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黒のカサブランカ ――裏切られし女勇者、闇に堕ちて魔王となる――  作者: 小鳥遊 千夜
第二章 二人目のメインターゲット 大司祭、ビション=ヴァルテス編

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第48黒 血管を断つ!――最初の標的 

 

 灰都グラン=ゼイルの中は、外から見た以上に歪んでいた。


 リィナたちは表立って動かず、数日に渡って情報を集める。

 宿は取らない。人目を避け、廃屋や路地裏を拠点にしながら、街の動きを観察する。


 朝に規則的に鐘が鳴る。

 労働の開始、終了、移動。

 すべてが管理されていた。



 そして夜に別の鐘が鳴る。


 それは――回収の合図だ。


 路地裏で倒れた者。処刑された者。病で死んだ者。

 理由は関係ない。

 すべてが、同じ荷車に積まれる。


「……徹底してるわね」


 リィナが低く言う。


 シルフィが屋根の上から降りてくる。

「ええ。区別がないんですよぉ」


「罪人も、病人も、

 ただの住民も全部、“素材”です」


 その言葉に、ゼルヴァの目がわずかに細まる。



 ヴェルミナが補足する。

「死体の回収ルートはいつも決まってる、運搬先も限定的……」


 カイゼルが顎に手を当てる。

「狙うのはその先にある”加工施設”だな。」


 シルフィが頷く。

「ですね。しかも一つじゃないですねぇ」


「いくつかの施設に分散されてます」



 見えてくる教団の支配構造。

 

 表に出てくるのは“兵”と“執行官”。


 その上に、“幹部”。


 そして――


「頂点がいる」


 ヴェルミナが静かに言う。



 シルフィが補足する。

「さっきのダリオみたいなのが、その一角ですねぇ

 現場裁量も大きいですし、単純に正面から潰すのは厄介ですよぉ」


 カイゼルが頷く。

「いきなり本丸に行くのは悪手だな」



 リィナも理解している。

「ええ。ここは“国”じゃない」


 視線を街へ向ける。


「“組織”よ。

 段階を踏まないと、辿り着けない」


 カイゼルが口を開く。

「で、どうする」



 リィナが口を開く。

「……、外から削る」


 短く。


 シルフィが楽しげに笑う。

「でしたら、ちょうどいい場所、ありますよぉ」


「教団の“兵士研究施設”」


 ゼルヴァの視線が鋭くなる。

「……あの死体の行き先か」


「はい」



 シルフィが頷く。

「回収された死体、あそこに集まってます。

 そこで兵士に“作り替えてる”みたいですねぇ」


 ヴェルミナが淡々と分析する。

「戦力生成拠点ってわけね……。」


 カイゼルが笑う。

「ククッ…潰せば嫌がるな」


 ゼルヴァの目に、わずかな闘志が宿る。

「……叩く価値はある」



 リィナは、少しだけ目を閉じる。


 街の姿、運ばれていく死体。


 そして因縁の相手にして首謀者――ビジョン=ヴァルテス。 


 ゆっくりと目を開く。


「……そこに行くわ」


 決断。


「敵の戦力を削り、この目で見る……。

 この国が、どこまで腐ってるのか」


 カイゼルが笑う。

「ハハハハッ…そう来なくてな。」


 ゼルヴァが一歩前に出る。

「フン。やっと暴れられるというものだ。!全て叩き潰してやる!」


 シルフィが首を傾げる。

「隠密は私がやりますよぉ」


 ヴェルミナが静かに言う。

「内部構造の解析は任せて」


 全員の役割が、自然と決まる。


 リィナは最後に一度だけ、街の奥を見る。


 その先にいる存在――


 まだ姿も見えない“頂点”。


「……待ってなさい、ビジョン=ヴァルテス!!」


 灰の都市の奥。

 その心臓部へ向かうために――


 彼らはまず、“血管”を断ちに行く。




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