助太刀
シューリカと共にハクレンの背に乗り、街の上空を飛んでいたリライの視線に、ある光景が飛び込んできた。
それを見て、リライは剣を握りしめて立ち上がる。
「師匠、俺はここで降ります」
唐突にそう告げるリライに、シューリカは振り返る。
「あら?何か気になるもの見つけたのかしら?」
「ええ。…見知った顔が危機に陥っているようなので、ちょっと行ってきます」
リライの視線の先にあるものを見て、シューリカも納得したように頷く。
「行ってらっしゃい。気をつけるのよ?無理しないで」
シューリカの言葉に、リライは苦笑すると鞘から刀身を引き抜いた。
「それはこっちの台詞です、師匠。もう若くないんだから、無理しないように」
「まあ!貴方って子はっ…!」
シューリカは文句を言おうとした瞬間、リライは笑い声を残して宙にその身を投げる。
それを見て、シューリカは呆れたようにため息をつく。
「まったく、生意気な弟子ねぇ…」
【嬢、どうする?】
ハクレンの言葉に、シューリカは微笑む。
「行きましょう。リライなら大丈夫でしょ」
自分の竜がいないとはいえ、リライはシューリカも認める最強の剣士なのだから。
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相棒レイヴの能力によって張られた障壁の中で、デイルは険しい顔をしていた。
障壁の向こうには、クレアと名乗る鉄の国の女が障壁を破ろうと無数の剣の刀身を作り出し、雨のように降らせている。
【もう、なんなのですの!?あの女!次から次へと…!!】
悪態をつくレイヴの背中を宥めるように撫でながら、デイルは焦っていた。
デイルの後ろには、子供たちが五人いて震え上がっている。
自分だけならこの状況はどうにか出来るが、子供たちを守りながらは流石に厳しい。
子供たちはまだ、竜と契約をしていない幼い子たちだ。
子供たちだけ逃がそうにも、きっと他の敵に殺されてしまう。
紫竜であるレイヴは防御は最強を誇るが、攻撃は一切できない。
戦力は人間である自分だけだ。
どうする?
デイルは小銃を握りしめ、必死に思考を巡らせる。
──その時。
空から弾丸の如く、黒い塊がクレアを目掛けて落ちてくる。
それに気づいたクレアが、攻撃の手を止めて後ろに飛び退くのと同時に地面を抉り、土煙をあげて黒い塊──リライが地面に着地した。
「よぉ、デイル。珍しく追い詰められてるな?」
デイルに背を向け、剣の切先をクレアに向けたリライが楽しそうに声をかけた。




