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【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
家族を得た私、領地のために頑張ります

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守るために〜カリウスside〜


 俺の言葉に、ギーツが顔を引きつらせた。


「む、無理です!」

「そうですよ。誘拐犯が護衛だなんて!!」


 アンネが悲鳴のような声をあげる。


「アンネ、一度ギーツのことを誘拐犯という事実をなくして考えてほしい。コレッティーナが葉を食べるのを阻止したんだぞ」

「──っ。で、ですが!」

「もちろんギーツ以外にも護衛はつける。ただコレッティーナの場合は、周りが気をつけるだけでは足りない。いかにコレッティーナの行動を予測し、未然に防げるかが大切だ」


 ギーツはたった半日でコレッティーナの予想外な行動を体験した。

 そして見事、(おやつ)を摘むという行動を阻止した。


「これ以上の人材、なかなか出会えない」


 言い切った瞬間、アンネは口ごもり、ギーツは首を激しく横に振る。


「無理です! 少し目を離したら、何でも口に入れるだなんて怖くて護衛できません!」

「なら、妹の件もなしだな」

「──っ!!」


 悪いが、こっちも必死なんだよ。


「もちろん、ギーツについてはきちんと調べさせてもらう。ギーツの妹も我が家で働けば、そうそう悪事も働けない。そうだろ?」


 俺の言葉に、アンネは渋々頷いた。


 ギーツの話が本当なら、妹を大事にしてるようだから、いざとなれば、人質にすることもできる。

 なんて思っていれば、コレッティーナが勢いよく左手をあげた。


「どうした?」

「旦那様、ギーツのお父さんの臓器、売りましょう! 諸悪の根源に、少しでも責任を取ってもらわないとです」


 コレッティーナの目が鋭い。

 右手に持ってるフォークが凶器に見える。


「ぞうきって何だ?」

「体の中にあるものです」

「……売れないぞ?」


 誰も、そんなもの欲しがらない。


「え? 売れないなら、ギーツのお父さんはただの粗大ゴミですね。……ん? 臓器、手術する時にいらないんですか?」

「しゅじゅつ?」

「手術もない……ということは、外科的治療がない? ギーツ! 私より旦那様の護衛をしてください!! 旦那様が刺されたら大変です!!」

「はぁ?」


 何を言ってるんだ?


「旦那様、すごーく大事なこと言います。モテる男の人は、逆恨みされたり、手に入らないなら殺してしまおうって狙われるんです!」

「いや、狙われないからな」

「私、知ってるんです。小説とかでよくある展開です。旦那様、顔だけはヒーローなので危険です!!」


 ……困った。

 コレッティーナが何を言っているのか、分からない。

 分かったのは、心配してくれているってことだけ。


「俺にギーツの護衛は必要ない」

「どうしてですか!?」

「俺専属の護衛は既にいる」

「……そうですか。じゃ、ギーツは私の護衛ですね」


 納得したかのように頷くと、コレッティーナはデザートのゼリーに手を伸ばす。


「ふぉぉぉぉ。ナイスぷるんぷるん……」


 スプーンでつついてウットリすると、ほんの少しずつ食べ始める。


「おかわりは、一個までな」

「はい!」


 一口が大きくなり、にこにこと食べている。

 可愛い……。


「俺の分も少し──」

「旦那様、ギーツの件が先かと」

「お、おう。そうだな」


 デザーの言葉に、ギーツへと視線を戻す。


「俺が求めてるのは、すべて(・・・)のことからコレッティーナを守る護衛だ」


 そう。コレッティーナの奇行(きこう)から、コレッティーナを守れるような。


「どうする?」


 ギーツに選択肢はない。

 だが、自分で選ばせることに意味がある。


「…………引き受けさせてもらいます」


 顔を歪め、ギーツは言った。


「そうか。では、第二王子殿下には此度(こたび)の誘拐の件、すべてリーヌ・ドーザー子爵令嬢の責任だと伝えておく」

「ありがとうございます」


 コレッティーナの護衛は大変だろうが、これで少しは安心だな。


「旦那様、ドーザー家は潰しまふか?」


 ゼリーを食べながら、天気の話をするような軽さでコレッティーナが話す。


「今回の件だけだと、取り潰しまではならないだろうな。いくら娘が可愛くても、子爵も切り捨てるだろ」

「そうですか。なら、潰せるような証拠を用意しますか?」


 興味など微塵(みじん)もないのが伝わってくる。

 だが、コレッティーナは本気だ。「陥れたい相手の筆跡も、直筆の書類を何枚か用意してもらえれば書けますので」と言っていた。俺が頷けば実行する気だ。


「コレッティーナのすることは、それじゃない」

「何ですか?」

「ギーツの妹を迎えることだ。きっと不安に思っているだろうから、コレッティーナが面倒を見てやってくれ」

「分かりました! 自慢のお姉ちゃんになれるよう、頑張ります!!」


 ん? お姉ちゃん?

 まぁ、問題があればギーツがどうにかするだろ。


「そうか。頑張れよ」


 コレッティーナの頭をなでる。


「任せてください!」


 気合いたっぷりな姿は、元気で可愛い。

 本当に無事で良かった……。


 視界の端で、ギーツが頭を抱えているのは、見なかったことにした。


「俺はギーツとまだ話があるから、コレッティーナはデンガのところに行っておいで。木を持ってくる場所、そろそろ決めないとだろ?」

「そうします! デンガおじいちゃんに、ゼリーを持っていってもいいですか?」


 その言葉に頷き、アンネに視線を向ければ、既に準備に取り掛かっている。


「では、行ってきます。あ、旦那様! あと二、三日でキッチンが出来上がるそうです。できたら見に行きましょう!」

「分かった。楽しみだな」


 ゼリーの入ったバスケットを持って、コレッティーナは鼻歌交じりに食堂を出ていった。

 これで、今後の話ができる。


「なぁ、ギーツ。コレッティーナには、ドーザー子爵令嬢が切り捨てられるだけだと言ったが、俺としてはドーザー子爵家を潰したい。協力してくれるよな?」

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