↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第1部】【第1章】「オッパリオン篇」
29/487

宇宙艦隊オッパリオン026話「アーリア奮戦」

挿絵(By みてみん)

今回は26話。

アーリアを救うべく、海賊艦との戦闘を始めたスタティア組。

そして、開戦されたオッパリオン軍とマーラ帝国軍との艦隊戦。

二つの戦いが始まった中、翔平は皇女アティと共にゼータリオンにて出撃した。

そんな彼を待ち受けていたのは、海賊艦の機動兵器パイロットのマシウス。

マーチャやセルシアの力を借り、熾烈な戦いを始める中、海賊艦では何やら動き始める・・・。

オッパリオンを巡る戦いは、果たしてどうなっていくのだろうか!?

【〇二六 アーリア奮戦】


「……ん?」

 捉えられていた部屋には窓もなかったが、艦全体の揺れなどから、アーリアはこの海賊艦が戦闘状態に入ったことを感じ取った。

「はじまった……!」

 ひとりそう呟きながら、アーリアは付けていた搾乳機を外す。搾乳機にはかすかに母乳がたまっているが、そのままにした。

 母乳を出したことによる疲労感はあったものの、今は待っていたチャンスだった。

 艦が戦闘状態に入れば乗組員のほぼ全員が慌ただしくなる。中の警備も手薄になるだろうと、アーリアはこの時をジッと待っていた。

 物音を立てずにドアの近くまで移動し、壁に耳を付ける。

「…………」

 外での会話は聞こえないが、バタバタと動く足音は聞こえた。

 見張りの人数を確認したかったが、そこまでの情報は得ることができなかった。

 しかし戦闘状態に入っていることは明らかなので、ここは仕掛けるしかない、アーリアはそう判断した。

「やってみるしかないわね」

 記憶をたどれば、見張りは多くて二人――意を決し、アーリアは激しくドアを叩いた。

『うるさいぞ、どうした?』

 ドア越しに見張りの声がする。

「大変なの、搾乳機が発火して! このままじゃ火災になる!」

『馬鹿なっ。なにをしたらそうなるんだ! はやく消せ!』

 その声が聞こえた直後、ドアが開き見張りの男が勢いよく部屋に飛び込んできた。

「火はどこだ!?」

「はっ!」

 一瞬の隙を突き、アーリアは男の顎を蹴り上げる。

「ぐわっ!?」

 男はそのまま倒れ、昏倒した。

 アーリアはすぐにドアの外を確認する――が、見張りはこの男ひとりだった。

 すぐにドアを閉め、男から武器のサブマシンガンを取り上げる。

「ちょっと大きいけど……」

 マーラ人用の武器はサブマシンガンと言えど大きく、アーリアの体にはいささか不釣り合いだったが、武器がないよりはマシだった。

「でも見張りがひとりだったのは嬉しい誤算ね」

 アーリアは静かにドアを開け、外の様子を伺う。

 ここから格納庫までは一直線。戦闘中の格納庫に行けば必ず人には出会うことになる。銃撃戦になるのは避けられないことだ。

「もう少し慌ただしくなってくれれば……」

 そう思っていると、艦が揺れ動いた。

「回避運動じゃない……牽制攻撃を受けている? スタティアが来てるってことかしら」

 艦の揺れから、回避運動ではなく、ミルキィフィールドへの接触だとアーリアは判断した。この海賊艦がどんな航路を取っているかわからないが、追撃を仕掛けるとしたらスタティアしか考えられなかった。

 しかも主砲の距離内にあるということは機動兵器が出ているということになる。

 それならこの艦の格納庫も開放されているということだ。

「今なら――」

 そう思い、アーリアは部屋を飛び出した。

 サブマシンガンを構えつつ、格納庫へ向かい走る。

 途中でも艦は揺れ動いた。今度の揺れは回避運動だ。

 体内ナノマシンを通じ、ウィルギヌスへの接続を試みる――接続は可能だった。だが、今ウィルギヌスを動かしてしまえば脱走が発覚してしまうため、ウィルギヌスはぎりぎりまで動かせない。

