鳴り響く警報
___カンカンカンカン___
皆が部屋で寝ていると、もうすぐ陽が昇るんじゃないかってくらいの時に、アンカの町へ警報が鳴り響いてきた!
「警報!?」
「えっ!? 何!?」
グリュエールとマリーが飛び起きた!
「オークが来たのかい!? 予定ではまだのはずなのに!」
「すぐ準備します!」
グリュエールとマリーは準備をして部屋を飛び出る!
モーティマもちょうど部屋から出てくるところだった。
「なにがあったんだ!?」
「たぶんオークが来たんじゃないかな。予定よりかなり早いけど……」
「どうすんだ」
「とりあえず、冒険者ギルドへ行くよ!」
三人が冒険者ギルドへと走っていく。
町中が大騒ぎで、冒険者ギルドへ向かう途中でも走り回ってる人がいっぱい。
冒険者ギルド前にも人がいっぱい集まっていた。
「冒険者の皆様! オークが移動速度を上げた為、予想よりかなり早くこの町に来る見込みです! 準備できた方から防壁の方へ移動をお願いします!」
ギルド職員が声を張り上げて、冒険者へ指示を出してる。
グリュエールたちも一緒に移動するのかな?
「あたし達はアーノルドのところへ行くよ」
グリュエールはそう言うと、冒険者ギルド内へ入っていく。
冒険者ギルド内もすごい喧騒。
カウンターにも誰もいないし、どうするんだろ。
「アーノルドはどこだい!」
グリュエールが目の前を通り過ぎようとしたギルド職員を無理矢理捉まえて尋ねた。
「ギルド長ならもうすぐ来ると思います! 今は報告の為にギルド長室かと」
ギルド長? アーノルドってギルド長だったの?
あ、そういえば、ここをまとめてるって言ってたっけ。
あれはギルド長って意味だったんだ。
「そうかい。ありがと。……おっ、来たね」
アーノルドがカウンター裏にある扉から出てきた。
「アーノルド!」
グリュエールが声をかけると、アーノルドはこっちへ走ってくる。
かなり慌てているように見えるけど……
そんなに危ない状況なの?
「グリュエール、来てくれたか。あのオーク共……今まで夜は休んでいたのに、昨日は逆に進行速度をあげやがった! 下手したらあと数時間で来るかもしれねえ」
「わかったよ。じゃあ、あたし達は予定通りやってくればいいのかい?」
「ああ……頼む。偶然通りかかったあんた達にこんなこと頼むのも悪いと思うが……」
「何言ってるんだい。あたし達だって冒険者だよ。働いた分の報酬があればいいさ」
「……頼んだ。無理だと思ったらすぐにさがってくれ」
「わかってるよ。こんなところで死ぬつもりはないし。よし、行くよ、二人とも!」
「はい!」
「おう!」
グリュエールは冒険者ギルドを出て、昨日モーティマが作っていた防壁のある場所まで走った。
防壁を眺めながらどんどん進んでいく。
「ほとんど出来てるね。こりゃ昨日ウルが手を出して良かったかもね」
「確かにな。もしウルが魔法を使ってなけりゃ、ほとんど柵だけでオークを止めないといけなくなってたな」
そっか。昨日僕達が来る前の状態だったら、今よりもっとピンチになってたかもしれないんだ。
「さあ、あたし達はもっと前だ」
「もっと前? 防壁はそこまでしか作られてないぞ?」
グリュエールが防壁を出て、更に進んでいく。
防壁を使って戦うんじゃないの?
「丁度いい機会だから、ウルの実験をしようと思ってね」
「はあ!? こんな状況で実験なんかするのか!?」
「こんな状況だからだよ。ねえ、ウル。キミはいろんな魔法が使えるよね」
「うん。前も言ったと思うけど、火炎魔法、水氷魔法、風土魔法、闇魔法だったら大体全部使えるよ」
「その中で一番威力の強い魔法はなんだい? ウルの魔法がどこまで威力があるのか知りたいんだよ」
「威力が強い……それなら“ビックバン”とか? この辺一帯がまっさらになると思うよ! あとは“ヘル・フレイム”で地獄の炎を呼びだせば全部燃えると思うけど」
「うーん……燃えると困るなあ。風土魔法か闇魔法で強い魔法は?」
「風土魔法なら“メテオストリーム”かな? 空から大きな石を降らせる魔法。闇魔法なら“ブラックホール”とか。全部を吸いこんじゃう」
「それなら“メテオストリーム”でいこうかな。オークが見えたらその魔法使ってもらってもいいかい?」
「いいけど、大丈夫なの?」
「うん。アーノルドには言ってあるし、大丈夫」
「えっ!? 言ってあるって、僕のこと話したの!?」
「違う違う。凄い魔法を使うよって言ってあるんだよ」
「あ、そういうこと! じゃあ、オークが見えてきたら使うよ!」
魔王城を出てから強い魔法使うこと無かったから、ちょっとドキドキ!
ちゃんと使えるよね?
大丈夫だよね?




