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第三章 8

千佳はウェディングドレスの出来上がりが待ち遠しかった。


めぐに、こっそり連絡をしてデザインや小物関係の事を打ち合わせしていた


京介を喜ばせたい、その一心だった




楽しい日々が続いている  


楽しい日々が待っている



千佳はそれを強く願った





京介の居ない時間、千佳の中では本体と自我のせめぎ合いが続いてた。



実際は自我の力が強くなりつつあるように感じていた・・・


本体の意思の主導権はとても弱く薬が無ければ・・そう思っていた。



その事を京介に悟られたくない・・


千佳は自分の身を削る様な程の努力をしていた・・



自我とのバランス・・・


朝、昼、夜、時間的な配分を考え薬を飲んでいた。


なるべくならば京介の、前では本体のままでいたい・・それが本音だった。




だが・・日増しに薬の効き目の時間の感覚が短くなってきていた・・・。



そんなある日



京介は薬の残量を見ようと思い薬箱を開けた。



『やけに薬が減っているな・・・』



薬箱から視線を外すと、目の前には千佳が居た。




『ちぃ・・薬飲み過ぎてないか?』


『・・・少し・・飲み過ぎているかも・・』


『どっちだ・・?』




京介はどちらの人格が薬を飲んでいるか聞いた





『私です。』



千佳は本体の人格を意味して答えた。



『・・・そうか・・飲まないと辛いんか・・?』



『眠る前に・・一袋多く飲むと朝、普通でいられるから・・・』



『朝?』



『朝ご飯とか作るの自我だと・・・』



『そんなの気にしなくていいんだ・・・昼間はどうなんだ?』



『昼は自我はあまり出てこない・・いつもって言う訳じゃないけど・・あまり自我は出てきてないです』



『・・・そうか・・分かった。今日、薬を準備してくるな・・・。』




「少し変だ・・・」



京介は違和感を感じた・・・。




『あの・・お願いが・・・』


『なんや?』


『睡眠薬を少し欲しいと思って・・・』



『どうしてだ?』



『なんか・・眠れなくて・・それと・・自我を少しでも抑えれるように・・』



『睡眠薬がどの様な効果があるかジャニスに相談してみてからだ・・・』



『はい・・』




千佳はとても不安に思っている事があった。


主導権が自我に渡り自分との入れ替わりが出来なる事を恐れていた。 


薬で押さえこまれている自我の怒りがきっとそうしてくる・・・そう感じて病まなかった・・




自分で言う呪文は効果が無い・・・


ならば薬で止めるしかない・・




千佳はこの時、既に感覚的に自分の体の中で起こっている変化に気づき始めていた・・。



ウェディングドレスが仕上がる日がめぐから連絡が入った。


その前日に ちぃは行動を起こした。



京介の不在の間にやってしまわないと・・・そう思った・・




『・・・あっ・・あった うん。似てる大丈夫。』



そこには昔、病院で貰った風邪薬があった。


その薬を隠すようにしまい込んだ。




京介から渡された薬も出来るだけギリギリまで飲まないようにしてみた。


薬の効果が薄れていいる・・・


体が薬に慣れてきている・・・



薬を飲まないでいると人格の入れ替わりの時とても苦しい・・


そして激しい頭痛に襲われる・・




その日も頭痛が激しくなり始めて意識が遠のいていった・・・


『もう・・・ダメ・・』 



千佳は倒れ込んだ・・・



「ビクン・・ガクガク・・」




白目をむいたまま、千佳は起き上がった・・・





『きょうすけ・・しゃん・・きょうすけ・・しゃん・・』





自我で目覚めた千佳は京介を探し始めた・・・





部屋の中をウロウロと探した




『いない・・きょうすけしゃん・・』




自我の千佳の目の前にいつも飲んでいる薬があった・・



自我は入れ替わる前、本体が薬を持って何かをしていたのを思い出した



『・・・これ・・いらない・・きょうすけしゃんにあえない・・これいらない・・』




自我の千佳は薬をキッチンで薬の袋を破りそして蛇口をひねった・・






「ジャー」





薬は水と共に排水溝へ流れていった・・・





薬が流れていく様を不敵な笑みで千佳は眺めていた・・・



「ズキン!!」



その時・・激しい頭痛に襲われた・・




『いたい・・いたいぃ・・きょうすけしゃん きょうすけしゃん・・』





自我の千佳はたうち回りながら携帯を取り京介に電話をした・・



「プルルル・・・」



もしもし『・・ちぃ?・・・どうしたん?』



『いたいぃぃぃ・・・いたいぃぃ・・』



『ちぃ!ちぃ!どうした 大丈夫か?』





京介は声のトーンの違いやしゃべり方で自我である事を感じた



『いた・・・・』




電話越しの千佳の声が途切れた・・・





『ちぃ!今すぐ戻る!!』





そ携帯を切ろうとした時、ちぃの声が聞こえた・・



『・・・・』



『ちぃ!』




『早く来いよ!お前のせいで!私は・・・私は!』




激しく怒りに満ち大きな声を張り上げていた






「サタン・・の人格か・・?」





『・・・殺してやる・・・』





このままでは危険だ・・そう感じ、電話越しに呪文を唱えた






『すまん・・・ちぃ・・。』     




『あぎゃぁぁぁ-殺す!殺す!』




『我・・・最強なり・・・』




『うわぁぁぁぁ・・・あっ・・ぁぁ・・』






千佳は嘆きにも似た声を張り上げながら携帯を手元から落とした






『ちぃ!ちぃ!大丈夫か!!ちぃぃぃー』


























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