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第四章 6

着信はジャニスだった・・・。





『ジャニス・・・か・・』





『ねぇ、京ちゃん聞いていい?』





『なんや・・・?』





『今・・ちぃちゃんは?』





『ちぃは・・・』





正直に伝えなければならない・・・


そう思えば思うほど言葉が詰まった





『今、言えないなら今は聞かない・・・だけど皆、心配してるの・・・だから言う気になったら教えてちょうだい・・・』





『もう少しだけ・・時間をくれ・・今日中に話す・・・』





『うん・・・。』





ちひろは浜辺に座り「アコウクロ」を眺めた





『アコウクロって、不思議・・なんか寂しげに感じる時もある・・・子供のころはそんな事考えた事も無かった』





『・・・この夕陽には色んな意味を感じる・・・』





『例えば?』




『闇と光、絶望と希望、始まりと終わり、生死の狭間』




『毎日・・・どこかで誰かが生まれ、誰かが死んでいる・・・それは嬉しくて悲しい物語・・・』





『そうかもな・・・』



「天国にあ~なた~♪(着信音)」




着信はジャニスだった





『ちひろちゃん、電話いいか?』





『うん(*´∀`*)』




ちひろから少し離れた場所で電話に出た。




『ようやく繋がりましたね。心配してましたよ、京介さん』




『悪かったな・・・』





『今はどちらですか?』





『沖縄や・・・ここがちぃの生れた場所なんや・・・』





『そうでしたか・・・』





『ジャニス、俺の目的はここで終了や・・・』





『・・・』





『例の薬だが、まだ残っている』





『どの位、残っていますか?』





『30錠以上はあるだろうな・・・』





『飲みすぎは危険です。気を付けてください』





『俺にはもう守るものも失うものもないんや、ここでお前とも「さよなら」や・・・』





『ちょっと待って下さい!!』





『偶然だが、ちぃの家族とも会えたもう思い残す事はない』





『では、尚更早まらないでください』





『何故だ?俺はちぃの所に逝きたいんや・・・』





『分かりました・・ですが・・今一度、東京へお戻りください』





『ここで終わりたいんや・・・』





『ダメです。ジャニス一生のお願いです。一度帰って来て下さい!!』





どんな時でも、京介に刃向かう事の無いジャニスが大きな声を出して言った・・・




『何故だ?何故そこまで・・・』





『京介さん・・・ ちぃさんの最後を覚えていますか?』





『辞めろ・・ジャニスもう思い出させないでくれ・・・』





『いえ辞めません。今、一度思い出して下さい・・・』





京介は頭を抱え込み、苦痛に顔が歪んみしゃがみ込んだ





『何故だ・・・』





京介の脳裏には千佳の最後のシーンがフラッシュバックしてきた





『俺が・・俺が・・首をこの手で絞めたんや・・・それで・・・ちぃは・・・』





『はい。確かにそう伺ってました。 その後京介さんの指示で、ちぃさんの体を冷凍保存しました』





『あぁ・・・』





『・・・一度、ガラスケースが割れた事を覚えていますか?』





『俺が旅発つ前にな・・・』





『はい』





『それがどうした・・・』





『その後、ケースを調べるとそれは何か不自然でした。傀儡の呪縛なのか・・・それとも本人の思念なのか・・・未だ不明のままですが・・・』





『・・・』





『再度、冷却をかける為にケースを補修すると直ぐに他の所が割れる・・・。直ぐに連絡をすれば良かったのですが・・・こちらで対処すべき事と思い報告はせずに対処をしていたのですが・・・』





『・・・』






『しかし、何度直しても同じ現象が続きました・・・これは何かがある・・・そう感じたのです』





『きっと、ちぃの俺に対する怒りだろ・・・』





『いえ・・・違います・・・』





『何だと言うんだ・・・』





『不思議に思い、ちぃさんの手首を取ると今にも止まりそうでしたが微かな鼓動が・・・』





『何!それは本当か!』





『ええ、急いで体温を少しずつ上げ薬を投与し、一度体に衝撃を与えたんです』








京介は電話をしながら振りかえった






そこには「絶望と希望の光」にも見える 





「アコウクロ」





そして





千佳の双子の妹のちひろが優しい頬笑みで





京介を見つめていた・・・。























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