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【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
家族を得た私、領地のために頑張ります

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2、家族を得た私、誘拐されました②

嘔吐の表現があります。

苦手な方は、飛ばしてください。


「じゃ、まずは食料調達ですね」

「は?」

「任せてください。得意分野です」


 歩き出した私のあとを、男の人が急いだように追ってくる。


「逃げませんよ?」

「そうじゃなくて、ご令嬢の一人歩きは危険だろ」


 ……? それ、誘拐してきた本人が言うこと?

 まぁ、いいか。

 お腹も空いたし、食べてから考えようっと。


「あーん」


 もぐもぐ……。

 うん、辛くない。これは、毒なし。

 で、こっちは……。


「ちょっと待ったぁ!」

「はい?」

「今、葉を食べたよな!? 駄目だろ、そんなことしたら。ほら、ペッしなさい!!」


 なんか、慌ててる……。

 というか、こんなこと前にもあったような?


「毒見してるだけなので、お気遣いなく」


 次はこっちの花でも食べてみるかな。

 そう思って、口を開けた瞬間、腕をつかまれる。


「いけません。ペッしなさい!」

「…………嫌です」


 ペットに向かって言うみたいな話し方に、男の人を睨む。


「ご令嬢は、そんなことしない!!」

「します! 私がそうです!! 食料がないんだから、仕方ないじゃないですか。それに、慣れてるので平気です」

「慣れてる!? 大問題だろ!?」


 大問題?

 この人、何言ってるんだ?


「ただの趣味だから、問題ありません」


 うるさいなぁ。

 って、あれ?


「キノコだ!!」


 男の人の脇を通り過ぎ、キノコまで一直線に向かう。

 生家も、ナビレート家も、キノコはなかった。

 すごく、食べてみたい。


 けど、毒があったら、キノコはかなりヤバいよね。

 ……ほんの少しかじるだけなら、いいか。


 あむっ。


「────っっ!!??」


 かっっっらいっっっ!!!!


 ペッとすぐさま吐き出す。


「水ください」


 ぐちゅぐちゅぐちゅ……ペッ。

 ガララララララ……ペッ。


「お、おい、どうした? 大丈夫か?」


 男の人が私の周りをうろうろしている。


「毒です。吐くので、下がっててください」


 口の中に指を突っ込む。


「う゛っ……」


 ウォロロロロロロ……。


 水を飲み、もう一度吐く。

 最後にうがいをして……っと。


「いやー、焦りました。これ、毒キノコだから食べない方がいいですよ」


 うん。キノコはやっぱり危険だし、もうやめよう。

 って、あ……。


「すみません。水なくなっちゃいました」

「え? あ、うん……」

「先に飲み水を探しましょう」


 そう言って歩き出せば、がしりと肩をつかまれる。


「待て。今、毒食ったのか?」

「はい」

「水より医者だろ!?」


 え? 何で?


「誘拐されてるのに、お医者さんは無理ですよ」

「そうだけど、何でお嬢さんが言うんだよ!!」

「事実だからです」


 本当に変な誘拐犯だ。

 いったい、何がしたいんだか……。


「ほら、水探しに行きますよ」

「おう……」


 遠い目をして、男の人がふらふらと歩き出す。


「調子悪いなら、待っててもいいですよ」


 足を止めたついでに、葉っぱをむしって食べる。

 うん。フレッシュだ。


「頼むから、もう何も食べないでくれ……」

「…………何も食べないでくれ?」


 疲れ果てた顔をしている男を睨む。


「私に死ねと?」

「ち、違う! そうじゃない!!」


 手のひらをブンブン振って否定している。


「食べないと、人は死にます。知らないんですか?」

「だから、そういう意味じゃない! 植物を食べないでくれ。明朝には、送り届けるから!!」


 なるほど。たしかに、それなら死なない。

 でもなぁ……。


「嫌です。お腹空いてます」


 空腹は思考を鈍らせ、感情的にさせる。

 何より、嫌なことを思い出させる。


「なら、俺に毒見をさせてほしい」

「してもいいですけど、遅効性の毒だと無駄死にですよ?」

「それは、同じだろう? えっと……名前は?」

「コレッティーナ・ナビレートです」


 そう答えた瞬間、誘拐犯の顔から血の気が引いた。


「ナビレート? 伯爵家の?」

「はい。もしかして、誘拐の相手、間違えたんですか?」


 とんだうっかり者だ。

 犯罪、向いてないと思う。

 転職したらいいのに。


「いや、俺は指示に従っただけだから分からない。だが、間違ってはないと思う」


 指示に従った……。

 なるほど。組織的な犯罪か。

 この人は、下請けになるのかな?


「それ……」


 ん? 名前なんだろう。

 名乗っては、なかったよね?


「ドリル髪の命令ですか?」

「ドリル髪?」

「はい。こういうのです」


 木の棒を拾い、地面に描く。


「し、知らない」

「知らないわけないです。私にこの馬車に乗るよう言ったのは、ドリルです。ドリルの仲間ですよね?」


 スッと視線をそらされる。

 嘘がつけない性格らしい。


「あぁ、仲間ではなく、その身なりからしてドリルの使用人ですか? 雇われの誘拐犯にしては、清潔すぎます」

「違うって!」

「何故、そんなに(かば)うんです? ドリルに弱みでも握られてるんですか?」

「…………」


 あ、握られてるのか。

 テンプレだな。

 この世界は、テンプレが溢れている。


「どんな弱みです? 水を探している間、聞きますよ」

「握られてない」

「沈黙は肯定と同じです。内容によっては、旦那様に話してあげます。旦那様、優しいですよ」

「…………誘拐犯には、優しくしないだろ」


 たしかに。

 でも、この人は誘拐犯(加害者)でもあり、被害者でもあるんだよなぁ。


「なら、第二王子殿下に話してみます。お礼は、珍しい食べ物でいいですよ」


 ついでに、誘拐したお詫びももらっちゃおうかな。

 もちろん食べ物で。




 

過去にコレッティーナに「ペッです。ペッしてください!」と言った人物がいました。

皆様、覚えてますか?

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