マリーと実技試験 ~四階層~②
炎の向こう側にいる大量のキラーアントを見て、一瞬動きが止まったマリーだけど、すぐに僕を構え直す。
炎が消えたと喜ぶように、キラーアント達は一気に走り出した。
この数はヤバいよ!!
「“ストーンウォール”!」
先頭を走るキラーアントの目の前に土の壁を作る。
隙間なくできた土の壁にキラーアントの姿は隠れて見えなくなった。
「マリー、ごめん。まだいっぱいいた」
「そうだね……」
“ファイアーウォール”じゃダメだったみたい。
それはそうだよね。炎の中に自分から飛び込んでいく生き物なんて、そんないるわけないよね。
時間稼ぎにはなるけど、全滅させるのは無理だ。
「なんでいきなりあんなにたくさん、キラーアントが出てきたんだろ」
「多分だけど……さっき私達の横を走って行った冒険者いたでしょ?」
「うん」
「あの冒険者が持ってたキラーアントの頭。あれが原因じゃないかな」
「仲間の頭を追ってきたの?」
「虫系のモンスターってピンチになると仲間を呼んだりするから、キラーアントにも何か特性があるんじゃないのかなって思ったの」
「そうなんだ。じゃあさっきの冒険者が原因なんだね」
ヒドイことする冒険者もいるんだなぁ。
___ガリガリ___
___ガリガリ___
ん?
何か変な音が……?
「ねえ、ウル。何か聞こえない?」
「うん、聞こえる。あの壁の方から」
僕が“ストーンウォール”で作った壁から、削るような音が聞こえる。
「キラーアント達が掘ってるのかな……?」
マリーがそう言った直後。
ボコっと音を鳴らして土の壁に穴を空けたキラーアントが顔を出した。
「僕の壁に穴空けられちゃった!」
「っ! でも一匹ずつなら……!」
マリーは僕を構えたまま顔を出したキラーアントと距離をつめる。
顔を出しただけで、まだ体が引っかかって抜け出せないキラーアントへ向けて、上段から僕を振り下ろす。
キラーアントの頭と胴の接続部を狙った剣戟は、見事にキラーアントの体を二つに分ける。
壁に埋まったまま胴体だけになったキラーアントだけど、よく見ると少しずつ動いてる……
これは後ろから押されてるのかな。
ポロっとキラーアントの胴体が落ちると、すぐに新たなキラーアントが顔を出した。
マリーは慌てることもなく、すぐに同じ場所を狙って僕を振るう。
___ガリガリ___
___ガリガリ___
今、穴が空いてるのは一か所だけだけど、壁のあちこちから削るような音が響いてくる。
壁を見れば土が落ちてきている。もうすぐにでも何個も穴が空いちゃいそう。
このままじゃマリーの手が追いつかない!
しかも……この気配は……
「マリー、大変! 後からも来る!」
斬られたキラーアントが更に仲間を呼んだのか、前からも後ろからもキラーアント。
完璧に挟まれた!
「これじゃ……もう……」
大変!
マリーが諦めかけてる!
どうにかしなきゃ!




