Side リン②
グロ注意。苦手な方は
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
で場面転換を表していますので、三つ目まで。それ以降は読まないように注意してください。
読まなくてもストーリーには影響ありません。
ボクは今、実技試験で使われるダンジョンの四階層に来てる。
ホントあの獣人ってバカみたい! 笑えてくるよ!
なんであんな奴が昇格試験なんて受けられるんだろ。冒険者ギルドもバカばっかなんだね。
あいつに渡した薬には、ボクのスキル『ポイント』を付けてある。
だから、後は……
「『サーチ』!」
ほら、あいつのいる場所がすぐにわかる!
このスキルはホント最高!
あ、もう三階層まで来てるんだ。そろそろ準備しなきゃ。
ここでキラーアントを集めて、あいつにぶつける!
大量のキラーアントがいれば、どんなに強い奴でも一回くらい噛まれるでしょ。
それであの薬を飲めんで……
痺れて動けなくなった所にキラーアントに集られれば……
もう考えるだけで楽しくなっちゃう!
よーし、頑張って集めるぞー!
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くそっ……ミスった。
キラーアントに集られてるあいつを見ようとしたせいで、後ろから来たキラーアントに気付かなかった……
足にケガしちゃったじゃん!
これも全部あの獣人のせいだ!
回復薬も使いきっちゃったのに……
足……
血が……
追ってきたキラーアントはなんとか『潜伏』のスキルでやりきったけど……
ヤバい。このままじゃ帰れない……
どうしよう……とりあえず階段……
階段までは……
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ホントなんなの、あの獣人!
ケガ人をほっといてどんどん行っちゃうとか、性格悪すぎるんじゃない!?
やっとダンジョンの出口まで来れたけど、絶対に許さないんだから、あいつは!
あ、いたいた。
「試験官さーん! ちょっと話があるんだけど!」
「リンさん? なぜここに?」
「別にボクがどこにいたっていいでしょ!? そんなことよりダンジョンで大変なことがあったの!」
「……なにがあったのでしょうか」
「昇格試験を獣人が受けてるでしょ? あいつがボクに大量のキラーアントを押しつけてきたの! これってあれでしょ? 冒険者ギルドの規約に違反してるでしょ?」
「それは本当の事でしょうか?」
「なにさ、あんた。ボクの言ってることが信じられないの? あいつのせいでボクはケガしちゃったし、ほらここだってボロボロでしょ?」
キラーアントに噛まれた所を見せつけてやった!
実際噛まれてるんだし、ちゃんと証拠になるよね?
「確かにその跡は、キラーアントに噛まれたようですが、だからといってマリーさんがあなたにキラーアントを押しつけた証拠にはなりませんよ」
「はあ!? 何言ってんの! 被害者のボクがやられたって言ってんだからそうなのよ! あんた、ギルド長に言い付けるよ!? ギルド長とボクは知り合いなんだからね!」
ずっと王都で冒険者やってるけど、ギルド長なんて見たことない。
でも昇格試験の試験官なんて下っ端の仕事でしょ?
こう言っとけばきっと……
「ギルド長と知り合い……そうですか」
ほら、一気に弱気になった!
もう一押し!
「そうだよ! だからあんたが冒険者をヒドイ扱いしたこと黙っててあげるから、あの獣人を捕らえなさい」
「ギルドの規約で、こういった場合は両者の話を聞くことになっております。なので、マリーさんの話も聞いてから対処致します」
「まだそんなこと言ってんの!? ギルド長にチクるよ!」
「私はギルドの規約に則り対処を致します。そのことでお叱りを受けることはないでしょう」
「……ちぇ、わかったよ! じゃあさっさとあの獣人を連れてきてよ」
「只今、昇格試験中になっていますので、直ぐに対処は出来ません」
「はあ!? こんなことがあったのにまだ試験を続けるつもり!? おかしくない!?」
「そうですね。昇格試験が終わるまでお待ちいただけますか?」
「イヤよ! さっさとあの獣人を捕まえてよ!」
「…………」
黙ってこっちを見てくる……
なんなのよ。もう!
「っ! わかったよ! 待つよ、待てばいいんでしょ! あの馬車で寝てるから、だれもジャマしないでよ!」
ホントなんなの、あの試験官!
