2人目
「彼こそ、報復の相手だろうかーー」
彼は取り憑かれていた。日頃からイライラしていた。怒りを宿していた。
火山のように爆発していた。
思い通りにいかなくて、遂には他人に手を上げた。自分が正しいと思い込んで。
しかし、その正しさは歪なものだった。自分が偉いと思い込んで。そんなことは無いというのに。
自分の責任を他人になすりつけて。責任から逃れようとしていた。できないというのに。
頼りにしていた者たちからの叱責を受けた。それでも彼は変わらなかった。
だから、追い出された。そして、頼りにする者はいなくなった。それが彼の末路となったのだ。
王のように振舞っていた。けれどもその王冠は虚構の物。たやすく崩壊するだけ。
土器がどんなに粋がったとしても、陶器師には及ばない。割られゆくだけの存在でしかないのだから。
噴火を招くとしても、爆発させるとしても、悪夢からは逃れることはできない。
因果は応報を加えるまで、囚われた者を離しはしないのだから。溜まり切ったその時に因果は相応しい報いを与えてくる。失うまで逃がすことは無い。
盲目な管理は盲目を巻き込む。そして、穴へと落ちていく。誘われるようにして。
穴の下へと落ちていく。浅慮者が落ちるのは浅い穴ではない。深い穴の奥底へ。
盲目の后人には相応しい。その穴の奥底は孤立しかないのだから。
見開くことができれば、穴から脱出することはできるだろう。けれども、閉じた状態を愛しているならば、困難に陥るのみ。
生きながら死んでいく。激動の時代の中で。病魔の牙に怯えながら。
死火山のようになれば、目は開くだろう。けれども、活火山のようになり続けるならば、脱出の糸は失われる。永遠に。因果による報復。それが手が汚れることない報復であるがために。
残酷な結末。それが彼に待ち受けているもの。病魔に翻弄されながら。疲れ果てるも残らない。砂を掴んでも零れ落ちるように。
雨は降ることは無い。癒しの雨は。彼の元には降ることは無い。癒しを彼は退けた故に。
冷厳なる雨。過労の雨。それが彼に降り注ぐ。免れることのできない雨が。
そうして、金貨は宙へ飛んでいく。生活に困窮することになる。どんなに作業量をこなしたとしても。
未来は彼に微笑むことは無い。厳しい顔を向けるだけ。
それが彼が手繰り寄せた因果の糸であるがゆえに。ただ粛々と受け入れることしかできない。
わずかな金貨だけで生活していくことしかできないのだから。最低限の金貨を握りしめて。
彼の夢はそのようにして閉ざされてしまったのである。作業量をただこなすだけの人形へと。
それが因果が手繰り寄せた結末なのかもしれないーー。




