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黒のカサブランカ ――裏切られし女勇者、闇に堕ちて魔王となる――  作者: 小鳥遊 千夜
第二章 二人目のメインターゲット 大司祭、ビション=ヴァルテス編

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第75黒 黒き花を狩る者たち

 

 静まり返った大司祭の間。

 高い天井に響くのは、ただ一人の足音。


 ゆっくりと歩みを進める大司祭――ビション=ヴァルテス。


 その視線の先には――

 無機質に佇む一人の若い女性。

 聖灰教団の幹部にして魔弾の使い手――マリオン=ルミナ。


「……来ましたね」


 ビションは柔らかく微笑む。


「マリオン。少し、お時間をいただけますか?」


「問題ありません」

 感情のない声で淡々と答えるマリオン。


 ビションは満足げに頷く。


「では、本題に入りましょう」


 わずかに間を置き――


「”黒のカサブランカ”のお相手をあなたにお任せしたいのです。」


 その名が、静かに落ち

 マリオンの瞳が、僅かに動く。


「……任務の内容は?」


 ビションは指を組む。


「任務は目標の捕獲、もしくは()()


 空気が張り詰めるが、マリオンは変わらない。


「了解です」


 淡々とした返答。


 だが――


「ですが一つ、確認を」


「どうぞ」


「なぜ、私が選出されたのですか?」


 ビションは微笑みを崩さない。


「…簡単な理由です」


 一歩、歩み寄る。


「貴女が最も“適している”からです」


「……」


「かつて、彼女は勇者でした。

 剣術、能力、そして判断能力――」


「いずれも規格外」


 ビションの声は穏やかだが、その内容は冷徹。


「例え、闇に落ちた身であってもその力はおそらく健在…」


「つまり近接で挑むのは……分が悪い」


 わずかに目を細める。


「いえ、“愚策”と言ってもいいでしょう」


 マリオンは黙って聞いている。


「だからこそ、距離を取り一方的に制圧する、

 それが最適解…」


 一瞬の沈黙。


「そして――」


 ビションの視線が鋭くなる。


「それを可能とするのは」


「幹部の中で、貴女だけです」


 マリオンは僅かに目を伏せ――


「なるほど、合理的ですね」


 それだけを返す。


 ビションは満足げに頷く。


「それでは、期待していますよ」


 その時――


「うふふ……」


 軽い笑い声。

 空気に混じる、別の気配。


 壁際に寄りかかるようにして現れたのは――


 モナークの部下である、ミラ=ソルティス。


「あら、随分と面白そうな話をしてるじゃない?」


 ビションは一切驚かない。

「盗み聞きとは、感心しませんね」


 ミラは肩をすくめる。

「いいじゃない、減るものじゃないし」


 そして視線はマリオンへ。


「へぇ……あんたが行くの?」


 無表情のマリオン。


「任務ですから」


「つまんない返事ね」


 くすりと笑う。


「まぁ、いいわ。」

 ミラの瞳に、わずかな歪み。


「気に入らないのよね、あの女。だからその任務、協力してあげる」


 マリオンは淡々と返す。


「私情は任務の妨げになります」


 ピタリ、と空気が止まりミラの口元が引きつる。


「……言うじゃない」


 一歩、近づく。


「でも、モナーク様と手を組むことに同意したわよね?」

 ミラがビジョンの方を向いて尋ねる。


「ええ。…ちょうどいいでしょう」

 ビションは少し考えたのちに静かに答える。


 二人の視線が集まる。


「ミラ=ソルティス…同行を許可しましょう」


 ミラがマリオンに大して挑発したような笑みを浮かべる。


「ふふっ…決まりね。これで文句ないでしょ?」


「……それが任務であるならば、私は従うだけですから。」


 マリオンが挑発には乗らず、淡々とした口調で答える。


「つまんない反応…まぁいいわ。」


「……では、任務を開始してください」


 マリオンは一礼する。


「了解よ。」


 ミラは軽く笑う。


「うふふ……どう遊んであげようかしら?」


 その声には、明確な悪意が滲んでいた。


 二人が去り静寂が戻り、ビションはゆっくりと目を開く。


「……さて」


 小さく呟く。


「どのような結果になるか」


 その瞳は――


 期待と、計算に満ちていた。


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