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【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
家族を得た私、領地のために頑張ります

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家族を得た私、旦那様と一緒にいます②


 一度、旦那様から離れて身支度を整えに部屋へと戻る。

 ちょうど支度が終わった頃、旦那様が来てくれた。


「では、失礼いたします」

「アンネも一緒にキッチン見ないんですか?」

「はい。後ほど見せていただきますね。せっかくですので、まずは旦那様とお二人がいいと思いますよ」


 私と旦那様の朝食の用意を終えると、そそくさとアンネが部屋を出ていった。


「どうして、今日はお部屋で食事なんですかね?」

「……何でだろうな。冷めないうちに食べよう」


 フォークでシャキシャキのレタスを刺す。


「んー! 新鮮です!!」


 かかっているドレッシングもサッパリした味で美味しい。


「そういえば部屋に帰った時、アンネが声にならない悲鳴をあげてました」

「あぁ」

「聞いても「大丈夫です」しか言わなかったんですけど、何だと思いますか?」

「……さぁな。それより、ウィンナー好きだろ? ほら、これもいるか?」


 ぷりぷりのウィンナー様が増えて、お皿に三本並ぶ。


「神々しい……」


 うっとりとウィンナー様を眺めつつ、ふかふかパンに切れ込みを入れる。


「旦那様、ウィンナー様の進化をお見せします」

「うん?」

「まずはふかふかパンの間にレタスを入れ、更にレタスのベッドにウィンナー様をお迎えします。最後にケチャップで美味しさを増し増しにして……完成です!!」


 キャベツをはさむのも美味しいけど、レタスも良い!


「食べてみてください!」


 旦那様へと手渡そうとすれば、旦那様がウィンナーパンを凝視した。


「……ウィンナーだぞ?」

「はい。進化されたウィンナー様です」

「自分で食べなくていいのか?」


 戸惑う旦那様のお皿にウィンナーパンを置く。


「やみつきになる味なので、旦那様も食べてください」


 そう言いつつ、自分の分のウィンナーパンを作り、かぶりつく。


「んふー! 最高です!!」


 食感も楽しければ、パンとレタスとウィンナー様のハーモニーも最上級である。


「──っ!! 美味しいな」

「はい。チーズをかけても、すっごく美味しいですよ」

「……それは、美味しそうだな」


 ゴクリと旦那様の(のど)が鳴る。


「今度、料理人にリクエストしておきます。一緒に食べましょう」

「あぁ。楽しみだな」

「はい!」


 小さな約束。

 それが、嬉しい。


 昨日まで美味しいのに、美味しくなかった。

 だけど、今日は特別に美味しい!

 んふふ、お昼ごはんは何かなー!!



  ***



「「ごちそうさまでした」」


 食事を終えると、旦那様の手を取って、衝立(ついたて)の前に移動する。

 キッチンは私の部屋の一角にあって、中が見えないようにと衝立(ついたて)を置いてくれたのだ。


「楽しみですね!」

「そうだな」


 笑った旦那様の顔を見て、おや? と思う。

 旦那様の目のクマがすさまじい。顔色は青白いのに、耳が赤い。


「旦那様、寝ましょう!」

「は?」

「きっと熱があります」


 一緒にいられることが嬉しくて、気付けなかった。

 妻、失格だ。


「大丈夫だ。キッチン、見るんだろ?」

「キッチンは逃げません!」

「そうだけど、ずっと楽しみにしてたんだろ?」


 濃紺の瞳が優しく細まる。


「楽しみにしてましたけど、もう大丈夫です」

「どういうことだ?」

「旦那様が笑ったからです」


 大切だって、旦那様の目が言ってる。

 ホットミルクを飲んだあとみたいに、ぽかぽかする。


「何より、旦那様の体調が一番ですよ」

「……なぁ、コレッティーナ。そこのキッチンで、コレッティーナにお茶を淹れてほしいんだ。お願いしてもいいか?」

「…………はぃ」


 ほら、旦那様はまた私のことを優先してくれる。


「じゃあ、旦那様は中で座っててくださいね」


 大きくて、繊細そうな節のある手を握り直して、中に入る。


「──っ!」

「うん。いいな」


 決して広くはない。

 けれど、私の希望を叶えてくれた木製のキッチン。

 真ん中にあるテーブルまで進んでいく。


「木の匂いがします……」

「だな」


 葉っぱ色のクッションが敷かれている木製の椅子を引き、旦那様に座ってもらう。


「ここで待っててください。準備してきます」


 急いでお湯を火にかけ、根っこのお茶を取りに行く。


 旦那様と新しいキッチンでお茶ができて嬉しい。

 私のことを考えてくれてることも嬉しい。

 けど、旦那様の体調が悪いと、胸がモヤモヤしてしかたない。


「お待たせしました」

「ありがとう」


 二人でお茶を飲んでいる時間は、静かだった。

 目が合えば、微笑んでくれて、モヤモヤが濃くなる。


「今日はあまり話さないんだな」

「旦那様が元気になったら、たくさん話します」

「……心配かけて、ごめんな。本当に体調は問題ないんだ。少し寝不足なだけで」


 旦那様は眉を下げ、困ったように笑う。

 クマ、すごいな……。

 こんな状態で、大丈夫なわけない。

 旦那様に、旦那様を大切にしてほしい……。


「飲み終わったら、お昼寝してもらいます」

「悪い。まだやることがあるんだ」

「駄目です。旦那様に必要なのは休息です。寝るまで見張ってますからね」


 うーん。トントンして、子守歌でも歌ったら、すぐに寝てくれるかな?


 旦那様が大切にしてくれないなら、私が旦那様を大切にしないと!

 旦那様の健康は、私が守る!

 きっとそれも、妻の、家族の役目だ。

 

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