七月三十一日 「図書館へ行こう」
今日は、夢を見なかった。
いや、もしかしたら見ていたのかもしれないけど、何も思い出せない。幸せな夢だったのか不幸な夢だったのか、覚えていないってことは、本当にどうでもいいことだったのだろう。
それは良いことでもないけど、悪いことでもない。
遠くの雨と風の音を聞きながら目を瞑れば、次にその目を開けた時、もう小型の台風は去っているようだった。
「……よし、早起きできた」
すっかり役割を持たなくなった電子機器をタップすれば、ホーム画面が立ち上がり、時刻は『5:00』と示している。
いつもより早いが、その分寝る時間も前に倒したため、寝起きの苦しさ等は一切なく快調だ。
さぁ、彼女は起きてるかな、と僕は簡単に支度を進めて居間へと歩いていった。
「……ふわあぁ……。むにゃ……」
見つけた。
彼女は昨日と変わらず、縁側でまだ遠い朝日を眺めている。
でも、その姿は寝癖が生えているように少し寝ぼけていることが遠目でわかって、いつも元気いっぱいな彼女のまだ見ぬ一面だった。
……こっちに気付いてない。……ちょっとおどろかしてみよう。
足音を立てないように慎重に近づいて……。
「わっ。おはよう風香」
「──ひゃあ!?……び、びっくりした!もー!おはよう、誠!」
つい意地悪なことをしてしまった僕は、油断したのか飛び上がるほど驚く風香に背中を叩かれてしまう、当然の仕打ちを受けた。
そのポカポカと力のこもっていない打撃はむしろ気持ちいいほどで、こんな状態でも「おはよう」と返してくれる彼女に笑ってしまった。
「ごめんごめんっ。どうしたの?ちょっと眠い?」
「んー、まあこの時間はねえ。いつも外を見てたらだんだん起きてくるんだけど……今日はもう眠気なんて吹き飛んじゃった」
「へえ。それはどうして?」
「誠が驚かしたからに決まってるでしょー?……ふふ。誠、起きてくれたんだ」
「当然。約束だから」
昨日の朝の出来事を忘れるほど鳥頭ではない。
「へぇ〜?誠は約束を必ず守る男の子なんだねえ」
「……?それはみんなそうでしょ。約束なんだから」
「そっかそっかあ!」
彼女は僕を試すようにじっと見つめている。
にんまりと笑顔になったその時に、怪訝に首を傾けた僕にあることを言った。
「じゃあ、私と遊んでくれる?……なんて、こんな約束は結べるかな」
彼女は何を言っているんだろう。
そんなの、決まっている。
「そんな約束は結べないかなあ」
「ええ!?いいよって言ってくれる流れじゃないのー!?」
「あはは。約束なんて結ばなくても、毎日遊ぶよ。僕が風香と遊びたいから」
「……!もう、恥ずかしいこと言うなあ……」
なんだか遊ぶことを『約束』と言ってしまったら、そこには義務感が含まれてしまうような気が僕にはする。
彼女と遊ぶのは義務じゃない。
僕がひとりでいたくないだけだ。
「でも、なにか約束しておきたいなあ」
「なにそれ」
「えへへ。約束を思い出すたび明日が楽しみになるからかなー?」
「風香こそ、恥ずかしいこと言うね……」
「今は良いのがなにも思い浮かばないけど!」
「……じゃあ、こうしようか。この夏のいつか、思いついたタイミングで僕に教えてよ。一回だけならなんでも言うことを聞くことにします」
「おお!?ふとっぱらだね!」
「その代わり、風香が約束を言ったら、僕の約束も叶えてね。等価交換だ」
「うん!ぜんぜんいいよー!受けて立つ!」
「まず約束を言うのは風香だから受けて立つのは僕なんだけどね……」
そんな他愛もない会話を、僕たちは縁側で語り続けていた。
ゲームも何もしない、けど二人で話しているだけで時間はあっという間に過ぎ去っていく。
昨日の夜に書いた回覧板を朝イチにやってきた蒼華に渡して、新聞をもらって、お別れして、今日も仕事で出掛けてしまった円海さんが作ってくれた朝食の砂糖入りフランスパンを食べて。
もうすっかり、太陽が昇っていた。
昨日の大雨の痕跡は、濡れた道路だけ。
それも数時間後には乾いて消えてしまうだろう。
◇
