マリーと実技試験 ~六階層~
マリーは鼻を抑えて蹲ってる。
なにかトラップでもしかけられてたの!?
「は……鼻が……」
「鼻!? 鼻がどうしたの!?」
「大丈夫……ちょっと血の臭いがきつすぎただけだから……」
通路を歩いている間から、血の臭いはしてたみたい。
でもあの部屋に入った瞬間に、それまでとは比べ物にならないほどの物凄い血の臭いに襲われたらしい。
獣人は人間よりも鼻が効くみたいだから、マリーには刺激が強すぎたんだね。
僕は臭いを感じないからわからなかったよ。
でもヒドイ事になったりしなくて良かった。
少し休んで復活したマリーと一緒に、再度部屋へと入っていく。
臭いがくるって分かってれば、なんとか耐えられるみたい。
「凄いね、ここ」
「うん。マリーはこれだけのモンスターを相手にできる?」
「ウルがいてくれれば大丈夫。だけど、一人だと……たぶん無理」
マリーだけじゃ倒せない数のモンスター。
もしこの惨状を一人で作りだしてたのなら……
かなり強い人ってことだよね。
でも、一人でやったのか、何人も仲間がいたのかもわからないし。
これ以上考えても仕方ないね。
「誰がいるかわからないし、気を付けて行こう、マリー」
「うん、そうする」
この大部屋から伸びてる道は、僕達が来た道の他に左右に一つずつ。
マリーは右側の通路に近付き、覗きこんでみる。
見える範囲では、また真っ直ぐな一本道が伸びてるだけ。
だけど……
「何か聞こえる」
「そうだね。誰かモンスターと戦ってるみたい……きっとこの部屋をこんな風にした人だよね」
マリー……ちょっと怒ってる?
そんなにヒドイ臭いだったんだね……
この一本道がどれくらい続いているのかわからないけど、先にあると思われる部屋が見えないくらいは長い。
それなのに戦ってる音が聞こえてくるって事は……かなり暴れてる?
聞こえてくるのは、ドンとかガンとかそんな音だし、剣じゃなくて重い物を振り回してるのかな。
「どうしよっか」
「マリーに任せるよ」
「うーん……」
この道に行くのか。それとももう一方の道へ行くのか。
マリーが迷ってると……
「……くそが!!」
戦ってる人の声がここまで聞こえてきた。
どれだけ大きな声出してるんだろ。
「今の声!」
「知り合い?」
「知り合いっていうか……モーティマさんじゃなかった?」
「あっ……そうかも!」
一緒に昇格試験を受けてるでかい人!
確かのあの人っぽい声だった!
「……行ってみようか」
「マリーが決めたならいいと思うよ」
「モーティマさんは私にも話しかけてくれたし、悪い人じゃないと思うの」
「そっか。ならピンチだったら助けてあげないとね!」
「うん!」
行くと決めたら後は早い!
マリーは全力で一本道を走り抜ける!
通路の先は、さっきと同じように大部屋に繋がっていた。
通路から大部屋を覗いて状況を確認!
部屋にはモンスターがいっぱい!
壁際に押しやられてるモーティマを囲むように、ゴブリンとオークが半円を作ってる。
更に……
「オーガ……!?」
マリーの呟きが聞こえた。
オークよりも一回り大きくて、牙も生えてる真っ赤な大型モンスター。
オーガと呼ばれたそのモンスターが、ゴブリンやオークに指示を出してるみたい。
このままじゃ、モーティマが殺されちゃう!?




