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【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
家族を得た私、領地のために頑張ります

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家族を得た私、誘拐されました④


 朝だ!

 日の出とともに目が覚めれば、男の人は起きていた。


「おはようございます。早起きですね」

「寝れるわけないだろ……」


 ほほぅ。繊細な人だ。


「とりあえず、朝ごはんにします」


 ポケットから、葉っぱを取り出す。


「……送る」

「そうですか。では、これがあなたの分です」


 葉っぱや実の一部を渡す。

 葉っぱは、しおしおになったけど、フレッシュさが足りないだけ。胃に入れば、一緒だ。


「送るから、屋敷で飯にしてくれないか?」

「それはそれ、これはこれです」


 あーん。

 もぐもぐ……。


 やっぱり、取りたての方が美味しいな。

 ちょっと、むしるか……。


「あ、昨日の話ですけど」


 ──ぶちっ。ぶちっ。


「あなはに取れふ選択肢を考えたんでふ」


 もぐもぐ。


「そうか。悪いが、現地調達はやめてくれないか? 話に集中できない」


 ごくん。


「それは、あなたの都合です。私には、私の都合があります」


 今度は花に狙いを定めて摘む。


「選択肢としては、①何事もなかったかのように、王城付近で解散。②私で身代金を要求。③一緒にナビレート伯爵家へ向かい、正直に話す。④あなたが誘拐されていた私を助けたことにする。でしょうか。他に案はありますか?」

「ありますかって、お嬢ちゃんを助けたことにはできないだろ……」


 なるほど。たしかに、バレた時のリスクが高いか。


「そうなると、①から③ですね。①も、何だかんだバレて捕まる可能性がありますし、②はあなただけではなく、妹さんも処刑されるかもしれません。オススメは③の正直に話すでしょうか」


 ん?

 この花、ちょっと辛いな。毒か……。


 ペッと花を吐き出しつつ、男の人を見れば、顔が引きつっている。


「この花は、ちょっぴり毒がありました。お腹を壊す程度だと思いますけど、やめておいた方がいいですよ」

「……今すぐ、伯爵家に向けて出発しよう。このままじゃ、お嬢ちゃんの調子が悪くなる」

「……? 元気ですよ」


 花を諦め、葉っぱに手を伸ばせば、その腕をつかまれる。


「さっさと行くぞ」

「待ってください。道中の葉っぱ(おやつ)を……」


 問答無用で馬車に詰め込まれ、出発される。

 うぅぅ……。これじゃ、誘拐じゃないか!


 ふてくされて、座面に転がった。



 ***



「おい、お嬢ちゃん。もうすぐ着くぞ」

「へ? もうですか?」


 のそりと座面から体を起こす。

 ふぁぁぁ……。よく寝た。


「私も御者台、座りたいです」

「え!? まぁ、いいけど……」


 男の人は、一度馬車を停めてくれる。

 御者台が高くて上れずに入れば、手を差し伸べてくれた。


「ありがとうございます」

「いや。それにしても、御者台に座りたいなんて、変わってるな」

「そうですか? 馬車の中って、暇です……よ?」


「コレッティーナ!!」


 男の人の手をつかみ、御者台に上がろうとすれば、後ろから声がした。


「あ、旦那様。…………ぐぇっ」


 必死な形相で走ってきた旦那様に抱きしめられる。


「だ、旦那様、中身が出ます……」

「怪我は? 痛いところは? 腹減ってるか?」


 バッと体を離され、濃紺の瞳が私を覗き込む。

 ゆらゆらと揺れる瞳に、心配かけたのだと理解した。


「お腹空きました。旦那様とごはんが食べたいです」

「そうか……」


 どこかホッとしたように旦那様が笑う。


「みんな、ご馳走を用意して待ってる。帰ろう」

「はい!」


 頷けば、旦那様に抱っこされる。


「自分で歩けます」

「またフラフラされたら、堪らないからな。で、そっちの男は?」

「誘拐犯です」


 あれ? 名前、何だっけ?


「ドリルのとこの使用人です。名前は何ですか?」


 男の人に向かって聞けば、青ざめている。

 ん? 正直に話す予定だったよね?


「ギ、ギーツと申します。この度は、大切な奥様を誘拐し、大変申し訳ありませんでした」


 御者台から降りてきたギーツは、深く頭を下げた。


「そうか。誘拐して、送ってきたのか?」

「はい……。大変申し訳ございません」


 あ、旦那様、般若(はんにゃ)になってる。

 顔が怖い。


「ギーツは、毒キノコを食べた時にお水くれました。悪い人じゃ、ないですよ」

「毒キノコを食べたのか!?」

「はい! すぐに吐き出して、嘔吐しといたので、事なきを得ました。お水をくれたおかげです」


 般若顔が一転、旦那様の顔から血の気が引いていく。


「どうしましたか?」

「医者に見せる。急いで帰るぞ。ギーツと言ったな。ついてこい」


 そばにいた馬に私を乗せると、その後ろに旦那様自身も乗る。


「そう言えば、旦那様お一人ですか? 護衛をつけないと危ないですよ」

「……護衛を()いたやつが言うな。帰ったら、食事の前に医者に診てもらうからな」

「えっ!?」


 ギーツをフォローするために、言うんじゃなかった!

 大丈夫なのに!!


 

誘拐犯の名前がやっと出てきました。

終始、誘拐犯を気の毒に思ったのは、私だけですかね?

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― 新着の感想 ―
いいえ。私も誘拐犯が可哀想だなと思ってました。一番の被害者なので、優しくしてあげてください。
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