「よーしっ!今日は“図書館”に行きます!」
茉里から貰った地図。僕たちはそれを広げ、残りの“山中の廃屋”と“図書館”を選んだ挙句、近いそっちの方で時間を使うことにした。
廃屋を最後に残した理由は、風香曰くワクワクするから、だそう。
……危ないよ、なんてのは野暮か。茉里が勧めてくれるぐらいだからよい遊び場なのだろう。
「今日は、っていうか、今日も、暑いからね。屋内の方が嬉しいな」
「ねー。私、夏ってすごいなあって思うよ。こんなエネルギーを毎日味わえるんだから」
「ちょっとうんざりもしてくるけどね……」
「あははっ!……んー、私はずっと晴れでもいいぐらいこの天気が好きだなー!」
「ふーん、どうして?」
「雨でも誠と遊べるけど、やっぱりこうして散歩しながら誠と話せるのが好きだからなのです!」
「……そっか。じゃあ、僕も晴れのほうがいい」
「誠も散歩好きだもんね!」
「……まあ、うん、そうだね」
僕は時折不安になる。
たまたま巡り会っただけなのに、どうして僕と遊び続けてくれるのだろう。同じ家に住んだのが僕じゃない別の誰かだったら、彼女はその子とこんなふうに遊ぶのか。
……きっと、遊ぶだろうな。彼女は誰とでも仲良くなれる、そんな子だから。
「早く行こう、図書館に。本が全部借りられちゃってるかもしれないし」
「……!あははっ、え〜?そんなわけないよぉ誠!でも、急ごっか!さあ、走るよ〜!」
だったらこんな出会い方をしていなかった僕は、君と仲良くなれるのかな。
わからない、けど、それでも仲良くなれるように、君が僕といて楽しいと思えるように、そばにいれば安心させられるように、言葉を信じてもらえるように、いつか見限られてしまわないように。
僕は頼れる人にならなきゃいけない。
それが僕の過去を洗う唯一の贖罪だから。
◇
「……!お客さんだ……!いらっしゃいませー!」
僕たちは町の真ん中、住宅が集まったその横に建てられた立派な建物に入っていった。
そこは、周辺の建物の伝統的な、悪く言えば田舎的な、木造建築ではない。
近づくだけでセンサーが反応して、ドアが自動で開く。
そう、ハイテク……というには都会では当たり前すぎるが、そこは鉄とコンクリートを使って造られた確実に最新の建物だった。
島に似つかわしくないその場所。
そして、“図書館”というには似つかわしくない店員の挨拶。
僕は思わず固まってしまった。
「……え、いらっしゃいませ?」
これは僕の常識か。この場所は図書館であるはずで、それは公共の建物だから、商店のような感覚でその言葉を使うことに違和感を覚えたのだ。
役所のようなこぢんまりとしたカウンターに座る、司書だろうひとりの人物。
その人が妙に高いテンション、潤った高い声でこちらへ話しかける。
「はじめてのご利用、ですよね?なにかお探しですか?」
司書というのはこんなにもフランクに話しかけてくるものだったか、僕たちを見て島民ではないと判断したその人はにこやかな笑顔で僕たちの目を見つめていた。
「うん、初めてここにきたの!でも、特に探しに来た本とかはなくて……」
「あぁ、そうでしたか!良ければ、この図書館内を案内しましょうか?」
落ち着いた話し方をする人物。女の子か、背は僕より低いけれどしっかりした印象が残る。
その人はカウンターから立ち上がって、風香の答えへスマートな返しをした。
正直、図書館とは静かな場所だと思っていたから、こんなにフレンドリーに声をかけられることは想定外。
だが、せっかくこう言ってくれたのだから、ありがたく乗るのが、この島の自由な住民との接し方だろう。
「それじゃあ、お願いしてもいいですか?」
「はい、任されました。……あぁ。その前に」
「……?」
その人が腰を上げて、笑顔のままこちらへと近づいてくる。
そうして、右手を僕たちの前へと差し出した。
握手だろうか、と同じ右手で挨拶しようとしたそのタイミング。
「──君たちが誠くんと風香ちゃん、かな?」
突如、そんな驚くべきことが僕たちへ囁かれる。
名前が、バレている……?