「とにかく格納庫へ――」

 通路の端まで行き、壁に背をつけて格納庫の様子をうかがう。

 格納庫にあるはずの機動兵器は少なく、予備機と思われる一機をのぞいてすべて出撃しているようだった。

 整備員たちがうろうろと動いているが、皆こちらには気付かないでいる。

 顔を出して格納庫の奥を見ると、そこにはウィルギヌスがあった。膝立ちの状態で置いてあり、ワイヤーのようなもので機体を固定されている。あの程度の拘束ならば動かせば解放できそうだった。

「思ったよりも簡単に放置されてるわね……。海賊たちも余力がないってことかしら」

 戦闘中の艦などはだいたいの場合自分の職務に手一杯になるので、周囲の異変に気付く者は少ない。この艦もそれは例外ではないようだった。

 解放された格納庫のハッチから外を見ると、時折ビームの閃光が見える。距離は遠く、この艦を狙っているものではないことから、外は混戦になっていることがわかった。

 ここを飛び出せばウィルギヌスに着くまで必ず発見されることになるが、行かなければならない。

 サブマシンガンの安全装置を解除し、アーリアは飛び出した。

「あっ!? メルクコアが!」

「どうした!? あっ!」

 飛び出した直後、整備員たちがアーリアを発見する。それはアーリアが思っていたよりも早かった。そして警報が鳴らされる。

『捕虜の脱走を確認! 戦闘員は格納庫へ! 捕虜への発砲を許可する!』

 発砲の許可が出されたということで、アーリアは手近にあったコンテナまで走り身を隠した。するとすぐに銃弾が飛んでくる。

 様子をチラ見すると、整備員たちが拳銃を向けていた。

「武装はしていたのね……」

 整備員たちまで武装させておくということはオッパリオンではなかなか考えられないことなのでアーリアは意外に感じられた。

「やっぱりただの海賊というわけではなさそう……!」

 アーリアはコンテナから体を出し、これから移動する方向へ向けてサブマシンガンを数発発射した。

 整備員たちからの銃撃が止んだ一瞬に、次の目標へと向けて走る。

 それはゼータリオンを捕まえたあの大型機動兵器の壊れたツメだった。そこに姿を隠すと、ウィルギヌスまではもうすぐ近くだった。

『予備の機動兵器を動かせ! メルクコアの機体を押さえろ! 遠隔操作されるぞ!』

「そうはさせるもんですかっ。ウィルギヌス、起きなさい!」

 ウィルギヌスになにかされる前に、アーリアはウィルギヌスを起動させた。

 起動したウィルギヌスはワイヤーを引きちぎり、立ち上がる。

 だが立ち上がったウィルギヌスに動き出した海賊の機動兵器が取り押さえにかかる。

 パイロットのいないウィルギヌスは自律モードで動き、押さえにかかってきた海賊の機動兵器と組み合いになった。

 アーリアの母乳力があれば海賊機程度など簡単にはね除けられるパワーがあるのだが、予備エネルギーで動作させているのでそこまでのパワーは出せないでいる。だが海賊機に乗っているのも正規のパイロットではないらしく、動きにどこかぎこちなさがあった。

