表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒のカサブランカ ――裏切られし女勇者、闇に堕ちて魔王となる――  作者: 小鳥遊 千夜
第二章 二人目のメインターゲット 大司祭、ビション=ヴァルテス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
99/112

第99黒 聖灰教団幹部 疫災の大呪術師 ダリオ=シャード

 

 燃え落ちる礼拝回廊。

 警報音が、絶え間なく鳴り響いている。


 崩れたステンドグラスから月光が差し込み、血と灰を照らしていた。


 リィナ達は、なおも教団本部の奥を目指して駆ける。


 その時――ぐちゃり。


 まるで肉を踏み潰すような嫌の音で、全員の足が止まる。


 そこへ、回廊の奥から白衣の裾を引きずりながら一人の男が現れた。


「いやァ……実に素晴らしいねぇ」


 ぼさぼさの黒髪に血痕の付いた白衣。


 聖灰(せいかい)教団の幹部である大呪術師――ダリオ=シャード。



 その笑みを見た瞬間、ゼルヴァの瞳が、鋭く細まった。


「……貴様」


「おやァ?覚えててくれたのかい?」


 楽しそうに、ダリオが肩を揺らして笑う。


「嬉しいねぇ」


 リディアが警戒して剣を構える。

「こいつが……」


「ええ、教団幹部の呪術師ダリオ。

 人体実験が大好きな……最悪の外道よ」

 ヴェルミナが目を細める。


「ひどいなァ…僕はただ、“命の可能性”を研究してるだけなのに」

 ダリオが口を尖らせる。


 その視線が、ゼルヴァへ向く。


「くくっ…特に君は最高だったねぇ」


 ゼルヴァの周囲に、赤黒い魔力が滲み始める。


「珍しい、古代竜人。しかも純血に近い個体なんて、

 超一級の研究素材だったね。鱗を剥がして、骨を削って、血を抜いて……」


 恍惚(こうこつ)とした表情でニタァ、と笑う。


「どこまで壊れず耐えられるか、楽しかったなァ」


 ゼルヴァは暴れる事もなく、

 ただ、拳を握り静かに闘気を燃やしている。


 それが逆に恐ろしく、リィナが横目で見る。


「……ゼルヴァ」


「…行け」


 全員が目を向ける。


「ですが、こいつは危険です……!」

 リディアが声を上げる。


「分かっている。……だからこそだ。」

 ゼルヴァが前へ出る。

 巨大な背中が、仲間達の前へ立つ。


「そうそう!君は僕と遊ぼうよォ!」

 ダリオがケラケラ笑い紫煙が漂う。


「それに、こいつは俺の因縁だ」

 ゼルヴァは視線を逸らさずに静かに告げる。


「だから、貴様らは先へ進め」


 リィナが黙ってゼルヴァを見る。


 黄金の瞳、揺るがない武人の目。


「……勝てるの?」


 ゼルヴァは鼻を鳴らす。


「フン、誰に言っている?」


 竜の魔力が噴き上がり、床が軋む。


「はは……ッ!!いいねェ!!やっぱり怒った顔が最高だァ!!」

 ダリオが嬉しそうに目を見開く。


 ゼルヴァが拳を握り、紅蓮の炎が走る。


「リィナ、貴様は止まるな。貴様の敵はこの先にいる筈だ。」


 一瞬の沈黙。


 リィナは静かに目を閉じる。


「……任せるわ」


「ああ」


 リィナ達が走り出し、全員が、奥へ消えていく。


「これでいい。フフ、久しぶりに暴れられそうだ」

 リィナ達を見送りゼルヴァが笑う。


「仲間を逃がす為に残るなんて……

 いやァ、美しいねェ。実に“戦士”らしいですよぉ」

 ダリオは焦る事もなく不気味に笑う。


「フン。貴様には理解出来んだろうな」

 ゼルヴァがゆっくり構える。


「それはそうだろぉ?」


 ダリオは両手を広げ恍惚とした笑みを浮かべる。


「悲鳴、絶望、断末魔。肉が裂ける音…

 命は壊れる瞬間が一番輝くんだよォ!!」



 ゼルヴァの瞳が、真紅に染まった。


「……貴様は”戦士”ですらない。

 誇りも、覚悟も、命への敬意もない。ただの”屑”だ」


 ダリオの笑みが、深く歪む。


「最高だなァ……」


 毒瓶を砕き紫煙が噴き上がる。


「じゃあ始めようか、()()()くん」


 ゼルヴァが翼を広げ古代竜の魔力が、咆哮のように空間を揺らす。


「貴様だけは、この場で叩き潰す!!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