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【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
家族を得た私、領地のために頑張ります

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家族を得た私、帰ってきました①


 屋敷に帰れば、すぐさまお医者さんが呼ばれ、私の診察をしてくれた。


「だから、大丈夫って言ったじゃないですか。よし、食事です」


 ご馳走を食べるために、食堂へ向かおうとすれば、後ろからアンネに肩をつかまれる。


「お風呂とお着替えが先です」

「えっ! でも、お腹が空いてます」

「お風呂とお着替えが先です!」


 力強く言い、アンネは男性陣を追い出した。


 たっぷりお湯の入った猫足のバスタブに浸れば、アンネが髪をキレイにしてくれる。


「コレッティーナ様、どうしてキノコを食べてしまったんですか……」

「キノコがあったからですね」

「お屋敷の外で、現地調達しないでください」


 ズッと鼻をすする音がして振り向こうとすれば、頭を固定されてしまう。


「空腹は敵です」

「ですが、危険すぎます。今度からおやつを持たせますから、そっちを食べてください」

「……おやつから食べます」


 お腹が空くくらいなら、キノコを食べる。

 まぁ、キノコがあるなら、他の植物もあるだろうし、しばらくキノコチャレンジはしないけど。


「生家にいた頃より、勘が鈍りました。時々、森に行かないとですね」

「いけません」


 そう言われても、食べるのは趣味だしなぁ。


「……アンネも一緒に行きますか?」

「お庭で我慢してください!」


 うむ。これは絶対に譲ってもらえないやつだ。


「心配しなくても大丈夫ですよ」

「どうしてそれをコレッティーナ様が言うんですかぁ!!」


 ここにアンネと私しかいないからかな。

 というのは、ちょうど顔を洗われたので言えなかった。



 ***



 いよいよ待ちに待った食事タイム!

 私の前には、一口大に切られたお肉様、ふかふかの白いパン、シャキシャキのサラダ、優しいお味のスープなどなど、たくさんのご馳走が並んでいる。


「いっただっきまーす」


 マナーを気にすることなくフォークでお肉様を刺す。


 あーんっ!!

 はふっはふっ、もぐもぐ……。

 ごっくん。


「肉汁ジュワーで最高です! ギーツも冷めないうちに食べた方がいいですよ」


 私と旦那様の向かい側に座っているギーツに話しかける。


「は、はい……」


 ギーツは、ぎくしゃくとフォークとナイフを動かしている。

 もしかして……。


「ギーツも食事マナーが苦手ですか? お願いしたら、旦那様が切ってくれますよ」

「自分でできる! ます……」


 うん。言葉が変だ。

 そう言えば、私がナビレート伯爵家の妻だって言っても、ずっとお嬢ちゃんって呼んできてたもんな。

 全体的にマナーが不得意とみた。


「ギーツ。何故、コレッティーナを誘拐した?」

「そ、それはですね……」

「はいはい! ギーツのお父さんが借金作って、妹さんが売っぱらわれそうになったからです!」


 ギーツが言葉に詰まったので、かわりに答える。

 すると、旦那様が深い溜息をついた。


「コレッティーナ、まずはギーツから話が聞きたいんだ。静かにできるか?」


 そう言いつつ、旦那様のお皿からお肉様をわけてくれる。


分かりました(わふぁりまひた)


 もらった賄賂(わいろ)を食べながら、頷く。


「ギーツ、自分の口で説明して、どうしたいのかを言え」


 わーぉ。旦那様が高圧的だ。

 こう言うのを俺様って言うんだっけ?

 なんて、思っている間に、ギーツは話し始めた。


「俺……いえ、私はドーザー子爵家でリーヌお嬢様の護衛をしています。昨日は、お嬢様をお迎えに行ったところ、夫人を遠いところに一人で置いてくるようにと──」


 ポツポツと、うつむきながら説明するギーツを眺めつつ、サラダを食べる。


 あー、お肉様のあとのサラダ、最高……。

 お肉様とサラダの無限ループできるじゃん。


 もぐもぐ。むしゃむしゃ──。


「──というわけで、夫人を誘拐しました。申し訳ありませんでした」

「事情は分かった。だが、夫として、コレッティーナを大切に思う者として、許すことはできない」


 あれ? 

 急に不穏?


 お肉様とサラダを食べ終え、ふかふかパンを口に放り込む。


「もちろんです。どんな罰も受けます。だから、どうか妹だけは──」

「何で許ひてあげないんでふか?」


 お水くれたし、送り届けてくれたし、私としては恨みは……あるな。

 ナビレート伯爵家での夕食と朝食を食べ損ねた。

 今、ご馳走を食べてるけど、恨んでるか否かと聞かれれば、バッチリ根に持ってはいる。


「コレッティーナを誘拐したんだ。許せるわけがない」

「でも、ギーツはいい人ですよ。葉っぱを分け合った仲です」

「キノコだけじゃなくて、葉も食べてたのか……」


 旦那様が頭を抱えてしまう。


「ギーツ、誘拐したあとのコレッティーナについて、詳細に話してくれ」

「は、はい!」


 馬車から降りてご飯を現地調達したところから、帰ってきたところまで、ギーツは私の行動について話した。


「…………妻が世話になった」

「違います。お世話をしたのは、私です。ギーツに葉っぱ(食料)をあげました」


 旦那様が間違えたので、訂正をする。

 なのに、ぺしりと軽く頭を叩かれた。


「夫人は、とにかく何でも口に入れるんです」

「何でもじゃありません!」

「夫人からしたら、そうかもしれませんが、見ていて気が気じゃなくて……。最後は無理矢理、馬車に乗せてナビレート伯爵家に向かいました」


 そうだ! その恨みもあった!


「旦那様! ギーツのせいで、馬車で食べる用の葉っぱ(おやつ)を取り損ねました。有罪です!」

「何かを口に入れられる度に、生きた心地がしなかったんだ!」


 ギャンッと吠えるようにギーツが言えば、旦那様の纏う空気が変わる。

 デザーをそばに呼ぶと、内緒話を始め、頷きあった。


「ギーツ、お前の妹は助けてもいい」

「ほ、本当ですか!! ありがとうございま──」

「ただし、条件がある。条件を呑むなら、ギーツの罪も保留とし、場合によっては不問とする」

「その条件とは……」


 ゴクリとギーツの喉仏が大きく動く。


「コレッティーナの専属護衛になることだ」

 

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