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3/5

言い逃れ

俺は逃げるようにさっき見つけた宿へと向かった。


そして中に入った。


「はぁ。はぁ」

息が切れていた。


まあとにかく逃げられたってことでいいのかな。よし。危なかった。


俺は息が切れながら受付へと向かった。


「あの…泊まりたいのですが…」


「もしかしてどこから?」

驚いたようにそう言った。


「え?まあ。ギルドの調査で」


「客も1年ぶりなのでちょっとびっくりしました」


そういえば気味がって誰も来ないって言っていたな…。だからこんなにびっくりしているのか…。


「大変ですね」


「もう半ば諦めていました」

困った顔をしていた。


雪は降り続いている。外からは誰も来ない。諦めるのは当然だな…。

はぁ。乗った船だ。しっかり解決に導くか。


「でも…信じていいんですよね?」

不安そうな声でそう言う。


ここで気の利いたセリフを言うか…


「ええ。俺とこの黒炎龍が解決してみせますよ」

眼帯を触りながらそう言った。


「黒炎龍?」


「気にしないでください」

すべってしまった。


「ま…まあ案内します」

困惑しながらそう言われた。


上の階に連れられる。


部屋の前に立ち

「鍵はこれでお出かけのときは一声かけてください。では」


受付の人は下の階へと戻った。



さて…入りますかね。

鍵を開けガチャっとドアを開ける。


そして部屋に入った瞬間……

真っ先にベッドにダイブした。


「ふかふかだ」


やっぱりまず、宿に着いてやるべきことはこれだよな。


ずっとこうしていたいのは山々なんだがそうする訳にはいかない。この祟りを解決させなければいけない。

…って調査に来たはずなんだがいつの間にか解決することになってしまった。


「ったく。面倒くさ…でもしょうがねぇ。乗った船だ。みすみす降りる訳にもいかねぇ。しっかり解決するか」


まず整理するか。


雪が降り始めたのが1年前。そしてその前には黒い服を着た怪しい連中の目撃情報。そいつらは壺のような何かを探していた。そいつらが現れてから雪が降り始めた。おばちゃんやさっきの兵士が言うにはそいつらが精霊の怒りに触れたらしい。

その後、そいつらの行方はわからない。


「怪しいすぎるんだよな…。偶然にしては出来すぎている。そいつらが裏で絵を描いていると考えないとおかしい」


でも今持っている情報だけだとまだわからない。引き続き調査をしなければ。


はぁ。考えていると腹が減ってきた。

ガソリン補給をするか。


この宿に食堂あったっけ?よく見てなかったから覚えてねぇ。

まあ下に行けばわかるか。


ベッドから起き上がり、部屋を出て下の階に行くと声をかけられる。

「もうお出かけですか?」


「ちょっとお腹が空きましてね…」


「でしたらこの奥の部屋に食堂がありますのでよかったらそちらで」


「ありがとうございます」


奥の部屋に入るが食堂は誰も居なかった。俺が1年ぶりの客って言ってたししょうがない。



席に座り、メニューを確認しようとしたとき後ろから声がかけられる。


「そこの眼帯。話がある」


「毎度、毎度、初対面の人に眼帯って言われるのはなんなんだろうな」

そう言い振り向くと赤髪の少女が居た。

その子は腕を組みながらこちらを睨みつけていた。


何か睨まれるようなことしたか?


「では…少年。話がある」


「少年って。年上か?君は」


「当然。私は君より長く生きてる」


どう見たって俺と同年代、もしくは年下にしか見えないんだが…

まあこの世界にはエルフだとか長寿で見た目の若さがほとんど変わらないやつもいるし不思議ではないか。


「で。話ってのは?」


「私、見てた。君が突然、瞬間移動みたいなことして落ちてきた人をキャッチしたところを」


そうか…はたから見ると急に移動したみたいに見えるのか。

しかし…見られちゃっていたのか…困った。うーむ。どう誤魔化そうか…。


「あれは何?」


「ま…魔法だよ」


「魔法を使ったようには見えなかったけど」


く…ダメだ。騙せなかったか…。

いや待てよ。魔法じゃないという証拠はないはず。ならこのまま押し通す!


「いや。魔法だ」


「魔力減ってないじゃん」


「………」


やばいぞ。まずい。どうするか。


選択肢

A 黙秘

B 押し通す

C 白状する


よし!Bでゴリ押そう!!


「絶対に魔法だ」


「は?」


「確実に魔法だ」


「じゃあやって」


…終わった。


くそ!何かいい手は…。話を逸らす手でもいい。何か…


ん?さっき「魔力減ってないじゃん」って言わなかったか?なんでわかるんだ?

