因果応報
リライの顔が辛そうに歪む。
今までクレアに見せることのなかった隙。
──殺るなら今しかない。
クレアはリライの後ろに巨大な刃を作り出す。
竜の首を切り落とした時と同じギロチン刃。
今なら自分の後悔話に酔っている、このクソジジイを殺せる。
思わず緩んでしまいそうになる唇を噛み締めて、クレアはギロチン刃を落とす。
リライは気づいていない。
迫り来るギロチン刃を見るクレアの目がギラつく。
早く、早く、この男の首を──。
その時、銃声が鳴り響いた。
それから、ほんの一瞬遅れてギロチンの刃が粉々に砕け散る。
その光景を見て、クレアは目を見開いた。
「な──!?」
「…見てろって言ったのに」
驚くクレアの声と、リライの言葉が重なる。
砕け散った刃が降り注ぐ前に、リライが能力で宙に停止させた。
「お前は殺気を隠せなすぎる。必死に堪えようとしていたみたいだが、ダダ漏れだ」
そう言うリライの目が怪しく光る。
それを見て、クレアは心臓がギュッと縮こまるのを感じた。
「お前は少し痛い目を見たほうがいい」
リライの向こう側で、刃が輝く。
そう思った、次の瞬間。
刃はリライを避け、まるで磁石のようにクレアにだけ降り注いだ。
「ギャアアアアアアッ」
手や足に突き刺さる燃えるような痛みに、クレアは思わず絶叫する。
それを見て、リライは剣を高く掲げた。
「痛いか?」
「ああああああああっ!!痛い!痛いっ!!!」
泣きじゃくるクレアにリライは眉を顰める。
「…お前が楽しんで殺した奴らもみんな同じ痛みを味わって、死んでいったんだ」
ここに来る前に、ハクレンの背から無惨に切り刻まれている竜と人の死体をたくさん見た。
中には、リライが武術を教えていた者もいた。鉄の国の出身であり、楽しそうにデイルを襲っているクレアを見てすぐに確信した。
「お前にどんな過去があるか知らんが、あの世で詫びてこい」
リライが低く冷たい声でそう告げ、剣を振り下ろした。
その瞬間──。
「それは困ります」
その声と共に、銃声がリライの鼓膜を揺らした。




