研究室前で
扉の前で待ち始めてから、けっこうな時間が経った。
もうすぐ三の鐘が鳴るんじゃないかって時間になって、やっと部屋から人が出てきた。
「もう、お兄様は心配性なんだから。ねえ、ルノ。あなたもそう思うでしょ?」
「えっ、ええ。そうですね……あ、いえ! 決してナユタ様のことを悪く言っているわけではないのですが!」
「ああ、わかっているよ。気にしなくていい。
それよりナギサの方だ。まったく、勝手なことをして……」
ルノ? あの子がルノって子なの?
背の小さな女の子。短めの髪を両サイドで縛ってる。
腕に包帯を巻いているから、あそこが噛まれたって言っている箇所なのかな。
「あ、やっと出てきた!」
フィールンが三人に向かって声を掛けると、ナギサがあからさまに嫌そうな顔をした。
「なんであんたがここにいるのよ!」
「なんでって、ナギサに話があったからだけど」
「私はあんたと話すことなんてないわ!」
「そう。じゃあいいや。そっちのルノって子と話すから」
「ルノだって、あんたと話すことなんてないわよ! ね、ルノ?」
「えっ……ええ、はい! 無いです!」
「ほら、ルノだってこう言ってるんだから。さっさとどっかへ行きなさいよ!」
「ねえ、あなたが魔竜に噛まれたっていうのは本当なの? ピーちゃん以外に魔竜がいるの?」
「えっ……え? えっと……」
フィールンはナギサを無視してルノに話しかけた。
ルノは助けを求めるようにナギサを見る。
ナギサは鼻を鳴らし、フィールンを睨みつけながら話し出した。
「ええ、そうよ。ルノは昨日の夜に寮へ戻る途中で魔竜に噛まれたの。ただ、あんたの言っていることは少し間違っているわ。他に魔竜がいるわけないじゃない。あんたのその魔竜に噛まれたのよ!」
ナギサはピエールを指さしながらそう言い切った。
「でもピーちゃんは昨日の夜、研究室から出てないし」
「なんでそんなことが言えるのよ。ずっと一緒にいたわけではないのでしょう? 夜には研究室に魔竜を放置して寮へ戻っているじゃない。その魔竜が研究室から抜け出したってわからないでしょう」
「抜け出すなんてできないよ。扉も窓も閉まってるもん」
「魔竜なのよ? 私達の知らない方法で抜け出すことくらいできるのよ!」
「ピーちゃんはそんなこと出来ないし、もし出来てもやらないよ!」
「そんなのわからないじゃない! 魔竜なんだから!」
ナギサは本当に魔竜が嫌いみたい……
でも魔竜ってだけで悪いやつだっていうのは、ヒドイと思うんだけどなあ。
「学長先生だって、ピーちゃんは研究室から出てないって言ってたし!」
「……え? なんですって? 学長先生が?」
「そうだよ! どうやってるのか知らないけど、研究室から出てないってわかってたみたいだし!」
「ちょっと、それどういうことよ! 学長先生がって……」
「ナギサ、落ち着きなさい。フィールン、すまないね。ちょっと急用ができた。失礼するよ。
ナギサ、ルノ。行くよ」
「お兄様! えっと……その……」
「いいから! ほら、行くよ」
「はい……」
学長の話が出た直後に三人が慌てだした。
そのまま急いでどこかへ去って行く。
「ちょっと! 話はまだ終わってないよー!」
フィールンはそんな三人に後ろから声を掛けたけど、三人は振り返ることもなくどっかへ行っちゃった。
フィールンも声は掛けたけど、明らかに三人の様子がおかしかったからか、追い掛けることはしなかった。
「どうしたんだろうね。学長先生がって言っただけで逃げるようにいなくなっちゃった」
「うーん……やっぱりピエールが噛んだって言ってたのは嘘だったんじゃないのかな。それで学長にバレちゃうかもって思って慌てたとか?」
「でもそんな嘘、すぐにバレるよね? なんでそんなことしたの?」
「僕にもわからないけど……」
そうだよね。調べればわかるような嘘吐いてどうするんだろ?
うーん……
ナギサが勝手にやったみたいな話をしてたけど、なにか考えでもあるのかな。
いつも読んで頂きありがとうございます。
日々ブクマが増えていたりとかなり喜んでいます!
いきなりで大変申し訳ないのですが、今日までなんとか毎日更新をやってきたのですが……
矛盾を感じる箇所が出てきてしまいました。指摘して頂くまで気付けなかったのも失敗でした……
その矛盾点を修正するために、少しの間お休みを頂こうと思います。
二週間~一ヶ月ほどかけて修正したいと思います。
こちらの都合で申し訳ないですが、再開するまでお待ち頂ければと思いますm(_ _)m