もう一度見ることにしたその笑顔は、今見れば、随分といたずらめいた妖艶な表情のように映っていた。
「うえー!?そうだよ!話したことあったっけ……?」
「いやないはず……、はじめまして、ですよね」
「あははっ!うん、はじめましてだよ。君たち、茉里ちゃんの友達だよね」
ここを教えてくれた駄菓子屋の少女の名前。
彼女の知り合いなのか、その人は爽やかに笑って僕たちに尋ねた。
「うん!そうだよ!もしかして茉里ちゃんから私たちのこと教えてもらったの?」
「そうそう。島の外から面白い子たちがやってきたんだ、って聞いてる」
「……それは、なんだか、恥ずかしいですね」
「あはは。恥ずかしくなんてないよ。会えて嬉しいな。茉里ちゃんだけじゃなくて、みんなが君たちを面白いっていうから、いつここに来るのかずっと待ってたんだ」
短いけれど艶のいい髪を持つ可憐な人物は、僕たちの手を強く握ってそんな意味深なことを言っていた。
距離が近くて、視線を逸らさない金木犀の匂いがする。
「みんな?」
「うん、みんな。心愛ちゃんともあったでしょ?ボク、二人と同級生なんだ」
海の家で初めて心愛と出会った時、彼女は自分と茉里を含めて、四人の同級生がいると言った。
そのうちのひとり。高校二年生。
そんな関係性なら、先に出会った彼女たちが僕のことを伝えていてもおかしくなかった。
「へ〜!えへへ、私も会えて嬉しいな!ねえ、あなたの名前は?」
名前を先に知られていたから、公平になるように彼女は親しみを込めてそう尋ねた。
「ボクは凪沙。平良凪沙っていうんだ。今は……なんでもいいかな。覚えやすいなら平良でも凪沙でも」
「平良さん……」
「あ、さんづけは禁止!」
「……ふふっ、じゃあ敬語は?」
「当然バツ!むずむずするからね」
もうこの島の少年少女との接し方には慣れてきた。アレルギーの話は嘘かもしれないが、それはきっともっと仲良くなりたいという意思の表れでもある。
だから、僕は年上のその子にも、緊張することはもうなかった。
「じゃあ凪沙ちゃん!よろしくね!同じ年代の女の子って結構多いんだね〜」
風香はいつものように、女子には親しみやすくちゃん付で呼び、初対面でもフランクな明るい喋り方は変わらない。
きっとこの時も深く考えず、その人物を“女の子”とそう呼んだのだろう。
だが凪沙は、困ったように笑って後頭部をポリポリと掻く。
「あ……っと、ボク、男だから凪沙くん……かな」
…………。
「…………男!?」
え、ええ、脳がフリーズした。
彼女……じゃない彼は、夏だというのに袖の長いゆったりとした服を羽織っている。彼を驚いて見返してみても、顔立ちは幼い少女のようで、背は150センチ程度、落ち着く透き通った透明感のある高い声。
そこには高校生の男子が持つ特徴的な成長がまだ訪れていない、あどけない少女がいるようにしか思えない。
「……わっ、ごめんねぇ?私嫌なこと言っちゃった?」
「僕もごめん。勘違いしちゃってた」
今時、多様性の時代であるし、人の性別を間違って断定することは失礼にも程があると僕は理解している。
だから僕たちはそう自然に思ってしまったことにまず謝ることが優先だった。
「……!あはは、いいよいいよそんなに気にしなくて!この顔だからよく間違われちゃうし慣れっこだから」
「それでもごめんね。じゃあ、凪沙くん、でいい?」
「うん。それでお願い。……さあ、自己紹介はできたし、早速この図書館を新しいお友達に紹介しようかな」
凪沙はカラッと晴れた態度で微笑み、僕達を先導する。
友達。たったこの一瞬で、挨拶を交わしただけなのにそう呼んでくれるのは、やっぱりこの島に住む人たちの特殊な性質であり、とても居心地の良い雰囲気の正体であった。
◇
「ここが開架室。数年前にリニューアルしたばっかりだからいっぱい本があるんだ」
自動ドアを抜けて凪沙と出会ったエントランス、そこから道を進んで図書館のメインエリアというべきその場所へ彼は案内する。
外見だけで予測はできていたが、ここは実際かなりの大きさを誇る面積で、本がぎっしり詰まった書架が整列されて壮観に並んでいた。
棚が置かれた場所だけで駄菓子屋四つ分以上はあるか、リニューアルされたと言うように清潔感のある室内だ。
「わあっ、本がいっぱい!どんなのがあるのかな〜?」
「ジャンル分けされてるから、気になるのあったら行ってみて!」
「へぇ、ジャンル分け。たしか図書館は分類が統一されてるんだよね?0類から9類までみたいに。ここもそうなの?」
「いや?」
いや!?
「見て誠!【欲望】類だって!」
知らんジャンルきちゃったよ。
「あぁそれは宝くじの当て方とか置いてあるよ」
強欲!?
「不倫小説もある」
色欲!?
「あと異世界転生系も置いてあったかな」
現実逃避!?あんまり欲望満たしたいなと思って本探すことないよ!?
「この【鈍器】ってジャンルは?」
知らんジャンルきちゃったよ!
「広辞苑が置いてあるよ」
物理的にデカいやつ!?
「あと図鑑系」
角ばっているけども!
「この島の小学校の卒業アルバムもある」
そんなものを図書館に置くなよ!それも鈍器コーナーに!
「……これ、見つけにくくないの?」
「うーん、最初は困っただろうけどみんなこれに慣れちゃったからね……。直感的に探せるんだ。便利でしょ?」
それはどうだろうかと、僕もそのジャンルたちに目を通す。
【号泣】、【絶望】、【幸福】……。
……なんだこのジャンル分けは。普通の小説のように見えるが。
「あ、その辺は物語のオチだね」
最悪のネタバレだ!
確定された絶望を味わいたくて人は本を読まない!
