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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第1部】【第2章】「Zリーヌンス篇」
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【第2章】宇宙艦隊オッパリオン033話「オッパリオンの機動兵器」

今回は、火星ステーションでの出来事。

マーラ帝国艦は圧倒的な勢力差で地球の宇宙軍艦隊を撃墜していた。

そんな中、翔平と奈菜は火星ステーションの避難区域を目指す・・・。

果たして、マーラ帝国艦に搭乗する者たちの狙いとは!?

宇宙を揺るがす母乳力を巡る戦いが再び始まろうとしていた。

【〇三三 オッパリオンの機動兵器】


「目標の建造物の一部で損壊を確認。反撃はなし」

「脆い建造物だな。よくあんなもので宇宙に出ようと思う」


 火星軌道ステーションから離れたとある艦の中で、報告を受けたアルガノスは思わず呆れたようにそう漏らした。


「はは、先日交戦したこの星の軍を見ただろうキャプテン。水平の銀河の文明とは所詮はこの程度だということなのだよ」


 アルガノスのとなりに立つ、派手な服装の男は腕組みをしながらどこか楽しそうにそう言った。


「そうなのかもしれませんな。ところでドロアズ殿、出撃しなくてよろしいのですかな?」

「私が出るまでもないだろう。原始人の制圧にわざわざ出向くことはないよ。該当者を捕らえてここに連れてくるなど、誰にでもできることだ。誰にでもできることを、わざわざ私がする必要などはないというもの」


 ドロアズと呼ばれた派手な服装の男は、自信ありげにそんなことを言う。

 アルガノスは目を合わせなかった。


「そうですか。なら構いませんがね。――建造物への攻撃は控えろ。機動兵器部隊を送り込め」

「了解。制圧されますか?」


 通信士の質問に応じたのはアルガノスではなく、ドロアズだった。


「いや、その必要はない。該当者だけ回収した後に破壊すればいい。接収するほどの価値もないような建造物だ、破壊してかまわんだろう」


 通信士の男はそうは受けたものの、通信を止めてアルガノスの方を見た。


「そう言っている。その通りでいいだろう」

「了解。パイロット各員へ伝えます」

「キャプテン、建造物後方より艦影が接近中。照合から先日交戦した艦と類似しています。水平の銀河の部隊かと思われます」

「なんだ、やつらは学習能力がないのか。出てきてもやられるだけだぞ?」

「キャプテン、連中の知能はその程度なのだよ。鬱陶しいから先に始末するといい」

「そうしますかね。全艦戦闘用意。機動兵器各員にはやってきた艦を先に叩くように伝えろ」

「了解」

「せっかくの新造艦もあんな原始人相手ではもったいないな。伝説の力を秘めた民族というからどれほどかと思ったら、とんだ思い過ごしだったようだ。報告にあった未開の地とは本当のようだな」

「ドロアズ殿、こう言っちゃなんですがあの力をあまり甘くみない方がいい。なにを引き起こすかわからんのですからな」

「そうかな? キャプテンは少々臆病に見えるな。原始人は所詮原始人、我らマーラ軍人が臆するところではないよ」

「ま、自分はその臆病のおかげでこうして生き残っているわけですがね」

「謙遜かな? キャプテンは優秀だと聞いているよ。この艦に乗ることになって私は楽しみだったのだがね。未知の力とやらと対峙するのが。あの輪っか付きとかいう艦も多少の手応えはあったが、そこまで脅威とは思えなかったよ。あとひと押しすれば墜とせたものを」

