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竜使いのラーシャ  作者: 紅月
別れと失意と救済の女神
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相棒の決断

「おい!しっかりしろ!」


 抱き起こしたデイルの顔は蒼白で、呼吸も浅い。

 危険な状態だ。

 デイルの肩を持つリライの指先が、氷のように冷たくなる。


 右太ももの怪我を見れば、止血はされているが傷口からは依然、血が流れ続けていた。


「…り、らい…」


 キツく閉じられていたデイルの瞼が震えながら、ゆっくり開く。


「おい!デイル、大丈夫か!?」


 意識を取り戻したことに、ホッとしながらリライはデイルを強く揺する。


「寝るなよ!今すぐ、アルボルのところへ…」


 そんなリライの腕をデイルが弱々しく掴んだ。


「僕の射撃すごかったでしょ?…ふふ、ちゃんと助けられたでしょ?」


 その言葉にリライは一瞬、泣きそうな顔をするとすぐに表情を引き締めた。


「馬鹿野郎。俺だって、クレアが攻撃してくるのはわかってたんだ。今度はもっと俺が絶望的状況になってから助けろ」

「そうだねぇ…。はぁ、リライ」


 デイルは瞼をゆっくり閉じながら笑う。


「…また、リライと共闘出来て、うれしかったな…」


 そう言ってデイルは固く目を閉じ、首が力なく横に倒れる。


「デイル…?おい!!しっかりしろ!…くそっ!」


 リライは悪態をつくと、子供たちに目を向ける。


「チビ共!!誰か上着を貸してくれ!」

「は、はい!!」


 女の子は慌てて自分の上着を脱いで、リライに差し出す。


「すまないが、それを畳んでコイツの頭の下に敷いてくれないか?」


 リライの指示にすぐに女の子は、上着を畳み枕を作る。

 そこにデイルの頭を乗せた。


 意識はないが、息はある。

 まだ助かる可能性はある。


「おい!レイヴ!!!デイルはもう意識がないから、お前が決めろっ!」


 リライがそう怒鳴ると、ずっと涙を堪えて黙っていたレイヴは体を震わせた。


【いきなり怒鳴らないでくださる!?で、何を決めろって言うんですの!?】


 そう言って、ポロポロと涙を零すレイヴにリライは小さく舌打ちすると、デイルのズボンを引き裂き傷口を露わにする。

 傷口は紫色に変色してきていた。


「よく、聞けよ。…デイルをこのまま騎士として死なせてやるか、あるいは足を切り落として生かすか。どっちがいい!?相棒のお前が決めろ!」


 リライの言葉にレイヴは目を丸くした後、顔面蒼白のデイルに視線を落とす。



“僕はね、たくさんの人を守りたいんだ。でも、僕だけじゃ、守れない人もたくさんいる。だから、紫竜である君と契約すれば、たくさんの人を助けられると思うんだ。僕は弱くて頼りないと思うけど、こんな僕に力を貸してくれる?”



 契約する前、初めてデイルがレイヴに言っていた言葉。

 彼の言葉が気に入って、レイヴはデイルと契約した。

 レイヴにとって唯一無二の大切な存在。


【ねぇ…デイル。誰かを守るのは、別に騎士じゃなくても出来ると思わなくて?】


 レイヴは慈愛に満ちた笑みを浮かべ、涙を流しながら問いかけた。

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