第二章 9
車内は騒がしくなっているようだった・・
耳からは音は入ってくるがどうにも動けない・・・
意識も朦朧とし深い眠りについてしまった・・
「なぁ・・ちぃ・・」
二人は外を歩いていた・・
「なぁに?」
「あの夕陽の写真なんだけど・・」
「夕陽?」
「あぁ 壁に貼っていただろう?」
「あぁ・・うん・・」
「あれは何処なんだ?」
「・・・うん・・・京ちゃんの知らないところだよ・・」
「教えてくれないか・・」
「・・うん・・いいよ、あそこはね・・約束の場所なんだ・・」
「約束?誰かと 約束してたのか?」
「うん」
「俺は・・そこには行かない方がいいのか?」
「ううん・・いいよ・・京ちゃん」
「あそこはね・・」
急に真っ暗な世界に落とし込まれた・・
「どう?・・・闇に陥る気分は・・フフフ」
そこにはサタンの人格のちぃがいた・・
「ちぃ・・・」
「お前のせいで私は一つの体に閉じ込められ・・・体が破滅的な道へ進んだ・・」
「あぁ・・その通りだ・・」
「本体を消す・・自我と私で体を守る・・」
「何故、本体なんだ」
「お前のせいだろ・・・キャハハハ」
「頼む、本体は残してくれ」
「自分勝手だね・・お前も苦しめばいいんだよ」
「ちぃ!ちぃ! 我 最強なり 我 最強なり」
京介は呪文を何度も唱えた
「今更・・そんなの効かないよ・・京ちゃん・・ニヤリ」
憎悪に満ちた怒りの千佳が首を絞めてきた
京介はちぃの腕を掴み体を押した
「辞めろ!」
「ドン」
ちぃは壁にぶつかった
「きゃん・・痛い・・ 京ちゃん・・ごめんね・・ 私・・ごめんね・・」
本体が出来ているように見えた
「ちぃ・・ ごめん 」
倒れる千佳を起こそうとしたとき・・
「甘いんだよ・・」
ちぃは京介の腹に刃物を刺した・・
「ブス・・・ズズズ・・・」
刃物はゆっくりと押し込まれていった
「はう・・ちぃぃ・・」
涙を流しながら京介に刃物を突き刺す・・千佳
顔が霞んで見えた・・・
「だ・・い・・じ・・」
『うわぁぁぁー』
大声を出しながら起き上がるとそこは見知らぬベットの上だった
辺りを見渡すと、どうやらどこかの病院に居る様であった・・
「そうか・・・新幹線の中で・・・」
点滴がさされ、パジャマの様なものを着せられていた
京介は点滴を抜きベットの脇にあった服を着て病室を出た・・
「こんなとこで道草なんて食ってられないんや・・」
早く、ちぃの約束の場所を目指したかったのと・・
院内でジャニスから貰っている薬に付いて問い詰められるのを恐れていた・・
違法処方の薬・・・
傀儡作りに使う薬とは違うが、一般社会では禁じられている薬剤を含んでいたからだった・・
いかにも見舞いに訪れた客の様に振る舞い
さりげなく歩きナースステーションをクリアした。
病院を抜け外に出た・・
時計を見ると新幹線を乗った時間から6時間以上経っているようだった・・
「ここは一体 何処なんだ・・」
タクシーに乗り、場所を確認することにした
『すいません駅に・・』
『駅ね・・新大阪でいいですか?』
『新大阪・・・なんだ・・乗ってすぐやったんか・・・いや梅田に・・・』
『梅田ね、はいよ』
京介は昔の友人のところで少し休ませて貰おうと考え梅田に向かった。
「プルルル・・」
『はい』
『久しぶり・・ ワシや』
『京介さん?』
『今日 時間あるか?』
『大阪?』
『あぁ・・少し休ませて欲しいんや・・』
『う・・ん・・いいよ・・じゃ来て』
『悪いな・・』