どいつもこいつも!! あー! イライラする!!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
やっと冒険者ギルドまで帰ってこれた!
試験長すぎ!
あの獣人が帰ってくるの遅いからいけないんだよ!
あの遅さなら試験は不合格だね!
ざまぁみろ!!
「では担当の者が来るまで、こちらでお待ちください。あ、すぐにお茶をお持ち致しますね」
ギルド職員が頭を下げて部屋から出て行く。
第十三会議室とか言ってたけど、こんなとこ入るの初めて。
「失礼します。お茶をお持ちいたしました」
さっきのギルド職員がお茶を持って戻ってきた。
「ねえ、どれくらい待たされるの? さっさと話して帰りたいんだけど」
「そうですね……五分から十分ほどで来ると思いますが……」
まったく、冒険者ギルドってホント人を待たせるのが好きなんだから!
もっとテキパキと動きなさいよ!
「そんなに待たせるの!? せっかく大事な話をしてあげるって言ってるのに! 卑怯な冒険者を退治するチャンスなんだよ!」
「そっ……そうですか。では、担当の者に早くするようお願いしてきます」
「あんたは物分かりがいいね! 出世するよ、あんた!」
「あ……ありがとうございます……それでは」
ギルド職員が出て行った。さっさと呼んでこいよー。
こんな部屋じゃやることもないし、ヒマだなあ。
ま、せっかくだし、タダでもらったお茶でも飲みまくろっと。
あれ……
なんだか眠くなってきた……
ずっとダンジョンにいたし、疲れてたのかな……
まだ来ないみたいだし……ちょっと寝ちゃ……おう……
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……ろ。……きろ!」
なんかうるさいなあ……
「起きろって言ってんだろ!」
___ばしゃーん___
「ぎゃー!? なに! なんなのさ!?」
なに!? いきなり水をぶっかけられた!
なんなのさ、こいつ!
てか、ここどこよ……
石の壁に鉄格子……
ボクの手……なんで鎖が付いてるの?
確か、会議室に通されて、お茶飲んだら眠くなって。
その後……
「ったく、やっと起きたか。手間かけさせるんじゃねえよ」
「……いきなりなにするのさ! それにこれは……なに!?」
「なにじゃねえよ、犯罪者が。おまえは罪を犯した。だから捕まった。わかったか?」
「ボクが何をしたって言うのさ!」
「まず、他の冒険者にモンスターを押しつける行為。これは冒険者ギルドで禁止されている。更に、毒薬を盛ろうとしたな? これは王都の法律に違反している」
「モンスターを押しつけたのはあの獣人でしょ! ……それに毒薬なんて知らないけど!」
「あの子がモンスターを押しつけられた現場を見ていた人がいたんだよ。フードを被って顔を隠したあんたに押しつけられるところをな!」
「なっ……そんなわけないでしょ! あんなところに人なんているわけないし!」
「なんで人がいるわけないなんて言えるんだ?」
「だってだって! ボクずっとあの辺走り回ってた……し……」
「走り回ってた? 何のために」
「……なんでもない」
「まあいい。もう罪は決まってんだ。それで、あの毒薬はどこで仕入れた?」
「毒薬なんて知らないって言ってるでしょ!」
「あくまで白を切る……と。じゃあ仕方ねえな」
「わかったら、さっさと解放しなさい! 今なら許してあげるよ!」
「おいおい、解放なんかするわけねえだろ? おまえはこれから……ほら、これだよ」
男が取り出したのは、鉄の板二枚を隙間をあけてネジで止めてある物……
そこに取っ手のようなレバーもついている。
あの隙間……ちょうど指が入りそうな……
「ちょっ……それって……」
「お、これを知ってるのか? おまえ、過去にもなにかやらかしたか?」
「いや……ちが……」
「この隙間におまえの指をこうやって……入れるだろ? あとはこのレバーを回せば……」
「やめ! やめて! イヤ、イヤーーーー!!!」
指……指が……
「ほら、早く言わないと指が全部潰れるぞ? あの毒薬はどうしたんだ?」
「あ……あ……」
「まだ言わないのか。じゃあもう一本」
「い……や……い……う……」
「ああ!? 聞こえねえな。ほら、いくぞ!」
「いやあああああぁぁぁぁ!!!」




