表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
家族を得た私、領地のために頑張ります

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/61

家族を得た私、誘拐されました①


 ──ガタリ。


 詰め込まれた馬車の中、道が悪いのだろう、身体が大きく揺れた。


 私、コレッティーナ・ナビレート、人生で初めて誘拐というものを経験している。


 おかしい。ただ、珍しいお菓子を食べようとしただけなのに……。



  ***



 お茶会に招待してもらったのは、生家での事情聴取に王城へ呼ばれた日のこと。


「悪いが、今日は一緒に行けない。後日にしてもらおう」

「大丈夫です。一人で行けます」


 そう言うと、旦那様から疑いの目を向けられる。


「何ですか、その目は。私、十八歳ですよ。一人で行けるに決まってるじゃないですか!」

「いや、だけどな……」

「行けます!!」


 旦那様は過保護すぎる。

 第二王子のところに行くくらい、一人でできるのに。


「……分かった。護衛をつける。絶対に護衛から離れるなよ」

「分かりました」

「知らない人についていくなよ」

「大丈夫です」

「お菓子くれるからって──」

「旦那様は私を何歳だと思ってるんですか!!」

「とにかく、気をつけ──」

「いってきます!!」


 いつまでも続きそうな言葉を振り切って、護衛と一緒に王城へとやってきた。


「おぉぉ。相変わらず、素晴らしいお庭……」


 見たことない実がなっている木。花や葉っぱ……。

 ちょっとだけ、見ていこうかな。

 味見しなければ、大丈夫でしょ。


「……って、あれ?」


 護衛が消えた。

 右見ても、左見ても、前と後ろを見ても、護衛がいない。


「木に登って……は、駄目か」


 高いところから探したいけど、木登りは旦那様に止められたことがある。

 仕方ない。第二王子のところに行けば、合流できるでしょ。


 と思って、歩き出したのだけど……。

 ここ、どこ?


 広い城内で迷い人となり、あっちへふらふら、こっちへふらふらしながら、とりあえず進んでいく。


「ちょっと、そこのあなた。あなたよ、止まりなさい! ナビレート夫人、止まるのよ!!」


 あ、私か……。

 振り向けば、お胸ばーん! 腰ギューン! のコルセットで内臓を痛めつけているお嬢さんたちがいた。

 センターにいるドリル髪が、小さく咳払いする。


「あら、あなたはカリウス様の……」

「はい。カリウスの妻でございます」


 誰だ? この人?

 と思いつつも、旦那様の妻として振る舞う。


「へぇ、変わったドレスを着ていると聞いてましたけど……」

「何とも幼い体型ですわね」

「可哀想に……」


 くすくすと笑いながら、意地の悪い視線をぶつけられる。

 なるほど、敵か。

 敵前逃亡するか、戦うか……。

 というか、道聞いたら、教えてくれないかな……。


「そんなこと言っては駄目よ。ごめんなさいね、ナビレート夫人。皆、カリウス様を射止めたあなたがうらやましいのよ。許してやってね」

「はぁ……」


 勝手に他人の心をベラベラ話す、センターのドリル髪がやっぱりリーダーか。

 何というテンプレだ。

 これじゃ、私がヒロインポジションじゃないか。

 ヒロインは、旦那様って決まってるのに。


「良かったら、これから私たちとお茶しませんこと? ナビレート夫人とは是非、仲良くしたいわ」

「いえ、私は──」

「お父様が他国の珍しいお菓子を取り寄せてくれたの。夫人にも召し上がって──」

「行きます!」


 第二王子との約束に遅れないように、かなり早めに王城へは来た。

 迷ってた時間とお菓子の時間を引いても、間に合うはず!

 一人で迷い続けるより、珍しいお菓子を食べてから、道を聞いた方が合理的だ。


「移動は馬車でいたしましょう」

「馬車ですか? 歩けますよ」

「まぁ、面白い冗談ですこと。広い城内を移動するだけでも、私たちには大変ですわ。さ、夫人から、どうぞ」

「……ありがとうございます」


 ギューギューなコルセットしてるから大変なんじゃ? と思いつつ、馬車に乗る。

 けれど、誰も乗り込んでこない。


「あの──」


 意地悪な笑い声。

 冷たい視線。

 閉められたドア。


「さようなら。あなたがいなくなれば、カリウス様も目が覚めるわ」


 やられた!

 まだ珍しいお菓子、食べてないのに!


 走り出した馬車の中「だから、菓子に釣られるなって言っただろ!」という旦那様の声が聞こえた気がした。



 ***



「周り、木ばっかりだ」


 揺れる馬車の中、窓から外を見る。

 斜面を上った感じはないから、森かな?

 ということは、食料には困らない。

 馬車が止まったら、帰ろうっと。

 道は、聞けばいいよね。


 なんて思っている間に、日が沈み始め、馬車が止まった。


「あー、長く乗ってたから、肩凝った……」


 勝手に馬車から降りて、肩をぐるぐると回す。

 すると、私のことをギョッとした顔で見ている誘拐犯と目が合った。


「こんばんは。この馬車、どこまで行きます? そろそろ帰らないと、旦那様が心配するんですけど」


 うーん。誘拐犯というには、身なりが綺麗だな。

 護衛騎士って言われた方が、納得できる。


「あの、大丈夫ですか?」


 顔を引きつらせている男の人の前で、ひらひらと手を振る。


「あ、あぁ、大丈夫だ」

「そうですか。あの、何か食べるものありますか? お腹空きました」


 催促するように、小さくお腹が鳴る。


「悪い。突然のことで、何も持ってない。水ならあるが……」

「そうですか」


 うむ。

 この人も巻き込まれた感がすごいな。

 可哀想に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