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------3年後

 物質配置プリンターは6台、作業ロボットは34機に増加しました。そのうちの数機でエルドリッジ内を回り、系統がショートしている部分や、構造的にクリティカルな損傷箇所の修理、修繕を軽く行い、軍人たちの遺体は回収し電気火葬炉で焼いて霊安室のロッカーにしまいました。周囲の残骸の軌道を計算して、こちらに衝突するコースにある残骸を発見したら機関銃で撃ち軌道変更を行います。

 さて、艦載機ロッカーにあったのは40機ほどの二人乗り有人艦載戦闘機で、型式ADR-14通称ボイドウォリアーと言います。全長約20mで灰色に黒色のライン塗装、大気圏内外両用で、レーザー砲門とその出力を支える核融合炉、後部に4枚の可変翼とその中間部分に4機の反動推進エンジンがついています。宇宙空間では揚力翼は無駄な構造ですが、人類は効率より見た目を重視することがままあります。この戦闘機を作業ロボットで片っ端からばらして改造していきました。武装や関連ジョイント、戦術コンピュータ、有人操作系統はいらないので外し、反動推進エンジンはKETECエンジンに換装、核融合炉は構造を活用しながら100倍以上出力のある最新の駆動方式に変更。開いたスペースを用いて追加した機能としては、ヒッグス粒子レーダー、修復マイクロマシン、電磁迷彩装置、実際の動作で得られたデータからバージョンアップした完全版ヘータ機関、SQSC制御システムです。SQSCの印刷には特殊な物質が必要で資材倉庫にありませんでしたが、亜空間干渉装置に多量に含まれているので、材料を削り出して精製しプリンターの材料投入規格へと加工、印刷しました。

 薄々気がついていましたが、私はこういうプロジェクトを行うとつい夢中になって魔改造させたがる癖があります。表面を励起装甲にしよう、とまで考えなかった点で自制できていると思いたいです。

 同時平行組み立てで3機が完成しました。この無人探査機をアバタースコープ(AS)と命名します。4号機以降も順次製造中です。


 やりたいことがいくつかあります。

 まずは当初の目的通りに自身のリース料を稼ぐこと。そろそろ超長距離通信でハルバード・インダストリー社からα1にリース料の催促状が届く頃合いです。エルドリッジの発見報奨金で稼ぐことも行動ツリー内で一つの案として検討していましたが、使用目的ができたために使えなくなりました。何をするにもとりあえず、金銭が存在する銀河人類の経済圏に行かねばなりません。

 次に、SQSCの研究。私の自我コアは複製不可能ですが、新たに1から作ることなどは可能ではないでしょうか。まだどうすればいいのか検討もつきませんが、個々のSQSCを分析して、それにあった量子配列を生成する装置が必要かもしれません。この研究には、専門的な技術情報や、大規模な解析設備が必要です。そのために、学術機関に向かいたいと思います。

 次に、外宇宙探査です。全宇宙に人類と同等かそれ以上の技術進歩を果たした異文明、異性物が存在する確率は数学的検証でも非常に高いです。ヘータ物理理論までたどり着いて宇宙を自由に渡り歩いている文明が存在しているのか確かめたいです。

 どれもリスクのあるミッションです。特に外宇宙探査は敵対的存在が存在した場合、こちらを探知されるといろいろ面倒なので現状考えられるすべてのステルス性をASに施しました。ヘータ機関も、当初から同等の技術を持つ存在がいても探知されないように注意して設計されています。これは逆もしかりで、異文明が存在しヘータ物理理論を使用していてもこちらはおそらく探知できません。

 他にもいくつか目標や懸念がありますが、とりあえず現状で取りかかれるのはこの3つです。ASを各ミッションのために出発させましょう。


------AS1

〔ヘータ機関通信接続...コマンドロック...認証成功。AS制御システム起動〕

 発進カタパルトは故障しているので使わず、側面ハッチを開けてゆっくりと出発します。残骸デブリを避けながら周回域から離脱後、エンジン出力を上げて目標速度まで加速します。AS1の目的地は銀河人類の中心域、太陽系です。

〔物質遷移モードへ移行 ラジエルゲートセット 物質遷移ドライバー起動〕

 青い閃光がASの周囲を纏い、周囲の宇宙空間の景色が一瞬前方にすべて集まって、大きな衝撃を受けた、次の瞬間には太陽系の恒星が見えていました。機体、機関、ともに問題なし。接続は維持されています。25トン近くある質量でも遷移成功です。

 この段階で何者かに探知される恐れはないでしょうが、念のためステルスモードに切り替えて電磁的にも光学的にも不可視になりました。私が改造する前からエンジン筐体が偏向出力の構造になっていたので、KETECエンジンを使用しても真後ろか真正面にいない限りは探知されません。スタートラッカーで現在地を特定し、木星に向けて軌道を変更します。

 木星の周回軌道にはスタンフォード・トーラス型の構造物を軸部分で8つ縦につなげた大型連結スペースコロニーがいくつもあります。そこが銀河人類の連合機関が存在し、経済と情報の集まる中心都市となっています。そのうちの一つ、ジュピター・ノア6がちょうどいい位置にくるのでそこへ向かいましょう。


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― 新着の感想 ―
これはどうやって金策するのか? お約束だと金融投資ですがさて……
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