第四章 4
「ちぃなのか・・・」
「いや・・フラッシュバックなのか・・・」
数秒間が長く感じ、色々な事が駆け巡った・・・
マコの娘は京介を初めて見るような顔をしてきょとんとしていた。
『いらっしゃいませ(*´∀`*)初めまして!娘です(笑)』
「一体・・どうなっているんだ・・・」
「ついに俺の神経はおかしくなってしまったのか・・・」
目の前の事が信じられなかった
『どう?京介さん、私に似て美人でしょう(*´∀`*)』
マコは笑顔でそう言った。
『あぁ・・・とても・・素敵だ・・・』
自然と涙が溢れ出てきた
『ちょっとぉ!笑うとこよ(笑)』
娘は京介の涙に気づいた
『ど・・どうしたんですか?』
『いや・・何でもない、知り合いに君があまりにも似てるもんでな・・・懐かしくて・・・』
『そうですか・・・ なんか・・ごめんなさい』
『謝ることはないよ(笑)』
その日の「わらいや」は数名の客が京介の他にも居たが比較的暇な方だった
他の客の接客をする娘をぼんやり眺めながら酒を飲んだ・・・
すると、視線を感じた娘が言った
『お客さん(笑)そんな見られたら、穴が空いちゃいます(笑)』
『あぁ・・・ごめんやで・・・』
『あらあら・・(笑)うちの娘に惚れてしまったのぉ?』
『もう!辞めてよお母さん(笑)すみません・・えっと・・』
『京介さん・・・京ちゃんよ』
マコが娘に伝えた
『すみません、京ちゃんさん』
娘に名を呼ばれた瞬間、「ドクン」と脳が一瞬痛みが走った・・・
『いや・・気にしないでくれ・・・』
激痛はどんどんと激しくなっていた
「ヤバイ・・・ フラッシュバックが来る・・・」
予兆を感じた。
京介は頭を抑える様にし下を俯いた
『どうしたんですか?大丈夫?』
『あぁ・・少し頭痛がするだけだ・・薬がある大丈夫だ・・・』
薬を出して酒で飲もうとした
『あっ!ダメですよ、お薬はお水か白湯で飲まないと』
そう言い、娘は水を出そうとした
『あまりそう言うの気にしない方なんや・・・』
目の前がくらくらし始めてきた
『ダメですよ!!そう言うの大事です!!』
『だ・・だいじ・・?』
『そう(*´∀`*)大事です 京ちゃんさん』
京介の意識は、娘の「大事」「京介ちゃん」で完全に堕ちた・・・
「大事・・・。」
「だいじぃ・・・」
「京ちゃん・・・」
「ちぃ・・・」
「私、京ちゃんのお嫁さんになるの・・・」
死んだはずの千佳・・・
ジャニスに何とか生き返らせてくれと言った自分・・・
「ジャニスからの連絡は無かった、千佳は冷凍保存してきているはずだ・・・」
「実は最初から、ちぃは死んでいなかったのではないか・・・」
「俺はちぃでは無く、別の人間を殺したのだろうか・・・」
意識が遠のいていく最中、そんな事が浮かんだ・・・
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店内では急に倒れ込んだ京介に慌てていた
マコ、娘、店に居た客で、京介をBOX席に寝かせて暫く様子を見る事にした
その間、娘は京介のおでこに冷たいタオルを乗せ汗ばむ顔を何度か拭いた
そうこうしている内に京介の意識は戻った
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『あっ!気がつきました?大丈夫?』
『・・・あ・・ありがとう・・』
娘の顔をゆっくりと見た
『君・・・名前は?』
『ちひろです(*´∀`*)』
『ちひろ・・さんか・・色々と悪かった・・』
起き上がりカウンターへ戻った
『ちょっと!京ちゃん、幾ら、ちひろが可愛いからと言って倒れる事ないでしょう(笑)大袈裟ね~』
『全くだ(笑)』
マコは場の空気を和ますためにおどけた。
マコの気遣いを感じた
『ねぇ、誰に似てるの?』
ちひろが言った
『とっても 大事な人に・・』
『何処から来たんですか?京ちゃん?』
『俺は・・東京からや・・』
『えっ?東京?』
『あぁ』
『似てるって・・もしかして・・・うり二つ・・じゃないですか』
『そうなんや・・似すぎていてビックリしたんや・・・』
『それって・・・うちのお姉ちゃんじゃないかな・・・』
『お姉さん・・?』
「ちぃに姉妹なんて居たのか・・?」
『私、双子なんだ(*´∀`*)』
『双子?じゃあ お姉さんの名前は・・・』
『千佳だよ、綾瀬 千佳』
目の前が真っ暗になった・・・
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何も言わず二人に写真を差し出した
「アコウクロ」
「ウエディングドレスのちぃ」
二人はとても嬉しそうに写真を眺めていた
運命の悪戯なのか・・・
ちぃが導いたのか・・・
刹那の中痛みを感じた・・
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