マリーとギルド長④
「これ以上は詳しく調べてみないと何とも……」
ギルド長が申し訳なさそうな顔をしてる。
でも別にギルド長が悪いわけじゃないしね。
「ううん、気にしないで。僕も自分のことなら知りたいけど、無理ならしょうがないし!」
「そうですか。一応、伝手はありますが……」
ギルド長がなにか悩んでる。
もう話すことが終わったなら帰らしてくれてもいいと思うんだけど。
リンのことは対処してくれるって言ってくれたし、僕達のことも話したから、もう話すことなんてないのに。
「ちなみに、マリーさん。もし村の復興資金が貯まったら、どうされるのですか?」
「そうですね……資金が貯まれば村に戻って、復興の手伝いをしながら狩猟をすると思います」
「ウルさんは? ウルさんも一緒に村へ行くのでしょうか」
「僕? 僕は……マリーと一緒にいたいって気持ちもあるけど、僕の目標は世界を平和にすることだから……だから……どうしよう、マリー! どうすればいい?」
「ウル……私は……私もウルと一緒にいたいけど、私の村にいても世界を平和にはできないと思う……」
「マリー……」
そうだよね、マリーはそのうち村へ帰っちゃうんだ。
ずっと一緒にいるなら、僕が世界を平和にするなんて出来ない……
マリーの村を平和にすることならきっと出来るけど……それじゃ魔王様の願いを叶えることにはならない……!
「マリーさん、村の復興にはどれくらいの資金が必要か分かりますか?」
「村長の話では、元の状態に戻すなら白金貨十枚くらい必要じゃないかと言っていました」
「そうですね。聞いている話でもそれくらいはかかると思います……
その白金貨十枚ですが、私がご用意致しましょう。その代わりに、ウルさんを頂けませんか?」
「「えっ!?」」
「どうするかはお二人にお任せします。断ったからといって、マリーさんやウルさんに不利益になるようなことは致しません」
えっ!? なんで!?
白金貨十枚ってかなりの大金だよね、きっと。
そんな大金をポンと簡単に出せるの!?
これは、僕をその金額で買うってことだよね?
僕にそんな価値あるの……?
「えっと……そんないきなり言われても……」
マリーが僕とギルド長を交互に見てる。
マリーもどうしていいのかわからないみたい。
僕もそう。
でも僕がギルド長の物になるだけで、マリーの村は救われるんだよね……?
「お二人で相談して頂いて構いませんよ。もし邪魔であれば、私は席を外しますが」
「いえ! そんな、そこに居て頂いて問題ありません! ね、ウル?」
「う、うん!」
「そうですか。ではこのままで」
「マリー、どうする? 僕はどうすればいい?」
「わからない……わからないよ、ウル……」
「僕が……ギルド長の所へ行けば、マリーの村は救われるんだよね?」
「うん……」
「それなら……僕はいいよ? マリーの為になるならそれで」
「でも……ウルを売るみたいで……」
「いいんだよ! 僕は剣なんだから! 普通は売ったり買ったりする物でしょ?」
「ウル……」
これでいいんだよね?
これでマリーの村が救われるんだよね?
マリーが僕と別れるのを嫌がってくれるのは嬉しい。
だけど、僕と一緒に冒険したって、復興資金がすぐに貯まるわけじゃない。
早ければ早いほどいいはずだよね?
僕が……マリーの背中を押してあげなきゃ!
「マリー、ここでお別れしよう。そしたらマリーの村が救われるんだから!」
「でも……ウル……」
「これで僕はマリーの村を救ったことになるよね? 世界を平和にする為の一歩になったんじゃないかな?」
「ウル……ごめんね……ありがとう」
マリーの瞳から一粒の涙が頬を伝って流れ、僕の鞘へと落ちてきた……