「でも、すごいねぇ。こんなに本があるけど、全部読んでるから分けられるんでしょ?」
ここには本当に数え切れないほどの書物。
たしか一般の図書館には十万冊程度あるのだったか、それに匹敵するだろう量がはちゃめちゃなジャンルにしっかりとおさまっている。
「店長がすっごく本が好きでね。読んでみて面白かった本をここに入荷してるんだ」
「へ〜!すごい、ここにあるの全部自信作なんだ!」
「うん!ボクも好きな本がたくさんあるから、良かったら貰っていきなよ!」
そうして彼が放った言葉に、風香は目を輝かせていたが、僕はやはり引っかかるところがあった。
“店長”?……館長ではなく?
“貰う”?……借りるではなくて?
僕はそれらの小さな疑問を凪沙に伝える前に、もっと大きな疑問を、小さく、声に出した。
「ね、ねえ、凪沙。さっきから大声で話しちゃってるけど、いいの?」
普通、図書館は私語厳禁がルール。
図書館内は人こそ多いわけではないが、まばらに大人たちが棚から本を抜き出している。
なのにその見習い司書であるはずの凪沙は、どこにいても気にせず僕達へ話しかけ続けている。
「あはは、そっか外は違うんだよね。うん、ここはどこでも自由に喋ってオッケーなんだ」
「そうなんだ……、どうして?」
「どうしてか……、うーん、自分が好きな本を誰かと語り合えたら最高でしょ?」
「うん!友達が暇そうにしてたらこの本を読んでみなよ、っておすすめしたくなっちゃうよね!」
「そう、だから自由に交流できるように店長がそんなルールにしたんだよ」
なんと自由で優しさに満ちた島だろう。
迷惑な人が訪れることを想定せずに、閉鎖社会であることの絆を信じた規則だった。
「それに静かに本を読みたいって人は、横に防音の学習室があるしね」
凪沙が指を差したのはメインエリアの手前。エントランスの横の扉だった。なるほど、本を読むことに適したスペースが用意されているのなら、なんの問題もなく快適な図書館そのものだな。
「あんまり使ってる人はいないんだけどね。今日は勉強目的が一人いるぐらい」
すれ違う図書館利用者の数からすれば、静かな場所を使いたいと言う人はほぼいないのがわかった。そして、その一人は本を読むわけではなく、自習となればよっぽど勉強熱心な人なのだろう。
「じゃあ、もう一つ質問いい?……さっきから、本を抱えたままの人が図書館から出てってるけど……いいの??」
エントランスにいたのは、というか現在ここで働いている司書は凪沙だけ。
それも僕達が占領しているとなれば、本の出入りを監視するカウンターは素通り状態だ。
これは……かなりまずいのではないか?
「あははっ!盗まれてるようにみえた?大丈夫だよ誠くん」
「大丈夫って……!?」
「ここは図書館だけど、厳密に言えば本屋でもあるんだ。だから“借りる”って行為はしなくて大丈夫」
……?彼の言っている意味が余計わからなくなる。
「本屋……!?それなら余計、もっと厳しく取り締まるべきじゃないの……?」
貸借だけの関係とは違って、本屋という物を売買して利益を求める企業ならばレジを通さないことは論外に等しかった。
「そうかもねえ。……でも、うちの店は支払いを読み終わった後にするんだ」
「……後払いってこと?」
「そう。こっちが自慢の本たちを用意して、それを島民が自由に持っていく。読んでみて気に入ったら、紹介代としてその分の代金を支払いにきてもらう」
「……!なんだかすごい仕組みだね〜それ!もし読んでみてその本が気に入らなかったらどうなるの……?」
「その時は何も言わずに棚に返して良いんだ。きっとその人に対して合わなかったってだけだから」
聞けば聞くほど、現実離れした不思議な信頼関係という繋がりでここは保たれているとわかる。
気に入らなかったら返金します、というのは資本主義という面でなるべくやりたくないことであるし、そもそも本というのは一度読めばなかなか見返すことはないモノであるから、気に入っても黙って本を返せばお金を払わなくて良いという抜け道も存在する。
「……そんなことする人っているの?」
「いやあなかなかいないよ。みんな十冊以上一気に持っていって、そして一気に買ってくれる」
すごい世界だ。なんと温かい空間。
「それは、すごくいいね」
「ね。やっぱり面白いなあこの島は」
僕と風香は、その温かさの中で過ごせることを幸せなことだとして、ただ二人で見つめあって笑った。
図書館というのは窮屈なイメージがある。
ひとりで向き合うための静寂な空間。それはきっと間違いじゃないし、悪いことでもない。
でもやっぱり、“本を楽しむ”という点でいえば、こんな賑やかで自由な図書館があっても、面白いかな。
「ふふっ、そういってもらえてボクも嬉しいな。ここが本が置いてあるメインのところだけど……他にもいっぱい楽しい所があるよ。行ってみようか」
凪沙は持ち前の可愛さの中に、どこか少年的とも言えるような活気に満ちた表情で、爽やかに僕たちをいざなった。
◇
「ここは読み聞かせスペース。週に一回、司書が島の子たちのために絵本を読んであげるんだ」
「わぁ、絵本がたくさんあるね!私、これとこれ、読んだことある!」
「僕も見覚えのある本がいっぱいあるな。懐かしいかも」
「全部名作だよね。そうだ、ボクが何か読んであげよっか?みんなから評判なんだよ〜?」
そういう凪沙はとても良い声を持っている。
風にそよぐ草原のような、ハッキリとして爽やかな落ち着く声。……少し気になるけど、もう絵本を読み聞かされる歳じゃないしな。
それは小学生までだ。
「え!ききたいききたい!」
それは小学生までだ?
