絶体絶命
「ごめん、ルーキス」
【ラーシャ!】
ラーシャはルーキスを振り払うと女の元へとゆったりとした足取りで時間を稼ぎながら向かい、女の元に着いたら隙を見て気絶させられないだろうか必死に考える。
「そこで止まりなさい」
「え?」
ラーシャは驚いて立ち止まった。
止まれと言われた場所はちょうど女と檻の中間。
「抵抗されてもウザいだけだからね。そこで死んでもらうわ」
女がそう言って片手を上げると、バチバチと音を立てながら雷をその手に出現させた。
「それにあんたは私の顔に汚いモップを押し付けてくれたしね。私の雷でたっぷり苦しんでから死んでね?」
女が手をラーシャに向けようとした刹那ーーーー。
【さっさと来い!!この馬鹿兄貴ぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!】
耳を劈くほどの声で叫ぶルーキスに男が眉間に皺を寄せて手を向けた。
「キーキー、うるせぇな!!黙らせてやる!」
「やめなさいよ!その竜は大事な商品よ!傷つけたらボスに殺されるわよっ!」
「チッ…!」
二人の気が逸れた今がチャンスだ…!
そう思ったのはラーシャだけではなく、ようやく動けるようになったのかセルジュも身体を起こして身構える。
そして二人が動き出そうとした瞬間、男と女の影が蠢いた。
「…っ!」
影の異変に気づいたのは男の方だった。
「お、おい…!お前の影おかしいぞ!?勝手に動いてやがるっ!」
「はぁ!?何言ってるの!?そんなわけ…っ!きゃぁぁぁぁっ!!」
女があっという間に自分の影から伸びた触手に絡め取られ動きを封じ込められたのを見て、腰を抜かした男もすぐに影に絡め取られた。
【ボクの大切な子達を傷付けたのは貴様らか!!命を捨てる覚悟はあるんだろうな…!?】
喉の奥から唸り声を上げ、そう言って身体を小さくしたニクスが入って来た。
わー…ニクスのキャラが変わっちゃってる…。怖っ。絶対にニスクは怒らせないようにしよう。
ラーシャが一人でうんうんと頷いていると「ラーシャ!!」とセルジュに呼ばれた。
声の方を見ると、セルジュが男の胸ポケットから鍵の束を取り出しているところだった。
「ほらっ!」
「うおっと!」
投げられた鍵束を慌てて受け取ると、チラッとニクスが死なない程度にゆっくり苦しませながらあの二人組を首絞めているのを見てすぐに目を逸らした。
見てない、何も見てない。
ラーシャは早速ルーキスを檻から出すために鍵束から正解を探し始めた。




