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宇宙艦隊オッパリオン  作者: 桐生スケキヨとYOM
【第1部】【第1章】「オッパリオン篇」
28/487

宇宙艦隊オッパリオン025話「翔平の焦り」

挿絵(By みてみん)

前回までのオッパリオンは。

皇女アティを連れて海賊艦から脱出した翔平とゼータリオン。

奈菜の心配をよそに、スタティアとオッパリオン軍は、海賊艦と帝国軍とオッパリオンの防衛の為に戦うことに。

翔平は皇女と共に、再び戦いへと身を投じることを決断した。

Zリーヌンスの真価は、果たして翔平達をどこへ導くのか?

捕らわれたアーリアの運命はいかに!?

熾烈な戦いがここに始まる!!

【〇二五 翔平の焦り】


 帝国艦隊がオッパリオン首都への進軍開始を受け、オッパリオン艦隊も迎撃に動いた。

 戦端は切られ、両艦隊による艦隊戦が開始される。

 スタティアは特務に当たるとして最前線からは離れていたものの、帝国艦隊の右翼端に位置している海賊艦に向かうため、前進していた。

「提督がいる海賊艦に動きがあります。本艦を捕捉、迎撃軌道に入った模様」

「あちらから出向いてくるなんて好都合ね」

「あちらもこちらに目的がありますからね」

 ミストレアと副長のエテレスが言葉を交わす。――が、その間も両艦隊の位置を示すマーカーはモニター上で動きを見せていた。

 突進してくる帝国艦隊に対し、オッパリオン艦隊は戦線を作って防ぐ布陣を取っている。

 スタティアはその左翼端に位置していた。

「機関の状況はどうかしら?」

「機関、七〇%ほどの出力で安定しています。艦内にZリーヌンス反応もあり、連動できています。出力にはまだ余裕があるとのことです」

「了解です。――では、機関最大出力、最大艦速にて敵海賊艦を急襲します」

「りょ、了解。艦橋より機関室、最大出力にて最大艦速――」

 ミストレアの命を受け、スタティアは急加速をかける。オッパリオン艦隊の戦列からひとつ抜きに出た時、海賊艦にも動きが生じる。

「敵海賊艦隊、熱源を多数射出。迎撃の機動兵器を展開です」

「全艦対空戦闘用意。同時に主砲で牽制をかけます」

 スタティアが主砲の準備に入ると、席で静かにしていたシアが不意に立ち上がった。

「シア?」

「敵の数を減らしてくる。大丈夫、提督は戻ってくるわ」

「……その予言、信じていますよ。シアも気を付けて」

「ありがとうミストレア」

 その言葉を残し、シアは艦橋を出て行った。

「敵目標の海賊艦、距離一二〇〇〇に接近」

「こちらも機動兵器を発進させて。スタティアの進路を開いてもらいます。全機、離れすぎないようにと」

「了解です。――各機動兵器パイロットに通達、全機発進せよ」


 ◇ ◇ ◇


『各機動兵器パイロットに通達、全機発進せよ。なお、本作戦における任務は本艦の進路確保です。本艦より離れすぎないようにしてください』

 翔平の乗るゼータリオンのコクピットにも、その通信が入った。

「皇女様、いよいよのようです」

「そのようですね。またあの大きい機動兵器が出てくると思います。孤立しないように戦いましょう」

「わかりました。スタティアをあの海賊艦につけるんですよね」

「はい。あとは突入部隊がやってくれると思いますので」

「俺たちがうまくやらないと、ですね」

「はい。ですが気負いすぎずにいきましょう。仲間を信頼することも大事です」

「そうですね」

 皇女の声はいつも以上に落ち着いているように翔平には聞こえた。

 そのおかげか、翔平にも緊張感はあるものの、平静を欠くほどの緊張には至っていなかった。

『マーチャ機、先に出ます』

『続いてセルシア機行きます』

 マーチャ機、セルシア機がそれぞれカタパルトから射出される。するとゼータリオンのとなりにあったシア機が動いた。

「シアさんも出るのか」

『シア機出ます。ショウヘイ、わたしの後に続いて発進して』

