表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第2章開始】「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します(連載版)  作者: うり北 うりこ@8/1ざまされコミカライズ①発売
「お前を愛することはない」と言われたので、労働対価に食事を要求します

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
45/61

「お前を愛することはない」と言われた私、居場所を見つけました②


「そう言えば、ラビソン家に送った侍女はどうするんだ?」


 旦那様に再び肩ぐるまをしてもらい、実を取っていれば、何てことないような声で聞かれる。


「あー」


 しまった、すっかり忘れてた。


「その侍女いましたか?」

「いなかったな。でも、屋敷のどこかにいるかもだろ」


 たしかに。


「探しますか」

「いや、いいんじゃないか? 本当に反省してるなら、向こうだって気まずいだろ」

「……そうですね」


 姿を現さなければ、ナビレート家に戻れるようにしてもらおうかな。


「って、あそこでのぞいてるの……」

「いたな」

「いました」


 自分からは何も言ってこないのに、何か言われるのを待っている。


「人間って、変わらないものですね」

「そうだな。全員とは言わないが、彼女は変わらなかった。それだけのことだ」


 強いものに流されて、誰かに何かをしてもらうのを待っている。

 自分の意見も言えず、ただ他者に期待して。


「旦那様、どうしましょう」

「ん?」

「ビンに入り切らないです!」


 押せば入るかもだけど、実が潰れてしまう。


「これだと、お屋敷のみんなにお土産できません」

「全員に持って帰る気だったのか?」

「はい! お屋敷のみんなは家族だって、旦那様が教えてくれました」


 だから、みんなに持って帰りたい。


「スカートの上に乗せたら……」

「駄目に決まってるだろ!」


 そうだよね。パンツ見えちゃうかもだもんね。


(たる)でも拝借(はいしゃく)するか」

「名案です! さっそく、第二王子殿下のところに戻りましょう!!」


 うきうきと歩き出せば、旦那様は私の少し後ろを歩く。


「横、歩かないですか?」

「横だとコレッティーナの奇行を止められないだろ」

「……? 私、普通ですよ」


 私からしたら、旦那様の方が変だ。

 顔はヒーローなのに、心はヒロインちゃんだし。


「……普通ってなんだろうな」

「自分が普通と思ったら、それが普通です」


 普通なんて、人の数だけある。

 これが今の私の普通だ。


 そして、幸せでもある。


 だからこそ、普通がなくならないように、努力し続けなければならない。


「旦那様!」

「なんだ?」

「私、旦那様の妻もやるし、領地の果物加工も頑張ります。他にも、一生懸命働きます。だから……」


 これからも、労働対価に食事をください!!

 と言おうとして、何か違うなと口を閉じる。


「だから……。ずっと一緒に食事をしてください!!」


 あぁ、そうだ。

 最初は食事が欲しかった。

 食事さえあれば、良かった。

 けど、そこが満たされた今、私は旦那様と食事を楽しみたい。


「何、当たり前のこと言ってんだ? コレッティーナは、俺の妻なんだから、一緒に食事をするに決まってるだろ。役に立つとか、立たないとか関係ない」


 結婚初夜、旦那様は「お前を愛することはない。俺に何も期待するな」と言った。

 けど、今は一緒にいるのを当たり前だと言う。


「旦那様、変わりましたね」

「……そうか? 人はそうそう変わらないだろ。俺からしたら、コレッティーナは幼くなったな」


 ……幼く?

 そんなバカな。


「何言ってるですか? いっぱい食べるようになったから、ここも少し成長して──」

「そういうことじゃない!!」


 胸を押さえて主張すれば、真っ赤になって旦那様が叫ぶ。


「話し方とか、行動の話だ。リラックスしてる時は特に幼いからな」

「旦那様は、ヒロインちゃんのくせに……」


 ぼそりと言えば、頭を上から潰される。


「何だって?」

「旦那様はかっこいいヒーローじゃなくて、心優しくて努力家で可愛いらしいヒロインちゃんがピッタリです」


 ダッと走って、旦那様から逃げる。


「旦那様、大好きですよ!! ずっとヒロインちゃんでいてください」

「ヒロインは余計だ!!」


 噛みつくように言われるけど、怖くなんかない。

 旦那様が優しいって知っているから。


「まぁ、俺もコレッティーナのことが好きだよ」

「はい。家族ですもんね!」

「そうだな。デザーも、デンガも、アンネも、ザールも、ミカナも、みんなコレッティーナのことが好きだよ」


 宝物をギュッと集めたみたいな、キラキラした気持ちに、自然と足がスキップをする。


「私も、みんなが大好きです!」


 明日も明後日も、明々後日(しあさって)も、みんなで美味しいものを食べていこう。


「樽をゲットして、たくさん持ち帰りましょう!!」


 大好きの気持ちを込めて、渡すんだ。

 きっと、みんな笑顔で受け取ってくれるから──。




 ──第一章End──

 

第一章は、ここまでとなります。

お付き合いいただき、ありがとうございました。

第二章もよろしくお願いいたします。


もし、面白かった等思っていただけましたら、下にある評価の星を入れてくださると励みになります。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