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11_AS3_1

〔ヘータ機関通信接続...コマンドロック...認証成功。AS制御システム起動〕

 3機のASの最後尾であるAS3が他2機に続いて追従し、周回域から離脱。ここから3機とも別方向に別れエンジン出力を上げて目標速度まで加速します。AS3の目的地は惑星がまるまる一つ学術国となっている、レグルス多重連星系の人工惑星ラグナです。

〔物質遷移モードへ移行 ラジエルゲートセット 物質遷移ドライバー起動〕

 青い閃光がASの周囲を纏い、周囲の宇宙空間の景色が一瞬前方にすべて集まって、大きな衝撃を受けた、次の瞬間。

〔危険!ヒッグス粒子レーダー、大深度重力場、異常応力検出!緊急回避〕

 突如強力な潮汐力が機体に襲いかかり、あと数ミリ秒後に応力限界を超え雑巾のように捻れ潰れる予測を見て愕然とします。当機内の小型ヘータ機関が受信する信号が赤方偏移し引き延ばされて届きます。AS3のタイムスケールが1/10以下に低下。当機側から発信する通信周波数を追従調整します。遷移後100万分の1秒で異常を検出した物質遷移ドライバーが緊急回避シーケンスを作動させ、遷移完了後の確率変動実体化を強制キャンセル、消失しけかているラジエルゲートのエネルギーソリッドを力業で反転させ、物質遷移ドライバーを再始動、機体を100AUほどブリンクさせました。

 緊急回避シーケンスは、万が一遷移先が小惑星や恒星の高温域などの危険域に遷移してしまった場合にもう1度だけ短距離遷移をする緊急機動です。宇宙は広大で、小惑星帯であっても互いに数万キロは離れており、宇宙空間はほぼ真空のみなので確率的にこのシーケンスが必要とは思えませんでしたが、万が一とプログラムしておいて良かったです。とはいえ、無理な再遷移の衝撃もあり、機体はダメージを負いました。このまま再度エルドリッジに戻るにはリスクもあるので、マイクロマシンで修理を行います。

 それにしても、遷移座標計算をミスした先がブラックホールとは運がないです、というより普通あり得ないです。一体どこのブラックホールなのか、スタートラッカーで現在地を確認すると・・・レグルス多重連星系。そんなはずはありません。この星系にブラックホールはありません。再度、星図データから精密に座標を算出しましたが、間違いはありません。

 テクノシア星系からここまでは約25光年です。出発時点での観測ではこの宙域からの重力子反応はなく、恒星も光り輝いていました。つまり25年以内に何かあったのです。この長さは宇宙スケールからしたら短すぎ、宇宙現象ではそうそうイベントは起こりえません。ということはこれは人為的な何かです。

 AS1がジュピター・ノア6の公共ネットに接続したことを確認すると、バックグラウンドでラグナから発表された最新の論文を過去100年まで遡ってダウンロードし読みます・・・"TEKEC技術のエネルギーポテンシャル制御を、ヒッグス粒子にも適用させる研究"、これです。何をヘマしたかは分かりませんが実験中に制御を誤り、超高重力場を発生させたに違いありません。幸いなのは、これはヒッグス粒子による局所的ポテンシャル変動であり、重力場の有効範囲がどの軸に対しても限定的であることです。もし実在のブラックホールなら、数百光年以内の惑星が影響を受けて公転軌道が崩壊してしまいます。

 星系の大部分が分子間力を上回る潮汐力による物質破断領域内です。これでは星系はすでに全滅・・・いや、待ってください。この範囲は全てシュバルツシルト半径の内側です。25年以内の出来事なら、内部の時間は1プランク秒も経過していません。観測はできませんが、瞬間的なポテンシャル変動だったとしたら、今の時点ではまだ中の物質は無事なのではないでしょうか。

 星系外の数カ所でヒッグス粒子レーダーを用いて重力子を精密測定し、発信源を探ります。公転データ、自転データ等と組み合わせ、膨大な計算を行うと、発信元はラグナ第三大学の物理学研究室、7階実験棟付近の座標と分かりました。研究室の紹介写真に写っていたヒッグス粒子実験装置の位置とも一致します。座標計算をミスったら大変なことになるので、装置の推測構造図、部屋の配置、建物の高さ、星の重心や大地の歪みにいたるまで事細かに変数に入力。AS3との相対座標を1cm以内の誤差で確定させました。

 先ほど急いで完成させたプログラムをヘータ機関コントローラーにアップロード・・・うまくいったとしても既に物質が得てしまっている運動量によって、惑星へのダメージは計り知れません。しかし放置してもやがて惑星は崩壊します。やるしかありません。座標計算とのずれが生じる前に即時実行。

〔物質消去モードへ移行。エネルギーソリッド反転 座標入力完了 アプソリュートゲートセット 加害範囲は特異点より半径30cm ドライバー起動 存在確率を0へ包囲、確定〕

 ヒッグス粒子の実験装置コア部分が球形に瞬間消滅した約13分後、シュバルツシルト面が消滅。やがて明るくなると、異常天候となっている惑星ラグナが見えました。星の持つ柔軟性によって奇跡的に無事です。人工惑星なので海がなく、大津波が発生しなくて幸いでしたが、地面が数メートルは落下したようなエネルギー規模の衝撃と爆風を受けたはずなので死傷者も多く出ているはずです。

 ここで私にできることはもう何もありません。とりあえず惑星に降りてみましょう。まず目指すは大学ではなく眠っているテラフォーミングマシンです。


パーンの竜騎士最高!

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パーンの竜騎士 当時、中世風の騎士物語を想像して読んだらSFだったでゴザルw D&Dが普及する前で純ファンタジよりもSF(魔法じゃ無くて超能力、魔法の正体は科学、幻獣じゃなくてバイオテクノロジーの産物…
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