「あの輪っか付きも甘く見ない方が賢明ですな。ドロアズ殿は少々焦る傾向があるように見えますな」

「そうかな? まぁその忠告はありがたく受け取っておくとしよう」

「敵艦影、五隻を確認。電波による呼びかけを行っている模様」

「無視しろ。今の俺たちは海賊なんだ。海賊らしく振る舞っていい」


 アルガノスがそう言うのを聞き、ドロアズはうんうんと頷いた。


「そうだキャプテン、我々は海賊なのだ」

「砲撃戦用意。用意でき次第砲撃開始だ。さっさと片付けて離脱するぞ」

「了解」


 火星軌道ステーション周辺では、海賊艦と火星軌道防衛軍との交戦が開始されることとなった。


 ◇ ◇ ◇


 翔平と奈菜は避難区画へと向かう途中、何度か激しい揺れに見舞われた。

 そんな中、外輪部の外に出られるシャトル発着場へと辿り着く。


「奈菜、先に向かっててくれ」

「え? 翔平は?」

「ちょっと外の様子を見てくる」

「無茶よ! やめなって!」

「帝国が来たなら、スタティアも来てるかもしれないだろ」

「そうかもしれないけど――」


 止める奈菜をよそ目に、翔平は発着場の扉を開いた。

 ためらわずに進む翔平の後を、奈菜も追いかけた。


「なにがあったかわかりますか?」


 発着場の受付をやっている男に翔平が問う。


「事故ってアナウンスがあったけど、それ以来なにもないみたいだよ。こっちにも特に指示は出てないね。宇宙服って動きづらくて、あまり着たくないけどしかたがないね」

「わかりました。ちょっと外に行って来ます。避難区画に行った方がいいかもしれないですよ」

「じゃあなんだってキミは外に? 避難区画に行くほどの大事が起こってるってのかい?」

「そうかもしれません」


 男にそう残し、翔平は外へ通じる気密扉の方へと進んで行った。


「待ってよ翔平!」

「奈菜はここに残って」


 ヘルメットを被りながら、翔平は奈菜にそう言った。


「残される方の身にもなってよ。どこにいたって安全じゃないわ。このステーションだって、あの時の宇宙艦のように頑丈ってわけじゃないもの」


 奈菜も急いでヘルメットを着ける。


「そうだけど……」


 翔平が気密室に入ると、奈菜も体をねじ込んで来た。

 気密が終わると、外へ出る扉が開く。


『わたしの声、聞こえてる?』

「聞こえてるよ、大丈夫」

『少し見るだけにしてよ?』

「わかったよ」


 マグネット式になっている靴を外壁につけ、ステーション外輪部へと出ると、頭上では光線が飛び交っているのがすぐに見えた。

 細い線ではあるが、宇宙軍の艦から放たれる荷電砲は現在地球上で最も強力な兵器のひとつとなっている。

 その火線の先にあるものは――翔平と奈菜は肉眼で、かすかにその形を見て取ることができた。


「あれは……」


 見たこともない、扁平な形をした宇宙艦のようだった。時折青白い光を放ち、軌道修正を行っている。


「見たこともない艦だ。あれは帝国の艦なのかな」


 宇宙軍からの火線が時折その艦を捕らえるものの、光線は艦に触れることなくなにかに阻まれ、消滅しているのが見えた。


「ミルキィフィールドだ! やっぱり、あれは帝国の艦に違いない!」


 翔平はそう確信した。


『どうして地球なんかに……』

「事情はわからないけど、なにかあるんだろう」


 頭上で行われる艦隊戦に目を奪われていると、急接近する光が見える。


「奈菜!」

『きゃっ!?』


 翔平は思わず奈菜を抱くように体を寄せた。

 すると頭上を一機の機動兵器が飛び去っていく。


『機動兵器!』

「このステーションを狙ってるのか……。木星の時と同じなら、制圧部隊が送り込まれるかもしれない。また俺を狙っているのかも!」

『そんな……』

「奈菜は避難区画へ逃げるんだ!」

『翔平はどうするの!?』

「ここから離れる。発着場にシャトルがあるはずだから、それでここから遠ざかる!」

『ひとりじゃ操縦なんてできないわよ!』

「やらないと、ここが戦場になっちまう!」

『でも――』


 言葉を交わしている頭上を、再び機動兵器が横切って行った。

 そしてそれは小さく軌道を変更し、翔平たち目がけて戻ってくる。


「見つかった!? 奈菜、中に戻るんだ!」

『翔平を放って行けない!』

「俺といたら危険だぞ!」

『でも――』


 頭上に来た機動兵器は翔平たちを見ると、頭上で静止した。

 黒い、見たこともない風貌の機体は手にライフルのようなものを持っている。


「走れ奈菜!」


 翔平は奈菜の体を押すように走り出した。

 そんな翔平を捕まえようとするように、機動兵器が手を伸ばしてきた。


『翔平! 掴まっちゃう!』

「くそっ!」


 機動兵器の速さは宇宙服を着た翔平たちよりも圧倒的に早い。伸ばした手はあっという間に翔平に追いつき、その手に捕まることになる――そう思った瞬間だった。


「なっ!?」


 翔平たちを掴もうとしていた機動兵器が突如真横に吹き飛んで行った。

 そして今までその機動兵器がいた場所には、別の赤い機動兵器の姿があった。

 しかも、その機動兵器の姿にはどこか見覚えのあるシルエットをしていた。


「これは……アーリアさんのウィルギヌス?」


 半年前に見た、アーリアの乗る機動兵器ウィルギヌス。それとよく似ているが、微妙に違ってはいる。その機体は翔平たちの前に膝をつき、胸部のコクピットハッチを開いた。


『翔平……!』

「アーリアさんか!?」


 開いたコクピットハッチから、生身の人が顔を覗かせた。

 そして声が直接頭の中に響く。


『聞こえる? まだナノマシン通信は有効になってるかな?』


 聞いたこともない声に、スタティアでは見たことのない人物だった。


「ナノマシン通信!? オッパリオンの人か!」

『わたしにも聞こえる!』

『聞こえてるのね。急いでこっちに来て。ショウヘイ、あなたを保護するわ』

「保護!?」

『詳しい説明はあと! 手に乗って!』


 機動兵器の手が翔平たちの前に差し出される。


「奈菜は中に戻って」

『嫌よ。翔平だけ行かせるわけにいかないでしょ!』


 と、奈菜も翔平に続き、機動兵器の手に飛び乗った。


『ショウヘイと、あなたがナナね。データ照合の一致を確認。とりあえず目的達成!』


 どこか弾んだ声が脳内に響くと、膝をついていた機動兵器が立ち上がった。

 手が胸部へと近づけられると、乗っている人物の姿がしっかりと見えた。


「だ、だれ……?」


 それはやはり、翔平たちが知らない人物だった。


『アーリア提督じゃなくて悪かったわね。まぁでも、あたしが来たからには安心して』


 そう言い、機動兵器のパイロットは翔平たちに微笑んだ。


オッパリオン第2章の方も応援ありがとうございます!!

第2章の更新もスケキヨ氏とYOMにて頑張って参りますので、お付き合いの程よろしくお願いします。

母乳力を巡る戦いはまだまだ続きます。

今回は新キャラもいっぱい出てくる予定ですので、お楽しみに!!

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日々精進して参る所存です。

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