「コクピットをこちらに向けられれば……」

 格納庫は重力が薄いので、ここからなら床を蹴ってコクピットへと潜り込める――アーリアはそう考えていた。

 だが、そうこうしている間に戦闘員たちが格納庫に到着する。

 隠れているツメへと撃ち付けられる銃撃が激しくなった。

 だがこのままジッとしていてはすぐに距離を詰められてしまう。取り囲まれたら勝ち目はない。

 そうなる前に、一刻も早くウィルギヌスに乗り込まなければならない。

「ウィルギヌス! パワーを上げて! わたしが乗り込める一瞬でいいから隙を作って!」

『了解しました』

 ウィルギヌスからの通信が返ってくる。

 すると押さえ付けられていたウィルギヌスは徐々にパワーを上げ、海賊機をはね除けはじめた。

 パワーの解放はあまり長くは続かないが、この一瞬が勝負となる。

「回り込め!」

「っ!」

 そんな声が聞こえたのでアーリアは急いでサブマシンガンを構え直した。

 遮蔽物から回り込むように戦闘員がアーリアの射線に入ってくる。

 アーリアはためらいなくトリガーを引き、やってきた戦闘員を撃つ。

 ひとりを負傷させたことでいったんは退いてくれたものの、次の突撃も時間の問題だ。艦内とは言えグレネードを投げ込まれる可能性もある。

 一箇所に留まることは危険が大きすぎたが、今はまだ出ることはできない。

「早く……ウィルギヌス!」

『了解――しました』

 無機質な返答をしつつも、ウィルギヌスは自らを押さえ付けていた機動兵器の腕を掴み返し、格納庫の壁面へと押し返した。

 それと同時に艦が急旋回をしたらしく、格納庫全体が大きく傾いた。

「今だっ!」

 アーリアは隠れていたいたツメから飛び出し、床を蹴ってこちらを向いたウィルギヌスへと跳ぶ。

「乗り込ませるな! 撃て!」

 空中にいるアーリアめがけ、戦闘員たちが一斉に発砲してくる。

 空中のアーリアもトリガーを引き応戦するが、狙いは適当だった。

「くっ!?」

 ウィルギヌスのハッチを目前に、肩口を一発の銃弾が掠めて行った。

 ジャンプの軌道がかすかに動かされたものの、その傷を負っただけでアーリアはウィルギヌスのハッチへとたどり着くことができた。

『おかえりなさいませマスター』

「ハッチを閉めて! すぐにここを出るわ!」

『了解しました』

 ウィルギヌスにも銃弾をぶつけられるが、機動兵器の装甲に対しては傷を付けることもできない。

 コクピットハッチが閉まるのを見ながら、アーリアはエネルギーを送り込む搾乳機を取り付ける。アーリアが乗ったことで母乳力を得たウィルギヌスは本来の力を取り戻した。

『取り押さえろ!』

 その声を受け、壁に押しやられていた機動兵器がウィルギヌスに掴みかかってくるが、アーリアが乗ったウィルギヌスの敵ではなかった。

「どきなさい!」

 本来の力を得たウィルギヌスはやってきた海賊機の腕を掴み、格納庫の奥へと投げ飛ばした。

 ぶつかった衝撃に艦が揺れる。

 アーリアはコンソールパネルで武装を確認すると、長剣が装備されたままになっていた。

「格納庫のハッチを開けなさい! でないと中から破壊するわ!」

 ウィルギヌスに長剣を持たせ、アーリアは外にも聞こえるように外部スピーカーを通して叫ぶ。格納庫のハッチがいつの間にか閉められていたのだ。

 すると中で暴れられては艦が大破する恐れがあるため、海賊たちはあっさりと格納庫ハッチを開いた。

「案外聞き分けがいいのね。それともわたしはもう用済みってことかしら」

 アーリアはそう言うと、ウィルギヌスを加速させ海賊艦の外へと飛び出して行った。

「こちらアーリアよりスタティア。海賊艦より脱出に成功したわ。現状を教えてちょうだい」

『提督、よくぞご無事で。必ず戻ると思っていました』

 通信はミストレアからだった。

「ありがとうミストレア。今座標を確認したわ。だいぶ近づいていたのね」

『あなたを助けに、乗り込むつもりでしたから』

「あなたも無茶なことをしようとするのね。でも大丈夫、なんとか抜け出せたわ。ゼータリオンも出ているのね」

『提督を助けるために出てもらいました。現在は敵の大型機動兵器と交戦中のようです』

「了解。ゼータリオンの援護に回ります。スタティアは海賊艦を撃沈して」

『了解しました。提督が逃げたのならもう遠慮はいりませんね』

「そういうことよ。――ゼータリオンの位置は……少し離れてるわね。孤立してる。マーチャやセルシアとも引き離されてる……急がないと」

 脱出したアーリアはすぐにゼータリオンを目指した。

次回更新予定は土曜日!!

最近、コメント頂いたりブクマして頂いたりありがとうございます。

スケキヨ氏と共に、皆様の反応を糧に、まだまだ頑張って参りますので、宜しくお願い致します。


「宇宙艦隊オッパリオン」をご覧頂き誠にありがとうございます。

小説家になろうの機能の評価とレビューの方も、お時間御座いましたら何卒宜しくお願い致します。

読者の皆様の声が、レビューが、評価が、「宇宙艦隊オッパリオン」の明日をつくる!!

面白い作品に仕上げていく為にも、些細な事でも気楽にレビュー頂けますと幸いです。

スケキヨとYOM、引き続き精進して参る所存です!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。