妨害者たち ─2─
ランチメニューに付いてくる食後の珈琲や紅茶、月島に至ってはオレンジジュースを飲みながら、打ち合わせの最終段階に入る。
とは言っても結局の所、まだ何か危害を加えられたわけではなく、少し気味が悪いといった程度の事なので、『気を付けよう』といった在り来りの、発展的な答えには至らなかった。
アタシはどちらかと言えば奈々の件の方が気にはなっていたが、それを海原の耳に入れるのは気が進まなかった為、何も言わないでおいた。もしかしたら後日、四ノ宮には相談するかもしれないが。
会社へ戻る途中、わざと歩みを緩めアタシに歩調を合わせてきた海原は、
「今度の休み、デートしよ」
と耳打ちしてきた。
「は……はい! 喜んで!」
進展のない居酒屋風返事にも、彼は嬉しそうに微笑んでくれる。アタシは一気に、身体中が幸せいっぱいに満たされた。
奈々の事なんて気にする必要はないんだ。彼女が何と言おうが、私達は付き合っていて好き合っているんだから。
自分のデスクに戻ると、昨日程ではないにしろ、まだ貢ぎ物の小さな山が出来上がっていた。それを何とも言えない顔で見ていたアタシに、奈々が笑顔で近付いてくる。
「それ、ほとんど玲於様が置いてってんで。その高級そうなフルーツは部長やけど」
まるでお見舞いのような、籠に入った豪華なフルーツのセット。一体部長は、何を求めているんだろうか。
それよりも玲於様……いや、五百城だ。海原と付き合っていると知ってなお貢ぎ物をするとは、本当にややこしい性格としか思えない。
返すべきか。否、あのようなタイプにそれをすると、逆上してしまうかも。アタシはともかく、海原に怒りをぶつけられてはたまらない。
ここは一貫して、貢ぎ物は皆で分けて頂く、としておこう。
「なんか……疲れるなぁ」
深くついた溜息は、昼休みの終わりを告げる音楽に掻き消された。




