騎士です!』

「やっぱり」

「黒騎士?」

「スタティアをやったやつのことよ。提督がそう呼んでたからそう呼ばれてるのよ」

「強いのか……」


 強力な追っ手が現れたのだが、フレイアは一目散にクァードという母艦を目指している。

 話から察するにひとりでの足止めには不安があるようだが、フレイアは自分の任務をまっとうすべく動いていた。

 だが、モニターを見るフレイアの顔が険しさを持つ。


「はじまった……リアリィ、頼むから本当に無理しないでよね……」


 そう呟きつつも、フレイアは振り返らない。

 その時、後方からフレイア機を追い越すように光りが走った。


「今のは……砲撃!?」

「海賊艦も追ってきたみたいね。でもあんな距離からならあたしにもクァードにも当たらないっての」

「ミルキィーフィールドもあるし」

「ミルキィーフィールドか、そうね、それもあるけど今はちょっとあなたの知ってる状況とは変わってるの」

「え?」

「今のビーム兵器はミルキィーフィールドを貫通するのよ」

「なんだって?」


 フレイアの言葉は翔平にとって衝撃的だった。前回頼りになったミルキィーフィールドが無力化していることは、すごく不利に思えた。


「帝国が先んじて開発した技術でね。オッパリオンも開発したからお互い様だけどね」


 当たり前のことを言うように、フレイアはそう説明した。


「そんなことになってたのか……」


 この半年で起こったこととは思えない技術の進化であり、翔平は改めてオッパリオン星系の技術力に驚くことになった。

 翔平は後ろからメインモニターを覗くと、そこにはクァードと表記されたマーカーが表示され、急速に距離を縮めつつあるのが見えた。


『ごめんフレイア! 抜かれた! 黒騎士がそっちに行く!』

「わかった! もうちょい、なんとか逃げ切れそうってところだけど、黒騎士をクァードに近づけるのもよくないわね」

『追いかけてはいるけど、あの機体、すごい加速性よ!』

「帝国のくせにあんな機体を作るなんて! ショウヘイ、ナナ、ちょっと加速するから我慢して!」

「わ、わかった、やってくれ」

「うん!」


 現状でもかなりの速度が出ているようだったが、フレイアの機体はさらに加速をする。

 追撃の警告を知らせるマーカーが表示されているが、急加速をかけていてもその数値は縮まってきている。

 黒騎士――いったいどんなやつ?

 体の負荷に耐えながら、翔平はそんなことを思った。

 ――が、突如追撃を警告する表示が消える。


「え?」


 疑問の声をあげたのはフレイアだった。


「どうなったんだ?」

「わからない。追いかけるのをやめたみたいね」

『こちらシュレン、敵機の撤退を確認したわ。どうしたのかしら?』

「なにか事情があるのか、なにかの作戦か――」


 フレイアはそう答える。


『クァードより各機へ。全機帰投せよ。現宙域から離脱します』

「了解。目的のふたりを連れて戻るわ。歓迎会の準備でもしておいてね」


 フレイアの軽口に、クァードからの返信はなかった。

 するとすぐに、モニター奥にクァードと思われる艦が見えて来た。


「あれがクァード……」

「そうよ。スタティアと同じ作戦を遂行するために作られた艦。スタティアの支援艦になるんだけど、かなりの高性能艦よ。単艦でも大抵の任務はこなせる」

『おかえりフレイア。無事でよかった。先に入って』

「ありがとうリクサーヌ。防衛お疲れさま」

『水平の銀河の人間がついに……』

「そういうことねレマス。歓迎してあげて」


 二機の機動兵器がフレイア機を出迎えてくれ、そのふたりにフレイアが言葉をかけていた。

 翔平から見たクァードはスタティアよりひとまわりくらい小型に見えたが、どことなくスタティアを彷彿とさせる形をしていた。

評価・感想はいつでもお願いしておりますので、宜しければ気軽に評価して頂けますと幸いです。

宇宙艦隊オッパリオン、更新まだまだ頑張って参りますので、お付き合い頂けると嬉しい限りです。

明日は今日が作る!継続が明日を作る!!

次回更新もお楽しみに!!

次回更新予定は、いつもの通り土曜日です。

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