「りょ、了解しました。ゼータリオン、シア機に続いて発進します」

『艦橋了解しました。ゼータリオン、カタパルトへ』

 カタパルトではすでにシア機が射出された。

 カタパルトの外ではスタティアが撃っている主砲の光がそそいでいるのが見える。

 翔平はゼータリオンをカタパルトに乗せる。

「翔平機、ゼータリオン出ます」

『了解しました。そちらのタイミングで射出します』

「了解です。では皇女様、いきます」

「はい。お願いします」

「では――!」

 翔平の操作に連動してカタパルトが動作し、ゼータリオンが射出される。

 眼下にはオッパリオンが見える宇宙空間で、背後からスタティアの艦砲射撃が行われていた。

 ゼータリオンのモニターには敵機と敵艦の位置を示すマーカーが即座に表示された。

 逼迫した敵機はないものの、どのマーカーも急速に距離を縮めて来ている。

 まだそんな距離にも関わらず、前方にいたシア機は射撃を開始していた。

 翔平がその様子を見ていると、ゼータリオンのそばにマーチャ機がやってきた。

「マーチャさん?」

『ショウヘイ聞こえる?』

「はい、聞こえてます」

『あのでかいやつはこっちの機体じゃパワー負けしちゃうから、あんたに任せるしかない。皇女殿下もご一緒してるから本来守るのがわたしたちの役目なんだけど、今はちょっと無理っぽいから、なんとかがんばって欲しい』

「わかってます。みんなの足を引っ張らないようにします」

『ああ、頼むよ。できる限りサポートはするけど、しっかりやって欲しい。やばいって思ったら下がることを忘れないで。ひとりで戦ってるんじゃないってことも』

「はい、ありがとうございます」

 返事を返すと、マーチャ機は手を振って加速して行った。

『艦橋より各機、敵海賊艦より大型機動兵器の射出を確認しました。ゼータリオンは警戒しつつ迎撃に当たってください』

「了解です。――皇女様、行きましょう」

「はい、ショウヘイさん」

 大型機動兵器――バルフォングスの予測進路に合わせ、ゼータリオンを向かわせる。

「ショウヘイさん、博士にゼータリオンの出力をわたしの席でもわかるようにしてもらいました。力が必要な時は遠慮なく、わたしの母乳力を使ってください」

「ありがとうございます。俺のZリーヌンスもうまく使ってみます」

 未だにはっきりとした使い方はわからないものの、気持ちを高めるとZリーヌンスも強まるということは感覚的にわかってきていた。

 今もバルフォングスと渡り合うことを前向きに捉えると、ゼータリオンの出力ゲージがにわかに上昇を見せる。

『シア機より機動兵器各機へ。あの大きいのが来るわ。ショウヘイ、気を付けて』

「了解です。やつの狙いは俺だと思うので、こちらで相手をします。みんなはスタティアの進路を切り開いてください!」

 その通信を入れると、敵マーカーのひとつが急速に接近してきた。それは他のマーカーを圧倒する速さだった。

「!? 前より速い!?」

「ショウヘイさん、正面から来ます」

「くっ!?」

 コクピットに警告音が響くと同時、翔平はゼータリオンを急上昇させ、バルフォングスの突進を回避した。

 回避には成功したが、翔平は背後に殺気のようなものを感じていた。本能に従い、今度は機体を急降下させる。

 すると先ほどまでいた場所に急旋回をかけたバルフォングスが突進をしかけてきていた。

『ハッ! ちっとはやれるようになったなお宝さんよぉ!』

 コクピットにはバルフォングスのパイロット――マシウスの声が響いた。

「おまえの思い通りにはさせないっ!」

 バルフォングスをモニターの中央に捉え、ゼータリオンは大剣を構える。

「皇女様、母乳力をお借りします!」

「どうぞ、お使いください――」

 翔平は操縦桿を握り、意識を自分の内側に集中させる。

 アーリアを救い出すため、オッパリオンを救うため、力が欲しい――そう思いながら気持ちを集中させると、体の奥から熱が湧き上がる。そしてその熱の量はゼータリオンの出力ゲージに直結しているかのように上昇を見せた。

