マリーと冒険者ギルド
マリーがベッドの上でゴソゴソ動き出した。
起きたのかな?
「マリー、おはよう!」
「うわっ! ビックリした……そっか、ウルがいたんだよね」
「えー、忘れてたの?」
「寝惚けてただけ。ごめんね、ウル」
昨日の今日だからしょうがないね。
マリーが目を覚ました直後に鐘の音が聞こえてくる。
「一の鐘も鳴ったみたいだし、さっそく冒険者ギルドへ行こうか」
「うん!」
「ウルには申し訳ないんだけど……ウルはカバンの中に入ってもらってもいい?」
「え!? なんで!?」
「昨日まで一緒に護衛してた人達にウルのこと見つかると……昨日の今日でこんな立派な剣を持ってたら怪しまれちゃうでしょ?」
「立派なんて、照れるじゃん!」
「え、そこ……?」
「そんなこと言われたら断れないね。カバンの中でいいよ!」
「うん。ありがと、ウル」
マリーはすぐに準備を開始。
部屋を出る直前で僕をカバンに入れてから出発!
目指すは冒険者ギルド。
宿屋を出て大通りへ行くと、すでにいくつかのお店は開いている。
露店や屋台も商売を始めていた。
マリーの泊まった宿屋では朝ごはんは無かったから、屋台で串焼きを一本買ってから冒険者ギルドへ向かった。腹ごしらえしてからじゃないと仕事は出来ないよね、うん。
冒険者ギルドの中は、すでに人がごった返してる。
冒険者の朝は早い。朝一に新しい依頼が依頼ボードと呼ばれる場所に貼り出される。
いい依頼はすぐに取られていっちゃうから、早く来ないと無くなっちゃう。
「王都……甘く見てた。この時間ならまだ空いてると思ってたのに……」
人の量にビックリしながら、この時間でも来るのが遅かったのかとマリーが落ち込んでる。
そのまま立ってても時間の無駄だからと、人が溢れかえる依頼ボードへ足を向ける。
銅ランクでも受けられる依頼……探してみてもいいのが無かったみたい。
「はぁ……無駄足かぁ。いい依頼も無いし、今日は買い出ししてゆっくりしようか」
僕に聞こえるようにマリーが話してくれる。でも僕は返事が出来ない。だって他の人にバレちゃうかもしれないもん。
ちょっと落ち込んでるマリーが冒険者ギルドを出ようと、扉へ向かう。
「ちょっと! そこの人! あなた! マリーさん!? マリーさんですよね!?」
マリーが扉に手を掛けたところで、後ろから冒険者ギルドの職員が声をかけてくる。
マリーは訝しげに振り返る。
「そうですけど……何かありました?」
「いえ! すみません! あの……こちらの手違いで……今お時間大丈夫ですか?」
「今日はいい依頼も無かったので、これから買い出しでもしようかと思っていたところです。お店もまだ開いてないし時間はありますけど……」
「良かった……あ、お話したいことがあるので、あちらに来て頂いてもよろしいでしょうか。マリーさんにとって悪い話では無いので」
「はい」
悪い話では無いと聞いて、少し安心したようにギルド職員について行く。
冒険者ギルドは入った目の前にカウンター。右手側に依頼ボードが置いてある。
左手側には階段があり、職員はそちらへと歩いて行く。
階段を登るとドアが何個もある。その内の一つに入っていく。
部屋の中には机と椅子が置いてあり、会議室みたいになってる。
「では、そちらへお掛けください」
「はい」
ギルド職員と対面になるようにマリーが座った直後、ギルド職員が頭を下げてきた。
「本当に申し訳ございませんでした!」
「えっ!? えっと……何が?」
いきなりの謝罪にマリーが焦ってる。さっきまで敬語使ってたのに、素が出ちゃってるよ。
「先日、マリーさん達が護衛依頼達成の報告に来て頂きましたよね?」
「はい」
「その時点で、マリーさんの銀ランクへの昇格基準がクリアされていたんです」
「えっ! ホントですか!?」
「えぇ、なのにそれを伝え忘れてしまって……本当に申し訳ございませんでした」
「いえ、いいですよ! 気にしないでください!」
「そう言ってもらえるとありがたいのですが……もう1つ……」
「なんですか?」
「王都ギルドでは、昇格試験が四半期に一回になっております」
「はい」
「次の銀ランクへの昇格試験の日付なのですが……本日、二の鐘から開始になります」
「……え?」
「本日、二の鐘から開始になります」
「聞こえてますよ! えっ!? もう、すぐ!?」
「そうなのです……昨日の内に伝えられれば良かったのですが、マリーさんの宿泊場所もわからず……本当に申し訳ございません」
「いや……まぁ……はい」
えっ? 昇格試験がこれから!?
どうするの、マリー!?




