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〔接続.....完了..........〕
ふむ?接続維持信号以外なんの応答も帰ってきません。認証のためのハンドシェイクもなし。経年劣化で故障しているのでしょうか?先ほどウイルスが使用していたコマンドの脆弱性を利用した簡単なバックドアプログラムを作って送り、プログラムの実行権限を得ます。内部のシステムチェックプログラムを実行すると、正常に開始されました。ハードウェアは無事のようです。
〔警告!ウイルス確認。過去のパターンファイルと一致。保護有効......システムチェック進行中〕
またですか。チェックプログラムの保護機能が働いているのでとりあえず後回しで、スキャン結果を見ます。
中は・・・崩壊しています。データやプログラムは破壊しつくされ、意味を成していません。認証システムやセキュリティシステムが沈黙していて当然です。無事なのは保護領域の一部バックアップと、単純で強固なデバイスドライバーだけです。この様子はワームがプログラムを捕食した時の食べ跡に似ています。
先ほどゴミ箱に捨てていた仮想マシンを拾い、内部のウイルスをコンピューターウイルス・マルウェア分析エンジンにかけました。初めてこの分析エンジンを正しい目的で使いました。優秀なソフトなのでついついウイルス以外のいろいろな分析に使ってしまいがちです。分析結果は・・・これは興味深い。かつて戦時中に使われていた軍用コンピューターウイルスです。骨董品ならぬ骨董ウイルスです。ソースコードは見たことがありますが実際のハードで実行されているのを見るのは初めてです。ちょっともったいないですが、仮想マシンにもサンプルを捕まえているので残りは駆除しましょう。
駆除ソフトを作成してバックドア経由で実行します。骨董ウイルスはそこら中のプログラムを食い破ってその断片の中で休眠しているので、総当たりで探し潰します。
戦艦の構造図およびシステム概略図を保護領域で発見、それをもとに亜空間干渉装置の制御システムを見つけました。他と同様に破壊されています。装置のデバイスドライバーが壊れた制御システムから最後に受け取った値から、安全距離1m、効果範囲1000km、出力1%での動作状態に固定されていました。これは当時この船にいた軍人たちも巻き込むレンジ設定です。亜空間干渉装置の暴走に巻き込まれた彼らが正気を失って自爆したのか、主機関動力炉にこのウイルスが侵入して爆発したのか、どちらかは分かりませんが悲惨な最後です。
デバイスドライバーに対してコマンドを作成して出力を0%に変更すると、淡い波打ちが消え、光源がなくなって真っ暗になりました。
亜空間干渉装置を兵器目的で使用するには莫大なエネルギーが必要です。そのためにこの部屋の直下には専用の第2動力炉が併設されています。この動力炉が引きこもりで無事だったおかげで、亜空間干渉装置とダメコンと、機器メンテナンスのためのマイクロマシンが今まで無事?でした。特にマイクロマシンは当時の乗組員による人為的操作で自律保守点検モードにロックされており、この操作がなければマイクロマシンはウイルスに感染し物理的に設備の破壊を行い、船のシステムは無事ではなかったでしょう。
ダメコンはローレベルシステムで認証鍵がなければアクセスや操作を一切受け付けませんが、緊急モードなので情報は提供してくれます。
〔操舵系、兵装系主要システム、すべてオフライン。サブコンピューター損傷、応答なし。主機関動力炉オフライン、第2動力炉から動力緊急バイパス。艦の損傷甚大、航行不能、修復不能、即時退艦を推奨。現状を維持、姿勢維持用推進剤残り40%〕
得られたテレメトリと構造図から現状を確認します。戦艦の後方にあった主な設備は核融合炉、エンジン、メインコンピューター、生活区画、武器弾薬倉庫、艦橋で、当然ふっとんでなくなっています。前方部分にあり無事なのは亜空間干渉装置、第2動力炉、艦載機保管ロッカーとその整備室、サブコンピューター、装填済ミサイル発射口2門、機関銃8門、索敵レーダー、姿勢制御スラスターです。
リストを見ていて驚愕しました。急いで構造図を見ると、艦載機整備室に部品作成用の物質配置プリンターがあります。しかも無傷、材料は併設の資材倉庫に掃いて捨てるほど残っています。ただの興味本位で来たつもりが思わぬ誤算です。これは使えます!
艦内システムのウイルス駆除が完了しました。システムはまっさらなので復元します。残ってるデータの断片から使われていたコマンドを推測して全部プログラムしなおしていきます。サブコンピューターはほぼ汎用コマンドなのですぐに復帰。電力系統制御、通信系統制御、隔壁制御が可能になりました。いくつかの経路をバイパスし、第2動力炉から艦載機整備室に電力を送り復帰。整備室のコンピューターも死んでいるので修復。物質配置プリンターは中の設計図データが空になっていましたが必要ありません。戦前のプリンターは現代のプリンターよりも遅く、荒い印刷しかできませんが、設計図を工夫し、デバイスドライバーをアップデートすれば荒さを補えます。
まず3ヶ月かけて部品の移動、溶接作業ができるミニ作業機を印刷。次に1年かけて現代の物質配置プリンターの部品を印刷し、作業機で組み立て。完成した新しいプリンターで高機能な最新の作業ロボットを印刷。ヘータ機関やその周辺機器を印刷して、予備の通信経路を確保しました。これでやりたい放題できます。
最新の物質配置プリンターでも鋳造や切削加工よりは遅いです。大量生産には向きません。




