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【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
家族を得た私、領地のために頑張ります

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家族を得た私、領地名物を作ろうと思います①


 気が付いたら、窓の外は雨が止み、オレンジ色の夕日が出ていた。

 部屋には旦那様がいて、執務室でもないのにお仕事をしている。


「起きたか」

「はい。……あれ? 何で旦那様のお部屋に?」


 いつ来たんだっけ。

 えっと……。


「あ! ワイン!! ワインを飲んでません」


 飲む前にうっかり寝ちゃったのか。

 まぁ、たまにはそんなこともあるかな。

 きっと旦那様からは眠気を誘う何かが出てるのだろう。旦那様のそばはよく眠れるしね。


「……片付けちゃったんですか?」

「あぁ、そうだな」

「じゃ、また出してください」


 ワイン! ワイン!! 高級ワインッ♪


 うきうきと待っているけれど、ワインは出てこない。

 不思議に思って、旦那様を見ると半目で私を見ている。


「……ん?」


 何だろう。あの何か言いたそうな目は……。


「ハッ! そういうことですね!!」


 横になっていたソファーから下りて、旦那様がワインを持ってきてくれた方へと向かうと、棚を開けて手を伸ばす。


「んぬっ、んぬぬぬぬぬぬ……」


 な、何ということだ。手が届かない!!


「旦那様」

「何だ?」


 いつの間にか、真後ろに立っていた旦那様を振り返る。


「抱っこ」

「……は?」

「抱っこしてください」


 そうしたら、ワインをゲットできるはずだ。


「断る」

「……じゃあ、踏み台になってください」

「何でだよ!」


 ふむ。旦那様は駄目なのか。

 ギーツ、お休みにするんじゃなかったな。


 ……仕方ない。貴族として、ちょっとどうかと思うけど、背に腹は代えられない。

 ミカナ先生、これは必要なことなんです。

 素敵なレディーになるために!


「ちょっと待った!」

「んぐぇっ……」

「今、何をしようとした?」


 襟首をつかまれ、ソファーまで連れ戻される。


「ちょっとワインを取ろうかと……」

「棚に飛び乗ったよな?」

「だ、だって、ピョンってして足をかければ取れますし……」

「足の乗るスペースなんかないだろ!?」


 そうだっけ?


「旦那様、確認しましょう」

「は?」


 旦那様の手を引っ張って、棚の前へ行く。


「見てください。ここにすき間があります」

「あるな」

「つまり、ここに足をねじ込んで、そこにつかまれば立てます!」

「…………どうやって、手を離すんだ?」


 そりゃ片手を……。

 ──っ!!??


「盲点でした」


 足場にする棚の段と、つかまる予定の棚の段の大きさは同じ。

 すなわち、私の体を支えるのは、ほぼ腕の力のみ!!

 くそぅ……。腕力が足りない……。


「惨敗です。旦那様、ワイン取ってください」


 自力で取るのは、鍛えてからにしよう。


「まず、ワインは取らない」

「えっ!?」

「あと何で自分で取ろうとした?」

「旦那様が俺ばっかり動かすなって目をしてました」

「違う! 寝る前のことを忘れたのか? っていう目だ!!」


 寝る前? 何かしたっけ……。


「忘れました」

「……だろうな」


 そう言うと、旦那様は私の前にしゃがんで視線を合わす。


「いいか、コレッティーナ」

「はい」

「コレッティーナは酒に弱い。それも尋常じゃないほどにだ」

「飲んでもないのにそんなこと……。まさか私、飲んだんですか?」


 飲んで記憶飛ばすとか、もったいない!!


「いや、飲んでない」


 言い切った旦那様は、ほんの少し視線をそらす。


「あー、何というかだな。匂いだけで酔っぱらった」

「……え? そんなことあるわけないじゃないですか」


 じっと旦那様を見れば、耳が赤い。


「私、酔っぱらって何かしでかしました?」

「──っ!!」


 あ、やらかしたか。

 えー、何だろ。記憶にないものは分からないしなぁ。


「よく分からないけど、ごめんなさい」

「いや、謝らないでいい」

「でも、さすがに匂いだけじゃ酔っ払わないと思います」


 普通に考えて、ありえない。


「だから、困ってるんだ……」


 旦那様が頭を抱えてしまった。

 この反応、本当か!


「じゃあ、私はお酒が飲めないんですか?」

「そうなる」

「…………楽しみにしてたのに」


 高級ワイン……。


「チョコ、チョコあるぞ」

「チョコだけですか?」

「アメと、他にもたくさん用意させる。ケーキとか、クッキーとか。何が食べたい?」


 ……あれ?

 何だろう。何となく、こんなやり取りをしたような?


「旦那様」

「何だ? 決めたか?」

「いえ、寝ちゃう前も同じようなこと言ってました?」

「……思い出したのか?」


 夕日みたいな真っ赤な顔の旦那様。


「旦那様、一人でワイン飲みました?」

「飲むわけないだろ!」

「えー、じゃあ何で赤いんですか?」


 じっと見れば、旦那様はもっと赤くなる。


「見るなっ」

「ふふっ……照れ屋さんですね」


 何に照れてるんだろ。

 真っ赤になるなんて、可愛い。心はヒロインちゃんだもんなぁ。

 ということは、私がヒーローポジションになるのかな? 妻だし。


 うん。ヒーローとして、旦那様の領地を盛り上げるために、もっと頑張らないとね。


「旦那様、決めました」

「何をだ……」

「領地で作ったお酒をたくさん試飲できるように、鍛えます。そして、商品にならない傷のついた果物たちで、ご当地名物のお酒を作ってみせます!」

「ちょっと待て、ご当地名物って何だ?」


 うん。きっと大丈夫。

 まずはお部屋のあちこちにお酒を置いて、毛穴からアルコールを摂取することから始めよう。

 そうすれば、徐々に慣れるはずだ。


「大船に乗ったつもりで任せてください!」

 

更新、遅くなりました。

日曜日までにもう1話更新できるよう頑張ります。

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