出来損ないらしく
リライに剣を突きつけられたクレアは、不機嫌そうに鼻を鳴らす。
「おじさん、なんなの?私の邪魔しないでくれる?せっかくいいところだったのに」
クレアはそう言うと、周りに無数の刀身を再び作り出し、その全ての切先をリライに向けた。
それを見ても、リライは全く動じることなく、ただクレアを見据える。
「俺の名前はリライだ。おじさんって呼ぶな。ガキ」
「はぁ?ガキじゃないし。私にはクレアって名前があるの。…ていうか、おじさんさぁ…」
クレアはそう言って、リライを見て鼻で笑う。
「竜の国の人なのに、自分の竜はどうしたわけ?」
クレアの質問に一瞬、肩がピクっと動くがリライは一切取り乱すことなく、口を開く。
「お前には関係のない話だ」
「確かに。でも、私知ってるんだー。竜の国で、相棒の竜がいない人ってさ自分の竜を守れない出来損ないなんでしょ?」
クレアはクスクス笑い出す。
「おじさんも自分の竜を死なせちゃった出来損ないなんでしょ?」
リライは剣を握っていない方の手を強く握りしめるが、すぐに力を緩めて頷いた。
「…そうだ。俺は自分の竜を守れずに死なせた出来損ないだ」
「だよねー!無駄にカッコつける人って大体噛ませ犬が多いし、絶対そうだと思った!!」
クレアは笑いながらそう言い放つと、一瞬で表情を消す。
「だったらさ、出来損ないは出来損ないらしく大人しく殺されてよっ!!!」
叫ぶや否や、クレアは刀身をリライに向けて放つ。
リライは体を低く構えると、地面を強く蹴り飛ばす。
リライがさっきまでいた場所は、何十本もの刀身が突き刺さり、それを見たクレアが目を丸くする。
「おじさんのくせに、速いじゃん!でも、まだまだ行くよっ!!」
次々にクレアは刀身を出すと、リライに向けて放っていく。
リライは、横に飛んでそれを避けると、素早く体勢を立て直して走る。
リライが走る後を追うように、刀身が土埃を上げながら、突き刺さっていく。
「ちょこまかと…!うざいなぁっ!!!」
避けられてもすぐに刀身を出現させ、絶えず攻撃をしているにも関わらずリライに擦りもしない。
その上、リライの息は一切乱れることなく、余裕そうな表情をしていた。
走り回りながら、リライはずっとクレアに視線を向け続け、それがより一層彼女の怒りを煽る。
「見てんじゃねぇよ!!!出来損ないっ!」
その言葉を聞いて、リライは小さく笑う。
「おじさんから今度は出来損ないか…。本当にマナーがなってないな」
「うるさいっ!」
クレアは怒鳴ると、両手を広げ円形の巨大な刃を作り出す。
「さっさと死ねっ!」
クレアは両手を振りかざし、円形の刃をリライに向かって飛ばした。




