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少年漫画ヲタは異世界がわからない。  作者: 志麻大紅
第2章 少年漫画ヲタは異世界の歩き方がわからない。
16/23

少年漫画ヲタは説明がわからない。

日曜日 朝8時半

俺は昨日言われた通りちゃんと8時半に間に合うようにアニメイゾの店の前に来ていた。店にはシャッターがかかっていて入れない。今日はおそらく漫画で言う説明回になるだろう。


「輝崎さん!おはようございます!」

元気いっぱいのあいさつをする暗城さんかわいい。


「ああ、おはよう!」


「昨日は9時半に来て10時の開店まで待ってましたが今日はどうしましょう。」

シャッターをノックなんてしたところで意味ないだろうな。俺たちは異世界に行った日に店の出入口から出ているから従業員用出入口も多分ない。俺は昨日女神様のPINE(パイン)を入手してたことを思い出した。


「俺、PINEで女神様に電話してみるよ。」


「女神様のPINEを持っているのですか!!」

隣で驚愕の表情をしている暗城さん。





電話がつながることはなかったが代わりに女神様がシャッターを開けて出てきた。多分着いたという合図だったのを察してくれたのだろう。


「やあ、少年。昨日は大変だったな。」


「ホントですよ。それについても今日説明があると思っていいんですか?」


「ああ、そのつもりだ。……私が聞くのもなんだが君の母親は労働基準法とか気にしなかったのか?」


「なんも言ってなかったです。まあ今後言われたとしてもかっこいい言葉並べれば大丈夫だと思います。」

なんか隣の暗城さんが『何の話ですか!』と言いたげな表情をしている気がする。



「おお~っと、これ以上少年と私しかわからない話をしたら彩月に嫉妬で呪い殺されてしまうのでやめておこう。」

嫉妬?何に嫉妬しているのかはちょっとわからないけど怖いからこの話はもうやめておこう。


「し、嫉妬なんてしてません!」

暗城さんが怒って答えた。


「はいはい、じゃあついてきてくれ。」

俺たちが店内に入り女神様はシャッターを閉じた。さらにその後俺たちはいつも通り倉庫に入った。






「あ、お姉様!」

ツインテールの少女がいきなり暗城さんに抱き着いてきた。もしかしてタナカか?

あとどうでもいいけど倉庫の端っこの方に鈴木もいる。


「やめてください!離れてください!お姉様って呼ばないでください!」

何だろうもしかしてこういう光景を眼福というのだろうか。いや待て、ヤバいぞ暗城さんはともかくタナカはおそらく中学生かそれ以下変な目で見たら完全に俺がヤバいやつ。いやでもこのショップで働いているってことは高校生以上か?でも高校生にしては幼いような……。


「あ、田中は28歳のロリババアだぞ。」

女神様が俺の心を読んだのかとんでもないことを言った気がする。


「待って女神ちゃん!28でババアは酷くない!」

28であることは否定していない。どうやら女神様が言ったことは本当のようだ。俺の変な気持ちも失せた。ていうか女神様をちゃん付で呼ぶんだ。


「現実に存在していたんですね、ロリババア。」

追い打ちを仕掛けた暗城さん。


「お姉様、ババアって呼ばないで~」

ババアと呼ばれショックを受けた田中さんが涙目で暗城さんの肩を掴んでいる。しかし28歳にお姉様と呼ばれる高校生の気持ちはどうなのだろう。


「28歳にお姉様と言われると私が29か30代みたいな感じがするんでやめてもらっていいですか。」

ああ、やっぱりきついらしい。俺は暗城さんと仲良くなってまだ数日ではあるけど見たことのない怒りの表情を見せている。怒りすぎて金髪の戦士になってしまうのではないだろうか。






「おい、そろそろ始めてくれよ。せっかく朝早く来たんだからよ。」

鈴木が怒っている。お前に怒る権利はない。黙れ。


「鈴木はうざいけど、確かにそろそろ説明を始めたい。席についてくれ。」

俺たちは用意されたパイプ椅子に座り説明を聞くことにした。


「まず今日説明するものを言っておく。1つ目は昨日少年に何があったか。2つ目は異世界に行くにあたってのルールだ。3つ目は私の見える範囲について。4つ目は田中と鈴木から魔王軍について話す。」

女神様は用紙されていたホワイトボードに黒マジックで文字を書き始めた。

『少年が母親に説教された件について』と女神様がホワイトボードに書いた。

別に書かなくてよくないか。隣には暗城さんがいるのに書かれると恥ずかしいんだが。


その後、昨日俺が母さんに問い詰められてピンチだったこと、アルバイトをしていることにしたということを皆に説明した。


「で、この輝崎の家庭事情を聞かされて俺たちはどうすればいいんだ?」

あきれた表情で言う鈴木。腹立つ。


「いいところに気づくじゃないか鈴木。クズのくせに。まあ順を追うためにまずこれを彩月に聞かせた理由からだ。彩月が良ければ輝崎(しょうねん)と同じ様に特別スタッフとして扱いたい。」


「店の許可も得ずにそんなことしていいのかよ。」

鈴木がツッコむ。

女神様が無言で鈴木の方に向けてビームをチャージし始めた。


「わかりました。黙ります。」


「よろしい。まあこれは正式にはアニメイゾの店員として雇うのではなく私個人が君たちを雇うものだ。それに異世界を救ってもらっているのにこちらから報酬がないのは申し訳ない。」


「そういうことでしたら私はいいですよ。」

俺みたいに一応親に話して許可とったほうがいいんじゃないかな?と言おうと思ったが


「よし、ありがとう。彩月。」

女神様が話を続けたので言うのはやめた。






「で、次が鈴木と田中に聞かせた理由だ。彩月たち二人の給料は今までの君たちの給料から引く。」


「は?」

鈴木が訳のわからなそうな表情をしている。まあ俺もわかってないのだけど。


「実はもう田中の了承は得ている。君たち店員は働いてもいなかったしかも魔王軍に入って私を困らせて一人働く私の邪魔をしていたと言ってもいい。それなのに鈴木、君は私の財布から彼らの給料を払えと?」

女神様が鈴木に顔を寄せて言った。正直脅しているようにも見える。



「あ、ちなみに私が払わないってのもなんか私からの感謝の気持ちが一切ない感じがするので私から1割、田中から3割残り全額がお前だ鈴木。」


「もうわかったよ……。けどよ、そいつらが異世界でもし遊んでたらその分も払えってことか?」

確かにそうだ。鈴木はクズだけど言ってることは正しい。


「そこは私が厳しく判断しよう。」

うるさい鈴木も黙った。どうやら納得したようだ。




「じゃあ次は異世界に行くにあたってのルールだ。まあ正直これについてはあまり語ることはないのですぐ終わる。」

俺達は木曜日に、細かいことは後で話すと言われたから最重要ルールの『異世界に行くときは二人以上で行く』しか聞いていない。いや正確に言うと俺には『異世界に行った日の帰りに暗城さんを送る』というもう一つ重要なルールがある。


「まあ先日、最重要ルールと輝崎(しょうねん)限定ルールは話したからそれ以外の細かいルールについて話す。」

女神様はその後俺たちに紙を配った。


「それが異世界ルール表だ。」





        異世界ルール表

・異世界に行く際は二人以上で行く

・毎回必ず女神ティエラの許可をもらってから行くこと

・定期的に行う面談に必ず参加すること


上記のルールは闇落ちを防ぐためのものであるため

このルールを破ったものはビームで貫きます。



「とりあえずルールを破れないことはわかりました。」

暗城さんがそう答えた。

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