「ちょっと、子供っぽくない?」
「え〜?高校生も子供だよー?」
何を達観した大人みたいなことを。
「18歳までは法律的に子供なのです!」
成人していないという意味では……まあそうか。
「じゃあ、風香はもうすぐ大人になるね」
「……ぐう、そうなのです……、大人になんてなりたくない……」
「ピーターパン症候群予備軍?」
「誠を置いて大人になってしまう……。誠が急に年を取らないかな……」
「僕を置いて行ってください。歳は無理です二歳差です」
「……でも、逆を言えばやっぱり今しか子供らしいことはできないよ。ほら、誠も聞きたいでしょ?」
……。
「うん。聞きたい」
率直に言えば内容というより、凪沙の透き通った綺麗な声で読み聞かせされたい気持ちはある。とてもある。同じ性別だとか関係なく、その安心する声で話してくれれば何かが満たされる気がする。
「あははっ、じゃあ読んであげるね。いい絵本をとってきます!ここに座って待っておくよーに!」
「ねえ、凪沙くんどんなお話を読んでくれるのかな……!?」
「うーん。そもそも、絵本ってどういうのがあったっけ?」
「童話とか?桃太郎は有名だよね」
「あー、かちかち山とか一寸法師とかね」
「勧善懲悪系だ」
「他には花咲か爺さんとか鶴の恩返し?」
「恩返し系だ」
「海外のはシンデレラなんかもあるか」
「パワハラ系ね」
「それ序盤だけね?……赤ずきんは?」
「特殊詐欺系」
「される側のお話」
「あははっ、でも童話って結局なんだか教訓が隠されてるよね」
「確かに。だから長く語り継がれてきてるのかなぁ。……桃太郎で言うと?」
「餌付け?」
「教訓なわけないよね?……鶴の恩返しは?」
「プライバシーを守ろう」
「恩を返す所じゃないの?……シンデレラ」
「見た目よりも中身が大事!」
「魔法が解けても愛は変わらない!次あかずきん!」
「知らない人についていかない!」
「知ってる人に化けられたらどうしようもない!」
「ふふっ!すごい……今考えてみたら童話ってすごく面白いかも!」
「だね。子供の時と比べて今読んだら感想変わっちゃうよ。……童話の他に絵本ってどんなのがあるかな」
「はらぺこあおむし私好きだったなあ」
「健康管理が教訓か」
「スイミーも好きだった!」
「知恵と団結が教訓……。面白いね、凪沙はどんな教訓のものを選んでくるんだろう………」
「二人ともお待たせ!これ読んでみるよ!フランスパンマン!」
ご当地絵本??
「頭がフランスパンでできてるヒーローなんだ!」
どこのアンパンマンだよ。
「市民の食料であるパンを奪う盗人たちを懲らしめるの」
ストーリーはオリジナルか?
「パン善懲悪だね!」
なんて?
「飢えた人には頭のフランスパンをちぎって分けるよ」
それはアンパンマンだよ。
「頭を食べた人はフランスパンマンの仲間になるんだ」
それなんてきびだんご?
「いつしかフランスパンマンは与えすぎちゃって頭が無くなるんだけど、それでも仲間だけはずっとそばにいるの」
見た目よりも中身が大事!?
「敵は強大だけど最後はみんなで力を合わせて撃退するんだ」
知恵と団結!?
「パン結だね」
なんて!?
「盗人たちもただの悪人じゃなくて食料がなかった市民なだけなんだ。最後はみんなで世界の飢餓問題を考えるのに着地するね」
深い話!?教訓で埋め尽くされた話なの!?
……あと今読み聞かせされる前にめちゃくちゃネタバレされた!?
◇
「…………すごい心温まる話だった」
「ね。……絵本ってすごいなあ、すんなり頭に入ってきちゃう」
「あははっ、そう言ってもらえて読んだ甲斐があったよ!」
登場人物全員のセリフに、声を変えて演技をする凪沙は読み聞かせのプロと言っても過言ではないほどだった。
「じゃあ次は資料室にいってみようか?」
「資料室?」
「うん。年代ごとの夕刊の新聞が置かれてあるんだ」
「へ〜!私が生まれた日のものとかあるかなぁ?」
「絶対あるよ。そういうのみるの結構面白いんだよね〜」
「へえ。何が書いてあるのかな」
「天気とか、放送番組とか、スーパーのチラシとか?」
「それが面白いの……?」
「たとえばボクの生まれた日は雪だったね」
「……?冬だったんだ」
「三月生まれなのに」
異常気象!?
