相棒のために
「リライ!?え!?空から来たのかい!?」
デイルの慌てふためく声にリライは、クレアから目を離さずに頷いた。
「ああ、師匠のハクレンに乗せてもらったんだよ。で、街に来たらお前の情けない姿が目に入ったから、助太刀に来た」
「それは…助かった。ものすごく」
だけど、とデイルは内心呟く。
かなりの高さから落ちて来たと思うんだけど…。
その高さ落ちたら普通、無傷じゃ済まなくない?
そうツッコミを入れたい衝動をデイルは、グッと堪える。
「リライ、気をつけて。彼女の能力はレイヴの障壁を後少しで壊されるところだったんだ。…かなり強いよ」
デイルの忠告に、リライは振り返るとため息をつく。
「わかってる。まぁ、見てろ。…それより、その怪我。あまり良くないな。しっかり止血しておけ」
リライの言葉に、デイルは目を見開く。
デイルの右足の太もも部分のズボンは切り裂かれ、そこからは夥しい血が溢れていた。
「よく見てるなぁ…くっ…」
リライが助けに来てくれた安心感からか、足の傷が痛み出し、デイルはその場に崩れ座る。
「…参ったな」
苦笑しながら、デイルは呟くとズボンからベルトを引き抜き、それを患部より少し上に巻きつけた。
「君たち、ちょっとおじちゃんのお手伝いしてくれるかな?」
デイルにそう声をかけられ、震えていた子供たちは恐る恐る近寄ってくる。
「なぁに?」
目に涙を一杯に溜めた少年に、デイルはベルトの端を差し出す。
「これをみんなで思いっきり引っ張ってくれるかい?おじちゃんが悲鳴をあげても、構わず引っ張って」
デイルの言葉に、少年はビクッと肩を震わせた後、覚悟を決めたように頷く。
「わかった!」
少年は受け取り、他の子たちと一緒にベルトを勢いよく引っ張った。
それにより、激痛が走る。だがデイルは声を押し殺す。
悲鳴なんてあげたら、子供たちが余計に怖がるに決まっているから。
「おじちゃん、もっと?」
不安げに尋ねる少年に、脂汗を額に浮かび上がらせながらデイルは頷く。
それを受けて、少年たちはさらに足を締め上げた。
「…っ、よし、いいよ。ありがとう…!」
デイルは痛みに歯を喰い縛り、締め付けが緩くならないようどうにか結び、ベルトを固定する。
子供たちは不安そうな顔をしながら、デイルを心配そうに見つめた。
それに気づいたデイルは、安心させるように微笑む。
「大丈夫だよ、ありがとう。きっと、あのおじちゃんが悪い敵をやっつけてくれるからね」
デイルはそう言って、クレアと対峙するリライの背に視線を向けた。
勝ってよ、リライ…!
【大丈夫ですわよ】
デイルの心中を読んだのか、レイヴが口を開く。
「え?」
【だってあの女、鉄の国の出でしょう?なら、相性のいいリライが勝つに決まってますわ】
そう断言するレイヴにデイルは困ったような顔をした。
「でも…リライは…」
【体は意外と覚えているものですわ。よく見てらっしゃい】
ピシャリとレイヴはそう言い放つと、大きな体を曲げてデイルの体に己の体を押し付ける。
【…それより、そんな怪我で死んだら許しませんわよ?】
レイヴの声に、恐怖が滲んでいた。
彼女を悲しませないためにも、絶対に死ぬわけにはいかない。
激痛を堪えて、デイルは笑ってみせる。
「わかってるよ、大丈夫」
デイルはそう言ってレイヴの頭を優しく撫でた。




