写真
「急に気持ち悪い笑み浮かべてどうしたんだよ?」
「何でもない。て言うか、気持ち悪いって失礼じゃない?」
ラーシャはソルを軽く睨みつけると、再び笑顔になる。
「まぁいいや!早く写真撮ろうよ!」
「そうですわね!お母様!お願いしますわ!!」
ロザリアが頷いてカメラを構えたのを見てラーシャ達はポーズを取る。
「じゃあ、行くわよ」
ロザリアがそう言ってシャッターを切り写真を撮る。
「ニアのお母さん!もう一枚お願いしてもいいですか?」
「もちろん、いいわよ」
ロザリアに快諾してもらうとラーシャはルーキス達の方を向いた。
「ルーキス達も今度は小さくなって写真撮ろうよ!」
【まぁ、元の威厳のある写真撮れたから別にいいけど…】
【ルーキスに威厳など無かろう】
【いちいち、突っかかって来やがってクソババア…!】
いがみ合うルーキスとベルナデッタの間にニクスが割って入った。
【ほらほら、やめなって竜の喧嘩ほど見苦しいものはないんでしょ?】
【ぐっ…!】
いつだが言った言葉がそのまま返って来てベルナデッタは言葉を詰まらせると、咳払いをして小さくなりソルの右肩の上に乗った。
ニクスもクスクス笑いながらセルジュの左肩に乗り、エルはニアに抱きしめられ、ルーキスはラーシャの頭の上に乗る。
「じゃあ、撮るわよー」
ロザリアがそう言って指を動かした瞬間、ラーシャが動いた。
ソルとニアの肩に腕を伸ばし、セルジュの背中を引っ掴むとラーシャは自分の方へと引き寄せる。
予想していなかった突然のラーシャの行動にバランスを崩して三人はラーシャの方へと倒れ掛かり、その瞬間をシャッターに切られたのと同時に四人と竜達は地面に倒れ込んだ。
当然写真には満面な笑みのラーシャ以外は全員驚愕の顔をして写っている事だろう。
「何すんだよっ!びっくりするだろ!!」
「さっきニヤニヤしてたのは、これを思いついたからか…」
ソルの抗議とセルジュの呆れたような言葉にラーシャは笑みを浮かべたまま、転がってるルーキスを拾い上げた。
「だって一枚くらいふざけた写真があった方がこれから先見返した時に“ああ、こんなバカなことしてたなぁ”って思い出し笑いできそうじゃん?」
ラーシャの言葉にニアが身体を震わせて笑いながら同意した。
「ふふ、卒業式にこんな事するのは私達くらいですわ…っ!あー、楽しすぎて涙出て来ましたわ。これから毎日みんなと会えなくなると思うと…」
突然、ボロボロと泣き出すニアにエルがそっとハンカチを差し出す。
「エル、ありがとう…」
そう言って涙を拭くニアをラーシャが抱きしめた。
「ニア…!私たちは離れててもずっと友達だからね!ううん!親友!!親友だから!!」
「ラーシャ!!」
「ニア!」
そんな二人を冷めた目で少し離れたところでセルジュとニクスが見ているとベルナデッタがニヤニヤ笑い出す。
【童共はラーシャ達を抱きしめに行かなくて良いのか?今なら嫌悪感を抱かられる事もなく抱きしめられるぞ?】
「ベルナデッタ、言い方がえげつない」
ソルはそう言ってベルナデッタの額を軽く突っついた。
「今度は家族写真を撮ってあげるわ。じゃあ最初はシューリカさんとゼン、ラーシャの方へ」
ロザリアの提案で家族写真を撮る事になり、ラーシャはシューリカとゼンの間に挟まれハクレンは右肩に、アイシャは左肩に乗りルーキスはラーシャに抱えられて写真を撮った。
「今度は俺が撮りますよ…!」
ゼンがロザリアからカメラを借り受けた。
ニアはロザリアに後ろから抱きしめられ、はにかみながらエルとロザリアの竜である花竜、エリンを抱きしめて写真を撮ってもらった。
「じゃあ、次はソル達ね」
「ロザリアさん、ありがとう」
フィアナは声を弾ませてお礼お言うと、恐縮しているゲオルグの腕を引っ張ってソルの元へ行く。
「ほら、しっかりして!」
「お、おう…」
フィアナに尻を叩かれてゲオルグはシャキッと背中を伸ばし、そしてラーシャ達と一緒にセルジュを見て首を傾げた。
「何やってるセルジュ。早くこっち来い。写真撮るんだから」
ゲオルグの言葉にセルジュが目を丸くした。
「え…でも、俺家族なんかじゃ…」
「何言ってるの?セルジュはもう私たちと住んで四年も経つのよ。同じご飯を食べてるんだもの。セルジュは私たちの息子同然よ」
フィアナの言葉にセルジュが息を呑む。
いつまでも動かないセルジュに痺れを切らしたニクスが背中を押す。
【ほら、せっかくなんだから写真撮ろうよ】
「で、でも…」
「早く来いよ」
ソルもセルジュの元に来ると腕を掴み強制的に引っ張り出す。
ゲオルグがソルとセルジュの肩を掴み、フィアナがゲオルグの隣に並ぶ。
手が置かれてない方の肩にゲオルグの黄竜キルトがソルの肩にとフィアナの紫竜メルンがセルジュの肩に乗り、ベルナデッタとニクスは自分の相棒に抱かられる形で写真を撮る。
「いい写真が撮れましたよ。後で現像してお渡ししますね」
ロザリアの言葉にみんなが口々にお礼を言う中、セルジュは胸をギュッと掴んで小さく笑った。
親の愛情というものに久しぶりに触れたからだろうか。
胸がじんわりと暖かくなるのを感じながら、セルジュはみんなの元へと向かった。