「チラシだとバゲット型のフランスパンが一本150円だった。びっくりだよね」
パンのチラシなんて見たことない。
フランスパンの数え方は本であっているのか。
フランスパンの相場を知らないからなににおどろいているかわからない。
「うおおそれはびっくりだね!」
大変驚くべきことらしい。
「物価安いね!」
安さに驚いていたらしい。
「ふふ、イベントのない毎日なんてないからね。どんな誕生日だって、自分が生まれたこと以外に面白い何かが起きたんだ」
「……たしかに。僕の日も気になるな。連れて行ってよ、凪沙」
◇
「風香ちゃんはこの年の……あった、八月二十八日だ」
「おお!凪沙くん見せてみせて〜!」
「えーっと、まず晴れです!」
「いいねぇ、なんか嬉しくなっちゃう」
「へぇ風香は晴れ女なんだね」
「ふふん、似合うでしょー!」
「でも記録的な突風が吹いたらしいよ」
「へぇ風香は風女なんだね」
「なにそれ誠聞いたことないよ?」
「あと快晴で太陽が眩しすぎて影が一番濃く出た日なんだって!」
「へぇ風香は影女なんだね」
「なにそれ誠!?ちょっと嫌だよ!?あと何その日!?」
「心温まるニュースで言えば、ある水族館でウミガメの人工出産に成功したとか」
「へぇ風香はカメ女なんだね」
「止まって誠!?それ鈍い女みたいになっちゃうよ!あとカメさんめでたい!」
「あ、みて!この日ボクの好きな映画が初めて日本で上映されてる!」
「おぉ凪沙くんの好きな映画?どういうの?」
「サメバトル映画!」
「サメバトル映画!?バトルなの!?ホラーじゃなくて格闘なの!?」
「B級だけどサメとデスマッチするシーンは実写なんだよね!」
「サメとデスマッチするシーンは実写!?」
「最後は総理とサメの戦いで敗北して世界がサメに飲み込まれてバッドエンドなんだけどねぇ」
「どういう話!?スケールでかいね!?気になってたのにオチバラされちゃったよ!」
「へぇ風香は──」
「サメ女っていうよね誠!?」
「──負け女なんだね」
「サメ女より酷かった!全ては私の生まれた日にサメバトル映画が公開されて、そのデスマッチの末に総理が負けて世界が飲み込まれるオチだからだ!」
……風香って結構ノリノリでツッコミやってくれるよね。
◇
「次はちょっとゲームをしようか」
「ゲーム?どういうのをやるの?」
「お題に沿った本を見つけられるか、ってやつだね。暇な時によく仲間とやるんだ」
「面白そう!勝利条件は?」
「見つける速度と適切度合いと芸術点の総合評価だね」
知らん点出てきた。
「……まあやってみればわかるか。テーマ教えてよ」
「じゃあ……シンプルに【夏】らしいものにしようか!」
「はーい!」
◇
「さあふたりとも準備はできた?」
「もちろん!ま、優勝は固いかな」
「自信満々だね誠……!?」
「あははっ、じゃあ先手はボクからにしようかな。ドン、これです『エアコンのひみつ』」
……。
「かなり夏だ!?そのひみつシリーズ子供の頃に見たことあるよ!」
「ふふ、エアコンはこの時期必須だからね。技術の凄さを学ぶほど冷房がない茉里ちゃんの駄菓子屋が少しかわいそうになるよ」
「優越に浸るための読書!?」
「あははっ、そんなことはないけどね。夏の生命線として読むだけで涼しくなれるかも?」
「エアコンの本体がなかったら効果ないんじゃない……!?それで、誠は何を選んだの?」
「………『アイスクリームのひみつ』」
「被っちゃったよひみつシリーズ!」
「【教養】ジャンルにおいてあってビビッときたのに……エアコンの方が夏っぽかったな……、アイスクリームは年中食べれるな……負けた……」
「なんか落ち込んでる誠!?さっきすっごい自信満々だったのに!?意外と負けず嫌いな面が発動しちゃった!?あと私はアイスクリームの方が夏っぽいと思うよ!」
「うーんいいね誠くん。読むだけで涼しくなれるならアイスクリームのひみつの方が強いよ」
「読んでもお腹空いちゃうだけだよ!?」
「芸術点は誠くんの方が上だね」
「本当?じゃあ適切度合いは凪沙の方が上だよ」
「なんでお互いを認め合う流れになったの!?ひみつシリーズの友情!?」
「……ふふっ、それで、風香は何を選んだの?」
僕たちが見繕っていた本を見せびらかしている間、彼女はずっと後ろに隠していたそれを、見せるように僕は言った。
「えーっと、この流れで見せるのは恥ずかしいけど……やっぱり、私はこれかな」
「……!へぇ、ここにもあったんだ」
──それは『夏色紀行』。
昨日彼女が好きだと言った、旅のお話。
照れくさそうにしながらも、その説明をする。
