ルーキスの怒り
ガチャリと音がして何本目かの鍵でようやく正解に辿りつき、ラーシャは目を輝かせて檻の扉を開いた。
「ルーキスっ!!」
抱きしめようと両手を開いて名前を呼ぶと、ルーキスが檻から飛び出してラーシャの頭を翼でバシバシと叩く。
【何でっ!お前はっ!!!そうやってすぐに自分の命をっ!!危険に晒すんだっ!!この馬鹿野郎っ!!!!!オレの言ったこと聞いてなかったのかっ!!!!】
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!ごめ、ごめんってば!もうしなっ…ぶっ!もうしないから!!」
【当たり前だっ!】
そう言ってやっとルーキスはラーシャを解放するとその頭の上に留まる。
「でも、あの時はしょうがないと思うんだよね。セルジュ見捨てられないし…」
【あ?何か言ったか?】
「いえ、何でもないです」
ルーキスに凄まれラーシャはシュンと黙り込む。
【ルーキス!!この馬鹿!!心配したんだから】
嬉しそうに声を上げてニクスはルーキスに飛び掛かる。
【げっ、ニクス】
【さっき兄貴って言ってたのに…】
【行ってねぇー!】
ルーキスが逃げ出せばすぐにニクスがその後を追いかけてラーシャの頭の周りをグルグル回り出す。
「ラーシャ、怪我はないか?」
「私は平気。それよりセルジュの方がボロボロじゃない…!大丈夫なの?」
ラーシャはセルジュに駆け寄ると傷だらけの顔に触れた。
「俺はこれくらい慣れてるから大丈夫」
「慣れてるって…痛いもんは痛いでしょ?早くここから出て手当てしないと。…でもその前に…」
「あぁ」
頷き合う二人の頭にそれぞれの竜が留まると首を傾げた。
【どうした?さっさと逃げないのか?】
ルーキスの言葉にラーシャは頷いた。
「まだこの隣の部屋に小竜が閉じ込められていたの。あの子達を解放しないと」
【そうしたいのは山々だけど僕達だけじゃちょっと厳しいかな?】
セルジュは首を傾げてニクスを見上げる。
「どういう事だ?」
【敵が多すぎちゃって、一人一人に手を抜いて気絶させてる余裕が無いから気絶した人間でとりあえずバリケード作ってこっち来たんだよ】
気絶した人間でバリケード…!!
ラーシャとセルジュは目を見開いたが、それ以上突っ込むのはやめた。
「敵が多いなら一旦脱出した方が良さそうだな。せっかくルーキスを奪還出来たのにここで捕まったら全部水の泡だ」
「でもここで逃げちゃったら、またこの船を見つけるのは難しいんじゃない?ルーキスがここにいたからニクスが見つけられたわけだし…視覚妨害の結界をまた張り直されたら余計に見つけられないよ?」
「確かに…」
【家に帰るぞ。ここは子供が出る幕じゃない】
ルーキスの言葉にラーシャは首を横に振った。
「そんな事ないよ、私達は竜の国の民だもん。竜を守るのが私達の使命」
【ダメだ。危険すぎる】
「危険でもやる。私一人ここに残ってもやる」
二人はしばらく睨み合うと、先に折れたのはルーキスの方だった。
【…はぁ、わかった。じゃあ騎士団を呼ぼう】
【そうだね、その方がいいね】
ニクスも同意すると、セルジュが唸った。
「呼ぶのは俺も賛成だけど…どうやって騎士団を呼ぶ?」
「任せて!私にいい案がある!」
ラーシャが目を輝かせて言った。