よし。それを言って話を逸らそう。


「一つ聞きたい。なんで君は魔力が減ってないって言えたんだ?」


「私は魔力の流れがわかる。だからわかった。で早くやってみせてよ」


話を逸らせなかった。


「くッ!!仕方がないやってやるか。見たきゃ見せてやるよ!!」

俺は指先に火を灯す。


「…全然違う」


く…これでも騙せない…。この少女…無敵か?どうしたらいいんだ?


「違うだと…じゃあどれだ?」


「白を切っても無駄だから」


「白を切る?なんのことだ?さっぱりわからん。そもそも俺が落ちてきた人をキャッチしたのは見間違いじゃないのか?失礼だけど視力は?」


「5.0」


なんだそれ。限界突破しているじゃないか!?


「目がいいんだな。だが雪が降っているだろ?視界が悪くて見間違えたとかはないのか?」


「降ってはいるけど視界が悪いほどではないでしょ」


く…手がない。どうすれば攻略できるんだ。


「お…お茶でも飲んで」


「じゃあお茶を飲みながら話を聞かせてもらおうか」


く…お茶で茶を濁そうとしたのに…。


「じゃあゆっくりお茶を飲んでから…」


「今聞かせて」


「あのな…正直言うとな…俺にもわからないんだよ」


「自分でやったのに?」


「そういうこともあるんじゃないか?」


「いやないでしょ」


…ううぅ。なんだこの子…何を言っても通じない。く…無敵か?



はぁ。もう白状するしかないか。


「はぁ。しょうがない」


「やっと言う気に?」


「ただし、条件がある。この話は誰にも言わないことだ」


「私、口堅いよ」


「そんなこと初対面の人だからわかんねぇよ。まあ信じるか」


まずどっから話すか…いきなり時を止められるとか言ってもな…


「まずな…この世界には魔法の他に別の力がある」


「知ってる。能力って呼ばれるものでしょ」


知っている。じゃあこの子も何か能力を持っているのか?


「知っているのか」


「まあ。特別な人に生まれる力でしょ」


「知っているってことは君も何か持っていたり…」


「さあ」


まあ簡単に話す奴なんて居ないか…。って俺だけ話す流れはちょっと卑怯じゃないか?



「まあいいや。知ってるなら話が早い。教えよう。俺の能力はまさに世界を支配する能力だということを」


時を止める。


ふっふっふ…静止した時の中で動けるのはこの俺だけだ。これでこいつは何もできまい。


「よくもまあ。この俺をコケにしてくれたなぁ。ははは…だがこれで終わりだ!!」


「逃げるんだよ!!」


俺は走って部屋に逃げた。


ドアの前に立ち能力を解除する。



「あ…逃げられた。ん?」


ふと床に落ちている鍵に目が行く。


「落としていたのか…」



俺はドアの前でポケットを探り、鍵を探す。


「あれ?ない…。鍵がない」

しくった。どこかで落としてしまったというのか?


でもどこで落とした?まずいな…これじゃ入れないな…。受付に言ってなんとかしてもらえないだろうか。


「何を探しているの?」


「ああ。鍵だよ」

ってなんか聞き覚えのある声だな…


振り返るとそこにはさっきまで話していた赤髪の少女が指で鍵をクルクルと回していた。


「いつの間に背後に…ってそれ俺の部屋の鍵じゃねぇか」


「返してほしい?」


「そりゃそうだろ」


「じゃあ、さっきの話の続きをしよう」


ぐぬぬ…。鍵を囮にされているから逃げられない。


「く…仕組んだな?」


「いや別に」


偶然だと言うのか?天は俺を見放したということか…。

ぐぬぬ…。


「話したら返してくれるんだろうな?」


「本当のことを話したらね」


「しょうがない。さっきの食堂で話すぞ」



階段を降り、また食堂へと戻る。

てかどんだけ階段を上り下りすんだよ。



「で…俺の能力の話だっけ?」


「そう」


「いいか?一回しか言わないからな」


「大丈夫。記憶力いいから」


はあ。言わなきゃいけないのか…。嫌だな。


「俺の能力はな。時間を操る能力だ」


「……やっぱり」


「え?わかってた?」


「まあ。時間を止めて移動したら瞬間移動したみたいに見えたってことでしょ」


「そうだが…でもういいだろ。鍵を返してくれよ」


「待って。折り入って頼みたいことがある」


「いや。能力のことを話したじゃねぇか」


「鍵を返さないよ」


「はい…すみません」


「まず身の上話を聞いてほしい」


「長くなるのか?」


「いいから聞いて」


そう言って真剣な顔になって話し始めるのだった。

見てくれてありがとうございます。

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