「うん!この本って私が持っている他になかなか見たことなかったんだぁ。だから、見つけたのがすっごく嬉しくって!」
「……夏色、紀行。……うーん、書架整理する時に結構目を通してる方だけど、この本は初めて見たかも、ボク」
「おぉ?凪沙くんも見たことないぐらい珍しいの発見しちゃった?」
「うん。でも、ここにあるってことは店長が認めた面白い本なんだろうね。……ね、どんなお話か教えてもらってもいい?気になってきちゃった」
本に囲まれ働く者として、風香が見つけ出したそれに僕のように引き込まれている。
彼女は新たな布教相手に、目を輝かせるほど見開いて昨日聞いたあらすじを興奮気味に聞かせてくれた。
「……っていう、夏の間に旅する少女の物語なの!」
「へぇ……!……なんだかどこかで聞いたことあるような、ノスタルジックなお話。……うん、とっても面白そう。ボクもあとで借りてみようかな!」
見事、その説明で彼の興味を惹き切り彼女は満足気に笑う。
その本が凪沙に借りられたとして、僕は僕で彼女が持つそれを読ませてもらえる約束をした。
早く読んでみたい、いつかの朝や夜の空き時間が楽しみになる。
「おっと、それじゃあ全員『夏っぽい本』を発表し切ったので……このまま優勝を発表します!じゃん、全員同点!全員優勝!おめでとう!」
「急に雑!?」
「みんなテーマに沿ってたし速度も同じぐらいだったからねぇ。芸術点もボクの気分次第だし。たまにはこんな平和なゲームでも悪くないさ」
「……ふふっ、うん。これでいいかな。本を探すの、いろんなのがみれて楽しかったよ」
「……!あはは、それならよかった。司書見習い冥利に尽きるな。……さ、まだお昼になったばっかりだ。もっとこの図書館を楽しんでみてね」
◇
今日はいつにも増して活字を読んだ。
勉強はもとより好きだし、しないと落ち着かなかったからめっきり本に触れ合ってこなかったわけじゃない。
でも、こんなに誰かと本について語ったのは、文字を追うのが楽しいと思ったのは、初めてのことだったんだ。
「とても面白かったよ。良い時間だから、僕らはそろそろ家に帰ろうかな」
「ひゃー、もうこんな時間かぁ!凪沙くん!ほんとうにありがとうね!」
帰っても、ここで借りた本を読む楽しみが待っていて。より一層その中の一冊、『夏色紀行』に対する期待感が強まっていく。
女の子らしく気弱そうに見える外見とは裏腹に、案外活発でノリがいい少年──凪沙に僕たちはついにお別れの挨拶を告げてこの図書館を背にしようとしていた。
「うん。ボクもふたりと話せてとても楽しかったよ」
「えへへ、そう言ってもらえて嬉しいな。……ね、また図書館に行けば凪沙くんに会える?」
風香は彼に別れを惜しむような態度でそう尋ねた。
いままで出会ったこの島の子たちと同じ、もう立派な友達として見ているからこそ、再会の約束を交わしたいのだ。
「もちろん、この夏はよくここにいるよ。……でも、近いうちにまた、別の場所で会えるかもね」
そうして彼は含みを持たせるように僕たちへ伝えた。当然、聞き返すべきだった。
「別の場所……って?」
「ふふっ、うーん、内緒!」
「きになる内緒だな〜?」
「まあまあ!近いうちに、何か来るかもね」
凪沙はのらりくらりと交わして、期待だけを高めるように純粋に微笑んでいた。それが悪い何かではなくむしろワクワクするモノだということだけがわかるから、無理に聞き返さず、その日を楽しみにしようということで風香と僕は黙ることにする。
「それじゃあね!気をつけて!」
僕たちは手を振り合って、徐々に別れていった。
メインエリアを抜けて、エントランスへ、そして暑い夕方の室外へ。
そう目指して歩いていた時、僕たちの進路は塞がれる。
エントランス横の重たい扉。一つの部屋──凪沙の言った防音が備えられた学習室。
それはゆっくりと開けられた。
ずっと中にいただろう姿勢の綺麗な人物が、僕たちの視界に嫌でも入った。
夏休みだというのに制服を着て、眼鏡をかけた一見真面目そうな男性。背が高くてすらっとしており、凛とした雰囲気を纏う。
なぜだか不思議に目が離せなくて、数秒止まっていれば、その人物も島外からの観光客の存在に気づいた。
彼もまた僕たちをみつめて、そしてついに、話しかけられる。
「──おや?……フッ、見ない顔ですね」
聞き心地のいい青年の声。礼儀正しい様子のその人は、微笑を浮かべてそんなことを言った。
「あ、はじめまして。僕たちは……」
相手は制服、おそらく高校生で、向こうから話しかけて来たのだから会話をした方がベストだと自己紹介を仕掛けようとした、その時。
「──誠と風香、というお方ですか?」
