ウルの魔法
「あの……グリュエールさん。本当にウルの魔法を使うんですか?」
「え? うん、そうだよ。ウルがどれくらい強い魔法が使えるのか、知っておいたほうがいいでしょ?」
「そうですけど……ウルの魔法は普通と違うというか……」
「ん? どういうことだい?」
「普通の人が使うより威力が強いんです。ウルが使った“ファイアーボール”は他の人が使う物より、数倍大きかったように見えたんです」
「そういえば、野営のときに使ってもらった“ファイアーボール”は大きかったね……ウル、すべての魔法でそうなるのかい?」
「僕はこれが普通だと思ってたけど……他の人がどのくらいの魔法使うのかわからないから」
「あー、そうなのか。それなら先にあたしの魔法と比べておいたほうが良かったね」
「グリュエールはどんな魔法が使えるの?」
「あたしかい? あたしは風土魔法が使えるよ」
「そうなんだ! グリュエールが使う魔法見てみたい!」
「今は無理だけどね。これからオークと戦うっていうのに、その前に魔法使って本番で役立たずになったら大変だし」
「そっか。じゃあ今度見せてね!」
「わかったよ」
グリュエールの魔法を見せてもらう約束した!
これでマリーが僕の魔法を大魔法とか言ってた理由がちゃんとわかるかも!
「って、そうじゃなくて! そんな威力の強いウルの魔法を使って、本当に大丈夫なんですか!?」
マリーが怒った。
そうだよね。マリーの質問を無視しちゃってたもんね。
「うーん……ウルの攻撃魔法を見たことがあるマリーがそう言うなら、ちょっと様子をみたほうがいいのかな?
ウルは他の魔法を使った後でも、“メテオストリーム”は使えるかい?」
「大丈夫だと思うよ。使ったことないから正確にはわからないけど、魔力に余裕はあると思う」
「そうなのかい。じゃあもうちょっと弱い魔法を先に使ってもらおうかな」
「わかった! どんな魔法がいい?」
「そうだね……“タイフーン”は使えるかい?」
「うん、使えるよ! “タイフーン”なら前にも使ったことあるし、大丈夫!」
「そうかい。“タイフーン”はあたしが使える風土魔法の中で最高の魔法なんだよ。
ま、ウルの使う“タイフーン”を見ればマリーの言っていた、普通と威力が違うっていうのもわかるだろうし」
「そっか! そうだね。“タイフーン”を使った後に“メテオストリーム”を使えばいいの?」
「それは威力やオークの状況をみて判断するよ」
「わかった!」
グリュエール達と話し合っていると、陽が昇ってきて周りが明るくなってきた。
昨日作った防壁の方では、他の冒険者達も準備をしている。
「あれ……何か来る」
マリーがそう言って森の方を指さす。
マリーが指さした方を見てみると……馬?
馬に誰か乗ってる。
かなりのスピードでこっちへ近付いてくる。
「オークが! オークが来るぞ!!」
ああ、様子を見に行ってた人か。
オークがもうすぐ来るって教える為に急いでたんだ。
「わかった! ありがとう! ギルド長のアーノルドもこっちへ来てるはずだ。すぐに伝えてくるかい?」
「わかった!」
グリュエールがそう伝えると、森から急いで戻ってきた人は防壁の合間を縫って走り去っていった。
「さあ、もうすぐ来るみたいだね。準備はいいかい?」
「はい!」
「おう!」
マリーは弓矢を装備してる。
モーティマは前と変わらず棍棒を。
グリュエールは杖を背負い、僕を鞘に納めたまま持ってる。
よーし、僕も頑張るよ!




