第六章 5
電話の相手は「ちひろ」だった
「もしもし・・・ちひろちゃん・・ちぃの退院が決まりそうだよ」
「本当?直ぐなの?」
「様子を見て何事も無ければ・・・」
「じゃあ・・・そっちに行かないとだね。」
「そうしてもらいたいんやけど・・まだ・・記憶が・・・」
「何も思い出さないままなの・・・?」
「あぁ・・ 家族の事は少しずつ話して聞かせてたから、本人も受け入れているみたいだけどな・・」
「双子にはびっくりしてたんじゃない(笑)?」
「まぁな・・」
「退院の日がハッキリ次第連絡する」
「うん」
「その時、ちぃと色々話をしてくれ・・」
「色々って?」
「今後の事とか・・・」
「うん・・・京ちゃんは?どうするの?」
「俺か?・・そうだな・・・」
「何かあるの?」
「いや・・考えておくよ、それとひとつ頼みがあんねん」
「なに?」
「ちぃと電話で話すときに俺の事にはあまり触れんでほしいねん・・ 名前とか聞かれても・・・言わんでくれ・・」
「何で? そんなのダメだよ!隠さなきゃならない理由でもあるの?」
「ちぃの新しい人生の為にも・・・俺は・・」
「どうしてよ!!」
「名前だけでも教えてあげて・・・じゃないとちぃが・・ちぃちゃんが可哀そうよ・・・」
「・・・あかん・・」
「どうして!」
「ちぃが全て自分で思い出さない限りは・・・知らない方がいいんや・・・」
「・・・どうして・・・」
京介は千佳の方を振り向いた
千佳は京介が自分の方を見ているのも気が付き大きく手を振ってきた
手を振り返した・・・
「なぁ・・ちひろちゃん・・・前もって声だけでも聞いておいたらどうや?」
「えっ・・でも・・そうだよね・・突然じゃ・・どう接していいか分からないもんね・・」
「あぁ・・」
「でも・・・何でちぃちゃんは記憶が無くなったの?」
「・・・」
「何か・・あったの?」
「俺のせいやねん・・・」
「・・・京ちゃん・・・」
「だから・・だからやねん・・・分かってくれ」
「・・・でも・・・今もちぃちゃんの事考えて色々やってくれているじゃん」
「償いや・・・」
「償い・・・なんて・・言わないで・・・」
受話器を耳から放し千佳の方へ向かって歩いて行った
無邪気に笑う千佳の姿・・・
『電話 終わったの(*´∀`*) ねぇ、見て夕陽が綺麗だよ』
『・・んっ・・あぁ・・そうやな・・・ちぃ・・妹さんや・・・』
『えっ・・』
携帯を千佳に差し出した・・
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