キミを信じる
ラーシャは得意満面に説明するとセルジュは呆れたようにため息をつく。
「ラーシャって本当に乱暴な案を出すよな」
「え?結構いい方法じゃない?あとはルーキスとニクス次第だけど」
そう言ってラーシャは頭に留まるルーキスを頭から引き剥がして向き合う。
「ルーキスには辛い思いさせると思うけど」
【これは授業じゃないんだぞ?実戦だ。わかってるのか?】
「それはもう十分わかってるつもりだよ。殺されかけたしね」
【また戦えないかもしれない】
ルーキスはラーシャから目を逸らして言った。
「そうだね…でも」
ラーシャは吹っ切れたように笑ってルーキスを持ち上げた。
「ルーキスは私を失うのが怖いんでしょ?じゃあ、私が死なないように守ってね」
【は?】
「私は何とかルーキスが死なないように指示を出すよ。お互いを守ればいいじゃん。とりあえず今を乗り切ったらまた話し合おう」
まるで鳩が豆鉄砲を喰らったような顔するルーキスにニクスが大笑いした。
【いいじゃないか!とりあえず今日はそれでやってみれば】
【ふ、ふざけるなよ!命かかってんだぞ!】
【ここに止まってたってラーシャもセルジュも殺されるよ?なら戦ったらどうだい?ルーキス、そろそろ自分と向き合う時だよ】
【…】
ルーキスはしばらく黙り込むと、閉めた扉から“ドンドン”と扉を叩く音が響き出した。
「悩んでる時間は無くなったな。ラーシャの案で行くしかないな」
「私の案を否定してたのに結局採用するんじゃない!」
「否定はしてない。乱暴って言っただけで」
「えー…」
二人が無駄口を叩いていると、2匹の竜が身体を元のサイズに戻した。
【時間がないからね、さっそく始めよう】
「そうだな」
セルジュはそう言ってニクスの背に乗って竜紐をつけた。
「私達は竜紐も帯も無いから手加減よろしくね」
ラーシャはルーキスの背によじ登ってお願いをすると、彼が震えているのに気づいた。
「私はルーキスを信じてるよ」
【…信じるな。オレだって自分を信じられないのに】
「そりゃ信じるでしょ…」
扉が打ち破られ敵が雪崩れ込んできた。
「相棒なんだから!ルーキス!!壁を撃破って!!」
ルーキスは口に光を溢れさせ大口を上げると、凄まじい熱を帯びた光線解き放ち壁に大穴を開けた。
「行くよ!」
ラーシャの掛け声を合図に2匹の竜は雨が降り注ぐ暗闇へと飛び出した。
「セルジュ、騎士団が来るまで足止め頑張ろうねっ!」
「ああ!ラーシャ、無茶するな!援護は任せろ!!」
「ありがとう!…ルーキス!作戦通りね!!高く飛ぶよ!」
ルーキスは翼を大きく羽ばたかせ、一気に急上昇する。
「…っ!」
落ちないように必死にルーキスの首にしがみつく。
【ラーシャ!】
「何!?」
【一回手を放せ!!】
「落ちちゃうよ!」
【いいから!オレを信じるんだろ!?】
ラーシャは躊躇ったが、覚悟を決めると手を放す。
ルーキスはすぐさま宙返りをするとラーシャを手でキャッチして再び急上昇をする。
【これならしがみつかなくてもいいだろ?】
「えぇ!でも握り潰さないでね?」
ラーシャが冗談ぽく笑って言うとルーキスに真面目な声で【気をつける】と返された。
「え?本当に握り潰さないでね?握り潰さない自信があるから、私を掴んでくれたんじゃないの?」
【…】
「信じるよ?私信じてるからね」
【…そろそろいいか】
ルーキスは再び口の中に光を溢れさせると、眩い白い閃光を空に撃ち放った。




