僕とギルド長
マリーが落ち着いた後、マリーとギルド長は契約を交わし、“アイテムボックス”の中に仕舞ってあった荷物を持って、マリーは僕を置いて帰って行った。
マリーは明日の朝、冒険者ギルド前でモーティマと待ち合わせをしているから、冒険者ギルドに寄って、モーティマとも話してから村へと帰るらしい。
最後に僕をギュっと抱いて「ありがとう……元気でね」って言ってくれた。
僕はこれからも頑張るよ……マリーも村の復興、頑張ってね!!
「それでは、さっそくで申し訳ないのですが……ウルさんに紹介したい人がいるのですが、よろしいでしょうか」
「その前に、一つ聞いてもいい?」
「はい、なんでしょう」
「スキルって何?」
「スキル……ですか?」
「うん。さっきも『鑑定』とか言ってたと思うんだけど、それもスキルなんでしょ? 僕、スキルって聞いたこと無くて」
「そうなのですか。スキルというのは……」
ギルド長の説明だと、スキルっていうのは特殊能力みたいなものなんだって。
教わったり特訓したりして覚えるスキルもあれば、産まれたときから持ってるスキルもあるみたい。
戦闘に役立つものもあれば、生活に役立つものもあるし、使い物にならないスキルっていうのもある。
その中でも、ギルド長が持ってるような『鑑定』とか、レアスキルって呼ばれるものもあるとか……
更にモンスターもスキルを持ってたりするから注意が必要!
ギルド長曰く、ダンジョンで出会ったオーガもスキルを持ってたんじゃないかって事だった。あの赤いモヤみたいなのはスキルだったんだ!
なんか複雑!
魔族の人達がスキルを使ってるところなんて見たことないし、そもそも聞いたこともなかったんだけど……
モンスターが使えるなら聞いたことぐらいあってもおかしくないはずなのに……?
「簡単にですが、スキルの説明としては以上です。いかがでしょうか」
「うん。なんとなくだけどわかったよ! ありがとう!
それで、さっきの話だけど……僕に紹介したい人ってだれ?」
「王都の外れの方に住んでいる変わり者です。ただ、信用は出来る人物なので、そこはご安心ください」
「うん、それでなんでその人に?」
「呪い等に詳しい方なのですよ。なのでウルさんの事がわかるかもしれません」
「本当!? それなら行きたい! すぐにでも行こうよ!」
「ただ、ウルさんの場合は呪いではないかもしれないので……あの感情というものの原因がわかるかどうかわかりませんので、過度な期待はしないでください」
「それでもいいよ! 行こう!」
もしあの感情の原因がわかれば、対処もしやすいよね!
それに、もしかしたら……また話すことが出来るかもしれないし。
今度はちゃんと話を聞いてあげたいな……
ギルド長に連れられて、街へと繰り出す。
ギルド長は冒険者ギルドの目の前にある大通りへは行かずに、横道へと入って行く。
狭い道だけど、大通りに近いからか人はいっぱい。
子供も元気いっぱいに走り回ってるし、おばさん達が立ち話してたりもする。
そんな道をどんどん進むと、少しずつ人が減ってきた。
周りの建物も、壁が崩れてたり窓が割れてたり……
こんな所に住んでて大丈夫なのかな……?
そんなボロボロな家が立ち並ぶ道を更に進んだ先にある一軒の家。
その家の前でギルド長は足を止めた。
「ここですね。起きていればいいのですが……」
起きていれば? もうお昼だよね?
___トントン___
ギルド長が扉をノックするけど、返事はない。
「グリュエール! 居ますか? 入りますよ!」
ギルド長が大声を上げるけど、それでも返事はない。
扉を押すと鍵もかかっていないのか、すんなりと開いた。
「はあ……まったく、いつもの事ですが、不用心ですね。おかげでグリュエールが寝ていても私が入ることも出来るのですが……」
えっと……大丈夫なのかな?
こんなボロボロの家に住んでて、昼間まで寝てる人って……
「ああ、やっぱり……あのソファーで寝ているのがグリュエール。魔法や呪いに詳しいのですが、見てくれ通り、不衛生で不摂生な女性です」
ソファーで寝ているグリューエルの周りには、お酒の空き瓶があちこちに落ちている。
使い終わったお皿もそのまま。ゴミもそこら中に散乱してる。
「まったく、いつも言っているのに変わらないのですから……」
えっ……僕はこれから、この人と一緒にここに住むの……?