『これがZリーヌンス反応ってやつか!? だがな、こっちだってあのメルクコアの母乳でパワーは上がってんだ!』

 大剣を構えるゼータリオンに向け、バルフォングスが突っ込んで来る。

「ショウヘイさん! 正面から来ます!」

「迎え撃ちます!」

 バルフォングスはツメを開き、ゼータリオンを掴むべく突進をしかける。――が、接近の瞬間、ゼータリオンの大剣がツメを弾いた。

「くっ!?」

 タイミングよくツメを弾くことはできたものの、剣を振るい当ててもツメを破壊することはできなかった。

 操縦桿を握る翔平の手には堅いものを打ち付けたような感触が残る。

「堅い……!」

『こいつの装甲を甘く見るなよ! その程度のパワーじゃなんともないぜ!』

「まだだっ! ゼータリオンのパワーはまだこんなものじゃ……!」

 さらなる力を――前回の時に引き出したような力を――そう意気込むも、ゼータリオンの出力ゲージは現在値以上に上がらないでいる。

「ゼータリオン!? どうしてパワーが上がらない!?」

「ショウヘイさん、焦らないで! 焦ってはいけません――きゃっ!?」

「ぐわっ!?」

 バルフォングスの打撃を受け、ゼータリオンは横に吹っ飛ばされる。

『おまえとコクピットブロックだけ確保すりゃいいんだ! バラバラにさせてもらう!』

 バルフォングスはツメからビームを発する。だが、それはゼータリオンのミルキィフィールドが防いでくれた。

『ちっ、フィールドは健在か! だけどどうやらこの前みたいなパワーは出ないようだななぁ!』

 距離を詰めたバルフォングスがゼータリオンを殴り付ける。

 ゼータリオンは弾かれ、コクピットには強い衝撃が走る。

「ど、どうしてパワーが上がらないんだ!? 今はやらないといけない時なのに!」

「ショウヘイさん、母乳力も引き出されていません。このままでは……あっ!」

「しまった!」

 ゼータリオンの脚がバルフォングスに掴まれる。

 大剣を叩き付けてみるが、バルフォングスの装甲はびくともしなかった。

『その剣も取り上げだ!』

 大剣をツメで掴まれ、引っ張られる。

 ゼータリオンも対抗するが、バルフォングスの力は想像以上に強く、腕が引っ張られはじめる。

「くっ……ゼータリオンの本気が出せれば……! で、でもスタティアが……!」

 この間にスタティアが海賊艦に取り付いていてくれれば、それはそれでいい。そう思ったのだが、スタティアも他の海賊艦に阻まれ、思うように目標の海賊艦に近づけないでいるようだった。

「スタティアも苦戦してるのか!? は、博士、そっちは――」

『ショウヘイか? こちらも苦戦しているらしい。Zリーヌンス反応が鈍っているがそっちはどうなっている? 大丈夫か?』

 通信が繋がったミィアルーンは焦ってなどはいないようだったが、よくない状況を伝えてきた。

「俺が……やらないと……!」

 不利な状況が、翔平の焦りを募らせていた。

焦る翔平と皇女アティの運命はいかに!?

次回更新をお待ちください!!

更新予定日は水曜日です。


「宇宙艦隊オッパリオン」をご覧頂き誠にありがとうございます。

小説家になろうの機能の評価とレビューの方も、お時間御座いましたら何卒宜しくお願い致します。

読者の皆様の声が、レビューが、評価が、「宇宙艦隊オッパリオン」の明日をつくる!!

面白い作品に仕上げていく為にも、些細な事でも気楽にレビュー頂けますと幸いです。

スケキヨとYOM、引き続き精進して参る所存です!!

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