彼はそれに割り込んで、初対面のはずなのに僕たちの名前を看破して見せた。
「えぇ!そうだよ?もしかして誰かから聞いた?」
名前を知っていたのは凪沙も同じことで、きっと彼も茉里や心愛と繋がりがあって漏れたのだろうと僕と風香は既視感を感じながら尋ねた。
だが帰って来た答えはそれを濁すようなセリフだった。
「ちょっとした風の噂です。そんなことより、私から質問をひとつ、しても?」
「質問?はい、答えられることならなんでも」
僕からも言ってみたいことが多かったが、彼の有無を言わせないオーラに押され、受け身に回る。
その彼からの質問には答えた方がいいと、直感が働いていたのかもしれない。
「お二人は、夏に“目的”はありますか」
予想外の質問。どういう意図があって彼はそれを言ったのか、その表情を見てもいたって真剣な、試すような眼差し、冗談ではないことがわかる。
そんな質問は、かつて茉里にもされたことがあった。
その時は胸を張って答えられなかったけれど、二度目はもう答えが固まっている。
だから、僕たちは同時に言葉を放った。
「『夏を楽しむ』って目的があるよ!」
「『夏を楽しむ』のが目的です」
風香と、ふたりで。
この島の夏を僕たちは全力で味わいたいと、忘れられない思い出にしたいと、心の底から湧き出る願いがある。
「……フッ、良いですね、そう来なければ」
彼はそれに満足したのか、眼鏡をクイっと押し上げてニヤリと笑った。
僕はその質問にどんな意図があるのか聞くよりも前に、彼のことについて知ろうと思った。
「あの、あなたの名前は……?」
「……名乗るほどのものでもありません。今は都合が悪い。私の名前はまたいずれの機会に」
彼は勿体ぶるように、口に人差し指を当てて内緒のポーズをする。
翻弄されるまま次に話したのもまた彼だった。
「帰路の途中、引き留めて失礼。私にはまだ用事があります、君たちも帰った方がいいでしょう。……さぁ、今日のところはこれで」
「えー!?ねぇ、君、またどこかで会えるかな?」
あっさりとしたお別れ。不思議な出会いをしたその人に風香は興味を持ったのか、どこに行けば彼と出会えるのか思い切って尋ねていた。
「会えますよ。君たちに覚悟があるのなら。それでは、さようなら」
どういうことか、彼は確信を持った表情でそう言いのけた。
彼はそうして背中を向けて本屋の奥へと消えていく前に、僕たちの横を通り過ぎて、耳元、独り言のようなことを伝える。
「明日から夏が始まる。暑い、夏が」
小さいつぶやきだけれど、聞き逃すことはしなかった。
その言葉の意味を考える。
今日は七月三一日。
もう、七月の最終日。
だけれど、彼がいうにはまだ始まってすらもいなかった。
明日の八月一日。
そこから、本当の夏が、始まるようだった。
「……今の、この島で見ないぐらいに丁寧な人だったね」
「うん、なんだか不思議な人だった」
敬語アレルギーが蔓延するぐらいフランクな狭い社会、だけれど、もう遠くへ行ってしまったその人は一枚大きな壁があるように、島外から来たような雰囲気を醸し出していた。
「ね、誠」
「うん?なに、風香」
彼女は何をいうのか、僕の名前を呼んだ後に余白を作っていたから、僕もまた彼女の名前を呼んだ。
「──八月も、私のそばにいてね」
僕は君の顔を見るために、横へ振り向いた。
何度、見たんだろう、花が咲くみたいに綺麗に笑う表情。そのそばにいるだけで心の苦しみが楽になるようなんだ。
君と出会えてこれで、六日目。
たった六日、もう六日。
僕の夏が終わって、島を出るまであと三十日。
彼女に返す言葉は一つしかない。
「──もちろん。風香も、僕のそばにいてよ」
同じ屋根の下で暮らしているから、君から離れる日を少し怖いと思う、変な僕がいた。
全く、自分でもおかしいな。
もう友達なんていらないとこの島に来る前に思っていたのに、まだ先のこと、友達と別れることを想像してしまうなんて。
僕の無意識の縋るような返事に、彼女は、驚いたように目を開けて、そして、また笑っていた。
「ふふっ、明日も楽しみだね」
平良 凪沙
可愛い系の男の子キャラ。
いかにも男の娘ってわけではないです。
ちゃんとかっこいいのが好きな純粋な子。ロボとかドラゴンとか好きですよ。たぶん。
個性派揃いの中でまとも寄り……まぁまとも寄りで物語進行にかなり助かります。
一番想像しやすい喋り方なので書いててかなり好きなキャラです。
そして!謎の制服の人!
どんな人なんでしょうか。明日を楽しみに待っていてください。
それと、その制服の人でこの物語の登場人物はほぼほぼ登場し終わります。




