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超絶エリートの俺が異世界に行くなんて  作者: 吟遊詩人F
冒険と変わりゆく日常
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固有スキルのハウツー

声のする方に走って向かう、絶叫にも似た怒鳴り声が徐々に近いてくる。村から出ずに入り口で夜の闇に目を凝らすと男性がオーガに襲われていた。見た事は無いが体格を見る限り恐らくあれはオーガだ、噂に違わぬ強靭な巨躯で額にある角が不気味に紫色の輝きを放っていた。身長は2メートルを超え手には大太刀のような大刀を軽々と振り回している。男性が叫ぶ声が聞こえてきた。


「くそ!異世界転生はチートじゃねーのかよ!」


襲われている男性側もオーガ相手に善戦している。オーガを数体仕留めていた、だが多勢に無勢。紫に輝く角がワラワラ、ワラワラと次々に出現した。闇から無限に現れるのでは無いかと鈴木は思った。村の入り口から見える鈴木の視野は紫に染まり何人、何百人、何万人いるのだろう。想像するだけで恐怖と悪寒が走った。


「死にたくない…死にたくないよー!誰か助けて」


男性は泣き叫びながら命乞いをしている、鈴木は大声で男性に呼びかけた。


「こっちだ!こっちに来い!」


鈴木の声に反応した男性は必死に村へと駆け寄って後少しで村に入れると思った瞬間、鈴木の目の前で男性は村の結界に弾き飛ばされて尻餅をつく。


「へっ?」


「え?」


何が起こったのか男性も鈴木も一瞬理解が追いつかず間の抜けた声が出てしまった。2人が呆けているとオーガが男性の髪を鷲掴みにして、男性は闇に連れ去られた。ジタバタする手足が闇夜に消えて男性の断末魔の叫びが漆黒の夜に響き渡る。


キュポン


変な音がした。何が起こったのか分からないが先程まで目の前で繰り広げられていた地獄絵図からは想像出来ないマヌケな音がした。鈴木が夜目で必死に辺りを見渡すと男性が連れ去られた一帯の紫の角の光がゴッソリと消えていた。


「何がどうなっている?」


村人を含め騒ぎに気づいた人々が見守る中、紫の光の海は村から徐々に離れて行き、視界から消えたのを確認した鈴木は周辺を警戒しながら男性が連れ去れた方向に足を運んだ。


「ちょっと太助さん危ないですよ!オーガが潜んでたらどうするんですか?」


声を殺しながら鈴木の軽率な行動を叱るアンナ。


「大丈夫だろ、あれに知性は無い」


「興味深いです、何故そう思われるのかお聞きしたいですわ」


「1人相手にあの数が動く事が証拠だ、虫と一緒で動くものを標的にしているだけだろ」


「ふふっ、確かに人間1人に道を埋め尽くす程の大軍勢を動かすのは知能があるとは言い難いかもしれませんわね。でもアレが人間で無いとすれば」


リーゼがアレと呼んだ男の死んだであろう場所に辿り着くと緋色に輝く光源体とこげ茶色に輝く光源体を発見した。


「もしかしてあの男性は…」


「魔王討伐に何千何万も兵を出していたなら納得ですわ、あまり相手を過小評価して気を抜かない方がよろしくてよ」


鈴木は緋色の光源体を身体に取り入れた。


レア習得スキル スーサイドを獲得した。


続いてこげ茶色の光源体を吸収する。


固有スキル 猫の目を獲得した。


鈴木の視界が昼間の様に明るく見えた。


「太助さん…目が光ってますよ」


「亜人の猫族みたいですわね」


アンナとリーゼには鈴木の目がキラリと光っている様に見えているようだ。鈴木は辺りを見回しオーガやモンスターがいない事を確認すると黎明の旅人は急いで村へと戻った。


「それどうなってるんですか?」


アンナが不思議そうに鈴木の瞳を覗き込む。近い!息が当たる至近距離に無邪気に入り込み、湯上りの良い匂いがした。


「ンー、固有スキルで猫の目ってのを手に入れたから、それかな」


鈴木がアンナの問いかけにドキマギしながら答えるとリーゼが話しかけてきた。


「固有スキルはほっとくと勝手にアクティブ化するので使わない時は切っておいた方がよろしいのでは」


「えっ!?切れるのこれ」


リーゼは呆れながら教えてくれた。


「本当に何も知りませんのね、固有スキルによっては常時発動ですが、不便な時があるので任意で切る事が基本は出来ます。もちろん例外もありますが」


「どうすればON、OFF出来るの?」


「まず持っている固有スキルを呼び出します、やり方は目を閉じて出てこいって念じます」


リーゼの説明は大雑把だなと思いながら目を閉じて出てこいと念じてみると一覧が出てきて鈴木は少しビックリした。


「出まして?」


鈴木は頷く。


「次に光ってるものを確認して下さい」


鈴木が自己の固有スキルをチェックすると一番上は文字潰れしたスキルがあり勇者の威風スキルと、不眠不休スキルと猫の目スキルが光っていた。


「試しに何か一つOFFにして下さいな」


鈴木は試しに勇者の威風スキルをOFFにしてみた瞬間ミハイルがいつもの何倍にも重く感じ剣先を地面に落としてしまった、布の服と変わらない感覚だった皮の鎧も重く感じた。


「ではOFFにしたものをONにして下さい」


鈴木は勇者の威風スキルをONにすると装備品がいつも通り軽くなった。


「今度は猫の目をOFFにしてみて下さい」


鈴木は猫の目をOFFにした、すると昼間の様な明るさが夜に戻った。


「猫の目をOFFに出来たみたいですわね。後は必要に応じて自分で調整して下さいませ」


鈴木は気になる事があるのでリーゼに質問してみた。


「文字が読めないのがあるんだけど」


「それは触らない方が良いと思いますわ、それをOFFにして死ぬなんて事も無いとは言い切れませんから。明らかにマイナスの固有スキルと判断しない限りは無視ですわ」


無視ですかと思いつつ、とりあえず不眠不休と猫の目はOFFにする鈴木であった。

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