おめでとう
卒業式が無事に終わると、ラーシャは真っ先にゼンの元へと向かう。
「もう!ゼン兄!!すっごい恥ずかしかったんだけど!!」
「しょ、しょうがないだろ?お前っていつも危なっかしいし、ルーキスとの契約解消の件もあったし、無事に卒業出来ないかもって…あ、また涙が…」
「ゼン兄!!!」
ラーシャは顔を真っ赤にして怒り出すとアイシャが割って入る。
【わかるわ、ラーシャ。でも、すごく恥ずかしいと思うけど許してやって。…私だって今死ぬほど恥ずかしいんだから】
「しょうがないだろ…っ!」
卒業するラーシャ以上に泣くゼンにハクレンがそっとハンカチを渡す。
「はぐれんっ…!ありがどうっ!」
涙を拭きながらお礼を言うゼンにラーシャは呆れたようなため息をついた。
「もう十四歳だよ?今年は十五歳!いつまでも子供扱いしないでよー」
「まぁまぁ、ラーシャ。どんなに月日が流れてもラーシャは私にとっては可愛い孫で、ゼンにとっては可愛い妹なのだから、今日くらい多めに見てやりなさいな」
「おばあちゃん…」
シューリカにそう言われるともうそれ以上は何も言え無くなり、ラーシャは頬を膨らませた。
「ラーシャ!!」
背後から声をかけられ、振り返るとニアと母親であるロザリアがいた。
「卒業おめでとう、ラーシャ。ニアと仲良くしてれてありがとうね」
上品な笑みを浮かべてロザリアに礼を言われて慌ててラーシャが頭を下げた。
「い、いえ…!ニアにはいつも仲良くしていただいて…」
「ラーシャ、お母様に緊張しすぎですわ」
「緊張するよ!すっごい美人なんだもん!!」
「ふふ、初めて会ったわけじゃないのに」
ロザリアがそう言って笑っていると、ソルとセルジュ、ソルの父親であるゲオルグと母親のフィアナもやってきた。
「あら、ゲオルグさんとフィアナさん。ご機嫌よう。この度はご子息のご卒業おめでとうございます」
「き、麒麟商会の奥様…!ご令嬢のご卒業おめでとうございますっ…!!」
ゲオルグはロザリアを見ると慌てて頭を下げた。
麒麟商会は装飾職人であるゲオルグ達の1番の取引相手だ。粗相がないよう細心の注意を払う必要がある。
「ゲオルグ様、お久しぶりですね。フィアナ様もご健在のようでよかったですわ。…時にゲオルグ様」
「は、はい!」
「この間の納期1日遅れたそうですけど…」
「すみませんすみませんすみませんすみません…!今後このような事がないよう…」
必死に謝るゲオルグを一歩引いたところで見ていたソルが口を開いた。
「将来俺も、ニアに対してああいう感じになるのかな?」
「将来がすごく楽しみですわね!」
「楽しみな要素無くない!?」
ソルが顔を真っ青にして突っ込むが、ニアは満面な笑みを浮かべた。
その時、笑顔でゲオルグを責めていたロザリアがパチンと手を叩いた。
「あ、そうだわ。ニア達の集合写真を撮ってあげようと思ったのよ。ほら、あそこの月朧の下なんて満開で美しいわ。あそこで撮りましょ」
ロザリアはそう言って、ラーシャ達を指定した場所まで連れていくと並ぶように指示を出す。
「みんなで写真いいね。私、ルーキスと写真撮るの初めて」
「俺も。写真って高価だからなかなか撮らないよな」
嬉しそうにラーシャに言うセルジュも同意した。
【余達は元の大きさに戻った方が美しさが際立って良かろう】
【そうねですねぇ!小さいと存在感が薄いですしねぇ】
【大きくなって写真から見切れるなんて事ないよね?】
【ニアの母親がそこはうまく写真撮ってくれるだろ】
ルーキス達はそんな会話をしながら身体を元の大きさに戻すと月朧の前に並ぶ。
自分の竜の前に立ち並びがニア、ラーシャ、ソル、セルジュの順番になった。不意にラーシャはいい事思いついたとニヤッと笑う。
それに気づいたソルが首を傾げた。




