妨害者たち ─1─
「なんかさ、五百城がずっと俺の事睨んでくるねんけど……」
そう海原が口にしたのは、昼休みのランチでの席だった。
誰が声をかけたのかさえわからず集まったメンバー。海原、四ノ宮、月島、そしてアタシ。
改めて考えてみると何とも奇妙な顔触れだが、何故か『いつメン』と称され、これからも四人で食事する事が増えそうな雰囲気だ。
イタリアンが気軽に食べれるお店で、各々が好きな物を注文し、それを待っていた。そこに海原の発言。
「そらぁもう、憎くて憎くて呪い殺したいくらいの相手やからちゃう?」
物騒な事を言う四ノ宮に、アタシはギョッとした。
「な、なんですか? それ……」
「ちゃんと情報収集しといてんで。───玲於様は、高木さんを崇拝してるんやて。好きとかそんなもん通り越して、崇め奉ってるらしいわ。高木さんは誰の物にもなったらアカン……ってのはこの間もゆうてたやろ?」
……言ってた。
「それだけじゃなくて、ホンマにアイドルってゆうか……昔のアイドルみたいな感じ。オナラはもちろん、トイレも行きませーん! みたいな?」
そんなバカな。トイレ行かんかったらそれこそ人間ちゃうやん。と思ったが、恐らくそんな理屈が通る相手ではないのだろう。
どうしたら良いのか。眉間に皺を寄せて考えていると、ふと海原が聞いてきた。
「麗美ちゃんもトイレ行くん?」
「……はい?」
「いや、麗美ちゃんはトイレ行かんのかと俺も思ってたから」
語尾はかなり意地悪そうな笑みを浮かべてからかってきた。
「な……海原さん!」
アタシは真っ赤になりながら海原に食ってかかる。
よく考えてみると、トイレの話なんて恥ずかしくてたまらない。どうして男性の前でこんな話をしているのか……
「そんな恥ずかしがらんでも。誰でもトイレ行くって。私なんか食べたらすぐ出るで?」
臆する事なく発言する四ノ宮に、
「四ノ宮さんはもうちょっと恥じらい持ったほうがいいんじゃないですか?」
相変わらず穏やかな笑顔で四ノ宮を窘める月島は、一足早く出来上がったパスタを食べながらアタシを見てコクリと頷く。まるで、大丈夫だよ、とでも言ってくれているようで、こっちまで笑顔になれた。
「しかしアレやんな。俺はいいけど、麗美ちゃんになんかあったら……って思うと怖いよな」
「まぁ高木さんに危害加える事はないんちゃう?」
「でも、思い詰めたら何をするかわかりませんよ」
ここまで話した所で全員分の食事が揃い、一旦食事に集中する事にした。




