表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します  作者: うり北 うりこ@ざまされコミカライズ開始


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/8

「お前を愛することはない」と言われたのに、旦那様が世話を焼いてくる①


 な、何というお約束展開……。


 冷や汗が止まらず、視界がぐるぐるする中、自分の浅はかさに涙が出る。


 これは、あれだ。

 栄養失調で急にカロリー高いものを食べたから、体がビックリして倒れ、最終的に病人食コースとなるやつ……。

 漫画や小説だとラブイベントになるけど、そんなのあり得ないし、病人食は嫌!


 気合いだ。気合いでトイレまで行って、そこで回復を待つ。

 何か言われたら、便秘で押し通す。


「……顔色、悪くないか?」

「お、お手洗いの我慢のし過ぎです……」


 お願い、話しかけないで!

 へらリと笑いつつ立ち上がり、扉へと向かう。


「コレッティーナ? 心配だから俺も一緒に──」

「便秘なんです! 付いてこないでください!!」

「……え? あ、すまない」


 よし。これで布石は打った。

 あとはトイレに立てこもれば…………。って、あっ……これは本当に駄目なやつ…………。



  ***



 視界が暗転し、目が覚めたらベッドの中にいた。


 あぁ、ふかふかで幸せ……。

 お腹も痛いし、このまま布団に(くる)まっていよう。


 ……ん? ベッド?

 そっか。結局、倒れちゃったんだ。

 デザーに迷惑かけちゃったよね。


 あーぁ、病人食決定かなぁ……。


「のど乾いた……」


 ベルを鳴らしたら、今度は誰か来てくれるだろうか。

 のそりと体を起こせば、シンプルながらも高級感あふれる調度品が飾られている、知らない部屋だった。


「…………どこ?」

「コレッティーナ! 具合はどうだ?」

「あ、もう大丈夫です」


 声がかすれれば、旦那様は生温いお湯をくれた。


「……ありがとうございます」


 何故、お湯?

 というか、デザーではなく旦那様がいるの?


「顔色が悪いな。もう少し寝ているといい」

「いえ。本当にもう大丈夫ですから。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

「──っ。迷惑とかいう問題じゃないだろ!」


 ……? じゃあ、どういう問題よ。


「コレッティーナ、落ち着いて聞くように。医師の診断によると、お前は栄養失調だそうだ」

「でしょうね。というか、お前って言わないでください」

「あ、悪い……」


 バツが悪そうに、旦那様は視線そらす。


「一食出なかったから、栄養失調になるとは思えない」

「そうですね。積み重ねでなるものですから」

「…………もしかして、ラビソン伯爵家はそんなにも困窮(こんきゅう)しているのか?」

「…………は?」


 いやいやいや、何でそうなる。


「たしかに生家はナビレート家に比べて貧しいですが、食べるのに困るほどではありません。旦那様も義母や義妹を社交界で見たことはありませんか?」

「俺はそういうところには、出ないと決めてるから」


 あー、無駄にモテるからかな。

 理由を聞くと面倒そうだし、スルーしようっと。


「そうですか。とにかく、ラビソン家のことはご心配なく。私が栄養失調なのは、食事をあまりもらえなかったからですよ」

「…………え?」

「理由は様々でしたけどね。直接的な暴力がなかっただけマシかもしれませんよねぇ」


 義母や義姉妹に虐げられるのって、テンプレだし。


「この話をいきなり信じろというのは無理だと思うので、一緒に社交界に行きませんか? 義母と義妹は一目で意地の悪い顔だと分かるレベルですので、説得力ありますよ!」

「いや、信じる」

「……はい?」

「コレッティーナの話、信じるよ」


 真剣な顔で旦那様は言ってくる。


「本気……ですか?」

「当たり前だ」


 嘘……でしょ……。

 力強く頷く旦那様。その姿に、何だか色々と心配になってきた。


「あの、詐欺(さぎ)に合ったことありません?」

「あるわけないだろ」


 ……ふむ。

 詐欺にあったことにすら気付いていかないか、運が良かった、あるいはデザーたち使用人が防いだということか。


「いいですか、旦那様。まずは相手を疑わなくてはなりません。何でもかんでも、信じたら駄目ですよ」

「妻なんだから、信じて当然だろ」


 曇りなき(まなこ)に、腹痛だけでなく頭痛がする。


「妻とは言っても、一昨日まで私たちは他人でした。愛もなければ、信頼もありません」

「だから何だ?」

「まずは、ご自身で私の言ったことが本当か調べてください」


 明らかに不満だという顔をされるが、旦那様がこのままでは困る。

 旦那様が詐欺にあったら、ナビレート家が傾いて、美味しい食事が食べられなくなるかもしれない。


「そして、私の言ったことが本当だったら協力してほしいんです」

「分かった」

「だから、分かったじゃなくて、何を協力してほしいのか確認してください! って、いててててて……」


 くそぅ。お腹が痛い……。

 でも、痛みのピーク()を越えれば、少しはラクになるはず。


「大丈夫か? ほら、横になって。話は元気になってから聞くから」


 お腹を押さえたまま横になった私に、旦那様は布団をかけてくれる。


「旦那様……」

「ん?」

「栄養失調なら、栄養たっぷりのものを食べるべきだと思うんです。だから、ぷりぷりのウィンナーとか、分厚いお肉とかを夕飯にお願いします」

「却下だ。胃腸が弱ってるのに、そんなもの食べさせるわけないだろ」

「そんなぁ……」


 何で一番肝心なこの話は信じてくれないのよ。

 旦那様の馬鹿ー!!



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